晩期妊娠中毒症→妊娠8ヶ月以降に、浮腫、蛋白尿、高血圧などの症状が1つでも出現する病気のことです。

         浮腫は下肢に現れ、進行するにつれ下腹部に達し、全身に及ぶようになります。尿量は減少し、体重増加も著しくなる。

         蛋白尿は主として血液中のアルプミンが尿中に漏出したものです。ひどくなると、蛋白質が体内に留まる量が少なくなり

         胎児の発育にも悪影響を与えます。たんぱく質の尿中濃度で、軽症か重症かが分かります。

         高血圧も症状が進むにつれ出現します。最高血圧140mmHg以上を異常、170mmHg以上か最低血圧110mmHgを重症。

         これらの原因はまだ明らかでないが、全身の末梢神経が、何らかの原因で収縮し、血液の流れが悪くなり起こるのだろう

         と考えられています。これらの病気は次のような条件の人に起こりやすいといわれています。

         ○高年齢出産○妊娠中毒症の既往○双胎○羊水過多○肥満○腎臓病、高血圧の既往○高血圧の家系○妊娠貧血

         ○糖尿病や甲状腺機能亢進の合併

         この病気がひどくなると子癇を起こす。子癇とは浮腫、蛋白尿、高血圧があり、突然全身痙攣をおこし意識不明になり、

         生命の危険も招きます。また、母体の死亡率は最近減ってきたが胎児への影響で低出生体重児の割合が高くなります。

         この病気で胎盤の機能が障害を受け、母体から胎児へ十分な栄養が行かなくなるからです。

     治療方法→軽症の場合は安静と食事療法で症状は軽減します。重症では高血圧、浮腫に対しては降圧剤、利尿剤が使われ

           るが、蛋白尿に対してはたんぱく質の漏出を止める薬がなく、不足を補うように、食事でたんぱく質を十分摂取します。

           上記の治療でも症状が悪化し腎機能や肝機能が低下すれば母体の危険性から自然分娩から帝王切開に変えます。

     食事療法のすすめ方

       @この病気は肥満した妊婦に多発します。つまり、予防の為には妊娠前期からエネルギーの調整をし、体重のコントロールを

        することが重要です。すでに発病し、肥満である場合1,400〜1,600Kcal位の低エネルギーにし、減量に努めます。肥満で

        なくても1,800Kcal食にします。正常な妊娠後期のエネルギー所要量が2,150Kcalなので、約2割減、つまり腹八分目を

        食べることになります。他の栄養素のバランスも考え、1日の摂取する目安量は・・・・・。

        重症の場合は、肥満が合併ししなくても1,200〜1,600Kcalと厳しいエネルギー制限を行うことがあります→入院治療。

       Aたんぱく質は胎児の発育に不可欠であり、たんぱく質の摂取不足が妊娠中毒の誘引になる。蛋白尿により尿中に多くの

        たんぱく質が排泄され、低たんぱく血症を起こしているので十分な補給が必要です。1日に80〜100gくらいの摂取を。

        したがって、高淡白質食で低エネルギー食にする為に、制限するのは動物油と糖質、とくに、砂糖や菓子類は控えます。

       B高血圧,浮腫の予防と治療のために、ナトリウムを制限します。日本人の平均は1日に12〜15gの食塩をとっているが、

        妊娠するとこれを10g以下にします。病状の程度により食塩制限するが軽症なら5〜7g,重症なら2〜4gと厳しい制限になる。

       C妊娠も後期になると胎児が著しく成長するので、多くの栄養素を必要とします。特にたんぱく質と同時にビタミン、ミネラル

        類も不足しないようにします。妊娠中毒症になると代謝の変化により、これらが欠乏しやすくなります。これらを効率的に

        摂るには牛乳を必ず飲むこと、緑黄色野菜を摂ることと偏らないいろいろのものを食べるようにします。

       D食物繊維は低エネルギーであるうえに、糖質や脂質の吸収を遅らせます。さらに、ナトリウムと結合し便への排泄を

        促進し、血圧の上昇を抑えます。妊娠すると多くの人が便秘に悩まされます。水に溶けない食物繊維、穀類、野菜、きのこ

        などはより効果的です。

     注意点:昔から丈夫な赤ちゃんを産むには2人分食べねばならないといわれてきたが、妊娠中毒症の予防や治療には、控えめ

          に食べることが重要です。お母さんが太り気味で栄養が十分蓄積されていれば、摂取エネルギーは少なくても、胎児は

          勇ましく母体から栄養を摂るので心配ありません。

     食品選びの目安

       多めに摂る食品→肉、魚貝、卵、緑黄色野菜、海草、きのこ、コンニャク、牛乳・乳製品

       普通に摂る食品→大豆・大豆製品、芋、かぼちゃ、果物、油、砂糖、酢、香辛料

       控える食品→ご飯、パン、めん、塩、しょうゆ、味噌

       禁止食品→下肢、アルコール飲料、カフェイン、炭酸飲料

                                                        戻る

          1,800Kcal食の目安量

  食品 副菜 野菜・・・200g
主食 パン・・・(6枚切り2枚) x 1回 緑黄色野菜・・・100g
ご飯・・・茶碗1杯半(180g) x 2回 芋、かぼちゃ・・・100g  小1個
主菜 肉・・・60g 脂身の少ない所 果物・・・約1個(150〜200g)
魚・・・1切れ(約70g切り身) 牛乳・・・2本(400mℓ 340cc)
卵・・・1個 調味料 油・・・大さじ2杯
豆腐・・・2/3丁 砂糖・・・小さじ2杯
    味噌・・・大さじ1杯