保健機能食品
整腸を保健の目的とする食品

特定保健用食品は、摂取することによって三次機能を効果的に発揮させ、健康の増進や疾病のリスクを軽減しようとする目的で開発された食品です。

許可されている700品目中半数がプレバイオティクスと呼ばれる「おなかの調子を整える菌」です。食物繊維、オリゴ糖、乳酸菌を「整腸3点セット」という。

「おなかの調子を整える」とは医師の処方箋を必要とする激しい下痢ではなく、痛みを伴わない軟便や、女性に多い常習性の便秘のような場合、食で改善できるのです。

望ましい腸内細菌(ソウ)のバランスを保つこと、すなわちビフィズス菌が優勢な腸内環境に整えることは、下痢や便秘を予防することになるからです。

✦食物繊維は腸内細菌叢のバランスを保つほか、糞便に適度な水分を与えて糞塊を形成するとともに、腸の蠕動運動を促すため、便秘になりにくい腸内環境を作ります。

また、望ましい腸内細菌叢の形成は、腸管免疫機能の改善をもたらし、体全体の免疫機能の恒常性維持に役立っているのです。

ただし、食物繊維やオリゴ糖を機能性因子とする特定保健食品のパッケージに許可されている保健用途の表示内容は、あくまで「おなかの調子を整える」ことであり、

許可内容を逸脱した表示は認められていません。「便秘の予防」とは書かれていません。「予防」は医療行為なので表示許可されていません。

✦整腸効果のある特定保健用食品の多くを占めるのがオリゴ糖を含む食品です。腸内でビフィズス菌生育のため利用され、菌数の増加に役立ちます

オリゴ糖は消化・吸収されにくく、胃・小腸をそのまま通過し大腸で発酵し乳酸・酢酸を産生してPHが酸性に傾き腸を刺激して蠕動運動を促し下痢・便秘を抑制します.

PHが酸性に傾くと、ビフィズス菌など善玉菌は暮らしやすく、大腸菌など悪玉菌は居ずらくなり減少する。これらが相互に作用してお腹の調子が整うのです。

なお表示義務として「食べ過ぎ(飲み過ぎ)あるいは体調、体質により、お腹が緩むことがあります」といった内容の表示をせねばなりません。

✤整腸効果をもつ特定保健用食品に含有されている機能性因子

  食物繊維

{天然食物繊維とその誘導体}・・・・・サイリウム種皮、小麦ふすま、低分子アルギン酸ナトリウム、グアーガム分解物(ガラクトマナン)、寒天、水溶性コーンファイバー、

                       難消化性デキストリンなど

{合成多糖類}・・・・・ポリデキストロース

  オリゴ糖

フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラクチュロース  


「食物繊維」はシリアルや清涼飲料水、青汁などの形で、「オリゴ糖」はテーブルシュガー、清涼飲料水、キャンディ―、ビスケット、チョコレートなどの形で商品になっている。 

食物繊維

オリゴ糖

身体構成素材、エネルギー源など
「栄養素」としての機能

健常人の腸管内にはある一定の種類の菌群が常に存在しており、菌叢(キンソウ)というものを形成しています。成人と健康な乳児では腸内細菌の比率構成が異なる。

幼児でも母乳栄養児と人工栄養児とでは菌の比率構成が異なり、人工栄養児のそれは成人のものに近く、罹患率も母乳栄養児のほうが低い。

腸管内で乳酸などの有機酸を出す菌が増えると病原菌が生育できなくなる。摂取する食物によって多く棲む菌の種類が変わる。などが究明され宿主の健康状態と腸内細菌

との間に深い関係があり、整腸作用を通じて健康効果をもたらす有用菌(善玉菌)とアンモニアやインドール、フェノール、硫化水素など腐敗物質を生成する有害菌(悪玉菌)

とがあることが分かってきました。前者はビフィズス菌や乳酸菌、酪酸菌などであり、後者はウエルシュ菌、大腸菌などが主であることが知られています。

             加齢に伴う糞便細菌の推移                             健康な成人と老人の主な糞便細菌叢の比較

                       菌群         成人(42例)       老人(54例)

           一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

             総菌数        11.2                            11.1

                       バクテロイデス       10.9                           10.9

                       ビフィズス菌       10.0                              9.4

                           乳酸桿菌         5.8                              7.5

                         乳酸球菌         7.9                            7.4

                           ウエルシュ菌                 4.4                              6.6

                                             数値は糞便1g当たりの菌数の対数値の平均

   
✤腸内細菌の働き

大腸全体では約100兆個といわれる腸内細菌が生育しており、それらの殆どどが酸素を嫌う菌で、個人差や年齢によって変るが腸内細菌叢の種類と割合はほぼ一定に

推移しています。年齢による細菌叢の変化は健康の維持や疾患との関わりが注目されており、有害菌はストレス負荷のある場合はウエルシュ菌が増えたり、肉類の多食

は芽胞菌(棹菌(カンキン)類)の増加が起きる。ウエルシュ菌など有害菌の増殖により、腐敗物質が生成しやすくなり、腸管内のPHがアルカリ性に傾き、さらに腐敗を生成

する環境を生み出し、発がん物質も招きやすくなります。一方、有用菌の増加は腸内環境を整え、下痢や便秘などを予防改善し、健康効果をもたらします。

ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌はプレバイオティクスを利用して酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸や乳酸、コハク酸など有機酸を生成します。

これらの酸により腸管内はPHが酸性化し、ビフィズス菌や乳酸菌自身の生育環境を増殖するのに適した状態に作り変えていくのです。酸性下では、病原菌、有害菌が

抑えられ、腐敗物質や発がん性物質の生成も低下し、疾患の発症も抑えられるようになるのです。ビフィズス菌や乳酸菌を含む食品をプロバイオテイクスという。

腸疾患の薬物療法を考える場合、下痢と便秘では相反する別の薬の利用を考えるが、プロバイオティクスの場合、両方に効果を持つことが特徴で本当の整腸効果が

期待できるのです。これはビフィズス菌や乳酸菌が下痢の原因菌を駆逐すると同時に腸の蠕動運動を生成する酸で亢進させるのです。また体全体の免疫機能も

賦活化し、感染抵抗力を増進したり、ビタミン合成をもしているのです。

ビフィズス菌や乳酸菌を利用した特定保健用食品の殆どがヨーグルトや発酵乳といったもので、新たに開発された食品ではなく、以前より整腸・健康効果は認められて

いた保健機能食品です。プレバイオテイクスと同様、安心して利用できるもので毎日摂取したほうがよい食品と言えるものです。継続摂取が望まれるもう一つの理由は

ビフィズス菌優勢な望ましい腸内細菌叢の維持のためです。消化管内は絶えず内容物が移動しており、微生物が定着しずらい環境です。


乳酸菌

ビフィズス菌

おいしさ(味覚、テクスチャー)、
臭覚(香り)、視覚(色)など
「感覚・嗜好」に与える機能

生体調節機能、体長調節機能、
生活習慣病のリスク減少機能