中高年の為の正しい検査値の読み方

  ✦便潜血反応

  定期検診などで行われる消化器系の検査に、大便中の出血を検査する便潜血反応があります。消化管に出血があると、、便に血が混じります。多量の出血があれば

  便の色が黒ずんだりしますので肉眼でも分かるが、微量の出血は、ちょっと見ただけでは分かりません。便潜血反応には「化学的潜血反応(グアヤック法)」と「免疫学的潜血反応」

  の2つの検査方法があります。「化学的潜血反応」は食事制限が必要なうえ、肉や野菜を食べた時は凝陽性になりやすくなります。その為、食事制限は不要で、陰性か陽性の

  どちらかかの結果をはっきりと示す「免疫学的潜血反応」を利用する方が一般的になっています。検査結果が陰性の場合は消化管出血の疑いはないが、潜血は便内で

  均一ではないため、1回の検査で確定せず複数回の検査を行います。血液の病気(白血病)では陽性を示し、女性では生理中に陽性を示すこともあるが、陽性を示した

  場合には消化管出血の疑いがあるから、内視鏡検査など2次検査を受けて原因を調べていきます。

  ✦画像診断

  ✢頭部の画像診断・・・突然倒れたり、外傷もなく手が動かなくなったりした場合には、脳出血や脳梗塞が疑われ、たいていすぐCTを撮って調べます。CTとはコンピューター

  断層撮影のことで、一般に扇状にX線を出す撮影機を人体の周囲360度にわたってぐるりと回転させながら撮影し、得られた画像データをコンピューターで再構成し、人体を

  輪切りにした断面図にして観察するものです。但し、CTは横切りの断面図しかみられません。そこで、脳ドックを受けて脳動脈瘤や脳動脈奇形が疑われたりした場合は

  縦切りの断面図も見られるMRIを撮って調べます。MRIとは磁気共鳴断層映像法のことで、強い磁場の中に被験者を入れ、電磁波(RF波)を当て、体内にある水素原子から

  返ってくるMR信号の情報をコンピューター処理し、人体の断面図を得るものです。CTに似ているが、MRIにはX線を用いないため放射線被曝がないという利点があります。

  同様の原理で、脳の血管内の血流を画像化するMR(磁気共鳴血管造影)もあります。

  ✢胸部の画像診断・・・健康診断では、胸部をX線撮影します。X線検査は、X線を照射して、人体を透過してきたX線の量を濃淡にしてフイルムに定着させたものです。

  興味深いことに、高齢者の胸部をX線撮影すると、約6割の人の肺に古い傷跡が見つかります。ずっと以前に肺炎や軽い結核にかかったりして本人が気ずかないうちに

  治っていた傷痕がこの検査で分かるのです。但し、X線検査では細部が分かりにくいため、例えば肺癌の所見あり(疑いあり)ということになれば、更に胸部CTを撮って

  詳しく調べます。女性の乳癌検診では、乳房を片方ずつ板で挟み、圧迫してX線撮影するマンモグラフィ(乳房X線検査)があります。それから胸に6ヶ所と両手両足の

  計10ヶ所に電極を取り付けて、心臓の電気活動をグラフにして記録する心電図も、胸部に関係した検査の1つです。

  ✢胸部の画像診断・・・脂肪肝や胆嚢炎の所見がある、或いはアミラーゼやAST(GOT)やALT(GPT)等の検査値が高いと、腹部の画像診断をすることになります。

  腹部についてはCTやエコーを撮ったりします。エコーとは超音波検査のことで、超音波を体の中へ発信し、それが跳ね返った反射波を画像化して観察するものです。

  X線やCTと違って、放射線曝露がないという利点があり、妊娠中の胎児の様子のほか、殆どの臓器が観察の対象になります。

  ✢その他の画像診断・・・胃や腸などの管腔臓器は、普段しぼんだ状態にあるのでCTでも観察できません。そこで、胃ならば経口でバリウムを飲むなど、造影剤を

  入れてから再度観察することになります。あと、便潜血反応検査や直腸診(指を肛門に差し入れる触診。直腸癌の8割はこれで分かります)をした後などに行う

  大腸ファイバースコープ検査(下部消化管内視鏡検査)もあります。これは、先に内視鏡が付いた、自由に曲がる管を肛門から挿入して、大腸やS状結腸を観察するものです。

  ✦脳卒中

  現在の日本人の死亡原因の第1位は「癌」ですが、かっては脳卒中でした。高血圧の治療や、減塩の効果で命を落とすことは減ったが、後遺症である、体の麻痺や

  寝たきり状態などで悩まされる人はいまだに多く見られます。脳卒中とは、脳の血管に異常が起る病気で、血管が詰まる脳梗塞と、血管が破れて出血する脳出血や、

  くも膜下出血などを総称したものです。脳は体重のおよそ2%程度の重さしかないが、体全体から考えて、血液は12%、酸素においては20数%も消費される臓器です。

  脳卒中が起こると、酸素やブドウ糖が不足して、神経細胞が死んでしまい、その細胞が関係している機能が出来なくなり、さまざまな障害が出ます。障害される場所によって

  現れる症状はそれぞれ違うが、大脳だと、体半分が思うように動かなくなる麻痺や、人の話す言葉が理解できない失語症などがあり、運動する機能と関係する

  小脳がやられると、立てなくなったり、歩けなくなったりします。当然呼吸を調節している脳幹がダメージを受ければ、呼吸機能が障害されるため、死にいたる危険が

  あります。この恐ろしい脳卒中ですが、危険因子となる第1位は高血圧です。重度な高血圧が続くと脳出血を起こすことが多く、他に脳梗塞にもなります。また、

  くも膜下出血とも関係があり、先天的に脳動脈に脳動脈瘤というコブがある人に、高血圧が作用してコブが大きくなり、破れ、脳の表面にあるくも膜という膜の下に

  出血するということもあります。高血圧以外でも糖尿病の人などでは健康な人の3倍以上も脳梗塞になりやすく、糖尿病予備軍でも同様と考えられています。

  血糖が高い状態が続くと、動脈の壁に糖が染み込み、動脈硬化が進んで、動脈が細くなる上に血栓が詰まりやすい状態になります。そしてコレステロールの高い人も

  全身の動脈硬化が進みやすく、糖尿病同様脳梗塞ができやすい体質になっていると言えます。この他喫煙も血圧を上げたり、動脈硬化を促進したりすることからも、

  禁煙はまず予防の第1歩と考えられるでしょう。お酒は飲んではいけないとは言いませんが、大量飲酒は高血圧の原因となるので程々にしましょう。

  予防すべきは生活習慣病なのです。いろいろな病気は生活習慣の工夫で防ぐことができるのです。