中高年の為の正しい検査値の読み方

   定期検診などで調べた測定値「自分の数値」を覚えている人は少ないのではないでしょうか。検査で得た「自分の数値」の陰に、重篤な病気発見の手がかりが

  隠されているかもしれません。様々な検査に対し、一般的許容範囲である基準値を示し、年齢差・男女差も考慮してあります。一般の検診などで参考にされている

  基準値は、年齢的な変化が考慮されていないのが殆どです。体も年をとって変化し、さまざまな生理的数値も変化しています。当然基準値も変わってきます。

  「基準値の範囲内だから大丈夫、何もしなくていい」というものではありません。「異常値だ、大変だ」とあわてるのも間違いです。「自分の年齢・性別の基準値」を

  知ることも大切ですが、さらに大切なのは「自分の適性値」を知ることです。この両者を知り、ぜひ前向きな気持ちで検診や精密検査を受けましょう。

40才以上には検査値にズレが! 検査値を見る時の注意点
色々な臨床検査の基準値 コラム

 

  ◎40才以上には検査値にズレが!

  ●年齢差と基準値

  定期検診や人間ドックの結果表には、検査値とは別に、もう1つの数値、統計学的に割り出された一般的な基準値が印刷されています。しかし、男女別はあるが、

  年をとれば生理機能も衰えるので年齢別が当然必要なのですが、この当然が抜けていたりするのです。しかし、男性は40才前後から、女性は50才頃から、検査数値

  ががらりと変わってきます。それはホルモンや内蔵脂肪等の影響なのですが、40才を過ぎると、自分の年齢・性別に合った参考基準値が、いよいよ必要になるのです。

  ●「基準値」とは?

  あらかじめ多くの人々を検査して集められた「基準値」と比較して、評価・判断されます。以前はこの「基準値」のことを「正常値」と呼んでいました。しかし、正常範囲だから

  正常だ、正常値じゃないから病気だ等と短絡的に結論できるわけではありません。そこで、あたかも健康状態の指標であるかの様な誤解を抱かせる正常値の名前を

  近年では世界的に基準値という言葉が使われるようになってきました。ですから基準値とは、実は健康な状態を示す数値とは違うのです。むしろ基準値とは、平均値

  の様なものです。健康な集団の20〜60才位までの検査成績分布から、上限と下限の2.5%ずつを除外して、残りの95%の人の値を基準範囲としています。コンピューター

  の検査結果でいえば、95人が基準範囲内で、5人が異常値と出ます。しかし、もともとその5人も健康者なのですから、臨床検査では健康であっても異常と出てしまう

  可能性があらかじめ仕組まれているわけです。

  医療者側から言うと、定期健診等では異常を見逃さないことを最優先にしています。採血結果等では少しでも検査結果の数値が基準値から外れると、ただちに異常あり」

  と警告が発せられます。これを検査表の紙面上で「○○の疑いあり」となり、驚いてしまうわけです。検査結果に対する考え方には、基準値には2通りあると考えてください。

  1つは集団基準値で、基準値として検査表に印刷されている。もう1つは1人ひとり個人基準値です。つまり貴方自身の健康値・適正値があるのです。この適正値は

  「かかりつけ医」など、いつも診察してくれる医師と貴方が一緒に決めるもので、本当の異常値とは、貴方自身の基準値からはみ出した数値、または前回、前々回の

  検査数値から大きく変化した場合の検査値だと言えるでしょう。

  ●個人差と適正値

  検査の結果には人それぞれの個人差があります。男女でも年齢でも、人種の差や住んでいる場所によっても違います。酸素を体中に運ぶ赤血球を例にとっても、高山

  地域で生活している人は普段から少ない酸素で生活しているから、赤血球は沢山あります。しかし、都会で生活している人がそこに突然行けば、散歩でも息が苦しく、

  生活がままなりません。高山地域で検診を受けたら貧血と結果が出てしまうでしょう。また、アルコールに対する分解酵素も日本人は欧米人に比べ少ないので、肝機能

  の基準も欧米と日本では違います。医療検査の基準値は、色々なことが考慮されて設定されています。普段食べているものに偏りがあれば、検査結果に何かしらの

  異常と出てしまう可能性があるが、その食生活がその地域で普通とされる食生活なら、その数値も基準値内とされる可能性があるのです。基準値は風土や生活環境に

  よって変わるわけです。しかし、定期検診などでは、そこの医療施設で決められた基準値から外れると「異常」とされてしまいます。医療者側は少ない情報から病気の

  可能性を判断する為、敢えて厳しい基準値を設定しているわけですが、その基準値から外れた数値が病気のためなのか、その人の個人差として出ている数値なのか

  は、何回かの検査結果を比較してみないと分からないのです。そんなことからも、普段の自分の数値、自分の適正値を知っておくことは、とても大切なことなのです。

  特に高齢になると、体質は毎年劇的に変化するから、去年の自分の数値が、今年の自分には通用しなかったりします。高齢になればなるほど、現在の自分の適正値

  把握のため、健康体で受ける定期検診の意味が重要になってきます。

  ●検査値と生活習慣

  若い健康な人が風邪をひいても死ぬような場面は先ずないが、色々病気を背負い込み、寝たきりの生活を余儀なくされている老人が、風邪をひくと、肺炎を引き起こす

  などして生命の危機に陥る可能性があります。これは分かりやすい道理で、前者は危険因子が1つだが、後者は危険因子が幾重にも積もっいるからです。これと同様に、

  医療検診の異常値も、単独ではそれほど問題にならないけれど、複数の検査で異常値が重なり、複合的な条件が揃うととても危険になります。その意味で、検査値は

  常に色々な検査結果を合わせて、複合的にみなければなりません。もっと言えば、検査値だけでなく、その人の生活環境や生活習慣等も含めて吟味していかなければ

  なりません。生活習慣病は、早期発見・早期治療が重要だという2次予防の考え方が中心だったが、現実には中高年だけでなく子供達にも同じ様な病気にかかることが

  わかり、子供の時からの生活習慣が大きく影響しているので、発症後の治療より、予防の必要性が大切だと考えられるようになり、1次予防の概念に変わりました。

  生活習慣を変えることはライフスタイルを変えることで、例えば、食べ過ぎ、高脂肪、塩分の取り過ぎ、飲酒、運動不足、睡眠不足、ストレス等は10年、20年と続けて

  いくうちに肥満となり、血糖値、血圧、中性脂肪やコレステロールも高くなって脳卒中や心臓病を発生しやすい体質になってしまいます。長い沈黙の期間の後、ある日

  突然症状が起こり、死にもいたる怖い病気、それが生活習慣病です。1汁3菜の日本型の食生活と、適度な運動と、休養といった生活習慣を子供の時からの積み重ねが

  大切です。