ボケになりやすい人                        
なりにくい人
                          
            

  

                   

 

      

            

    ✤ボケは何故起きるのか?

  ✲脳血管性痴呆→これの代表的なものは、脳卒中後に徐々にボケが出現するものです。即ち、脳の動脈の硬化(老化)が進展し、動脈の内腔が狭くなり、遂には血液の

  塊で閉鎖され、脳の組織への酸素やブドウ糖などの栄養分の供給が出来なくなり、脳の組織が死滅・崩壊を起こした為に出現するものが大部分です。つまり、主因は脳梗塞です。

  また、脳の血管が破れて、脳組織内に出血して脳組織が破壊(脳出血)された結果、ボケの出現することもあります。

        脳動脈硬化と痴呆との関係(A)                             脳血管性病巣の数と痴呆出現との関係(B)       

          

           脳血管性病巣の大きさと痴呆出現との関係 (C)

    (A):脳の動脈硬化が殆どないか、あってもごく軽度の群と、重度の脳動脈硬化の群の、生前の痴呆の有無の比較

  (B):病巣の数(主として脳梗塞による病巣)による生前のボケ人数の比較。病巣の数とボケの出現は比例している。

  (C):病巣の大きさと、ボケ出現との関係。病巣が大きい程、ボケ出現が多くなる。

  この成績から、脳血管性痴呆を防ぐには、まず、脳動脈硬化を予防し、そして、脳梗塞を起こさないようにすること。

  最近、日本人の脳血管性痴呆が減少しつつある理由は、脳卒中治療が格段に進んだことが考えられます。

  動脈硬化の原因である高血圧や高脂血症の治療が自治体、企業などで行われているからです。

 

  脳卒中の後遺症、特に脳卒中の70%以上を占める脳梗塞後遺症例に対し、抗血小板薬(血液を凝固しやすくする血小板の働きを抑える薬剤)や抗血小板作用を持つ

  脳循環改善薬(脳の血管を拡張させ、脳の血流を増加させる薬)など、また、脳の新陳代謝を盛んにする脳代謝改善薬の使用が多くなったためです。

  脳卒中後に出現するボケが脳血管性痴呆の代表ですが、

    ボケが脳卒中発作後、どのくらい経てから出現するか?             

                      脳卒中後痴呆出現時期と年齢との関係

  60〜69歳 70〜79歳 80〜89歳
例数 4例 22例 24例
痴呆出現までの期間 32.5ヵ月    (約3年) 24.6ヵ月    (約2年) 12.9ヵ月     (約1年)

                                                                                                              高齢者ほど出現が早い  

  ✲アルツハイマー型痴呆→これの原因は不明です。

  脳の働きの上では、神経細胞と神経細胞、また神経細胞と神経との間の連絡の役割をし、情報を伝達する働きのあるアセチルコリンという物質(神経伝達物質の1種)の

  活動系の活動が低下することは確かです。即ち、アセチルコリンを合成する酵素が減少し、逆に分解する酵素が増加するなど、脳内のアセチルコリンが減少する。

  米国でも日本でも痴呆の薬として脳のアセチルコリン系の活動を盛んにする働きを持っております。アルツハイマー病の原因はアセチルコリン系の活動低下で間違いない。

  しかし、何故アセチルコリン系の活動が低下するのかは明らかでない。アルツハイマー型痴呆では、脳の神経細胞の消失が特に顕著であり、脳重量が減少することが多い。

  そして老人斑、アルツハイマー原線維変化と言われるものが多く存在します。このような変化は痴呆に特有なものではなく、痴呆のない老年者の脳でも認められるが、

  ただ、アルツハイマー型痴呆では、数が多くかつその出現場所が、脳の皮質(脳の表面を覆っている神経細胞の並んだ層で、命令を出したり、手足などの末梢からの

  情報を受ける司令部に相当する部位)に多く認められるなどの違いのみです。現在の研究は老人斑やアルツハイマー原線維変化の構造や化学成分、その成り立ちの研究です。

  ✲脳血管性痴呆とアルツハイマー型老年痴呆の違い

  同じ様にボケ症状を示すが、両者は、最初に冒される脳の場所が異なることから、両方の型には、症状にも幾つかの相違があります。  

  脳の一番外側は大脳皮質といい、内部は大脳白質と呼ばれるものです。大脳皮質は司令部の働きをし、大脳白質は、この司令部から手足など末梢に

  命令を伝える神経路、また、末梢からの情報を司令部に運ぶ神経路(電線)の役割をしており、その間に神経細胞の集まった核といわれるところがあります。

  この核は中継所の働きをしており、脳卒中は、脳出血、脳梗塞を問わず、この中継所付近に起こりやすいのです。このため、麻痺や感覚障害が起こるのです。

  脳血管性痴呆では、この付近に、時を変え、所を変えて小さい梗塞巣が出現して電線を切断したために出現するものです。そしてこの梗塞巣が多くなるにつれて

  ボケの症状が出現します。電線がすべて切断されるような大きな梗塞(或いは出血)の場合はボケ症状を示す前に亡くなってしまいます。ボケが出現する状態は、ある電線は

  切断されているが、他の電線は残っているので、司令部に伝達されたり、情報を受け取ったり出来るので、全ての知的機能が全部障害にならないのです。例えば記憶力は

  障害されているが計算力はそれ程冒されていないなどチグハグな症状を示すことが特徴です。司令部の大脳皮質が比較的健常であるので、薬剤などの治療に反応します。  

  アルツハイマー型痴呆では、電線に相当する大脳白質には、梗塞など病変のないのが常です。障害されているのは大脳皮質です。恐らく、アセチルコリン

  などの神経伝達物質の代謝が障害されているのです。司令部が障害されているので、命令を出すことが出来ないし、末梢からの情報も受け取れません。

  この型の痴呆では、すべての知的能力が障害され、その程度も高度となります。しかも治療に対して反応もなく、その症状の有様は容易に理解できます。

  ✲両者の症候の違い→二つの型の痴呆の病態の成り立ちの違いから、それぞれの症候も違います。  

  @病気の始まり:脳血管性痴呆の始まりは、多くの場合、脳卒中の発症後ですから、何時頃からと解ります。そして、脳卒中の再発などをきっかけとして、段階的にボケ症候が

  悪化、進展します。少数ながら明確な脳卒中発作を示さず、徐々にボケ症候の出現する場合もあります。無症候性脳梗塞・・・はっきりした発作を示さず梗塞が起こり、その数の

  増加とともにボケ症候を示す。一方、アルツハイマー型痴呆は、徐々に発症することから、いつ発病したかはっきり指摘することが困難です。徐々に発症し、絶えず進行します。

  A発症年令:脳血管性痴呆は、脳血管障害(脳卒中)があれば、必ずしも高齢でなくても出現します。アルツハイマー型痴呆は、通常65才以上が多く、50才代の発症は稀です。

  B性差:脳血管性痴呆は、一般に男性に多く、アルツハイマー型痴呆は女性に多く見られる。痴呆全体では、女性が男性の1.5〜3倍という疫学的調査があります。

  理由は、女性の平均寿命が、男性より長いことのほかに、女性ホルモンなどの関与が推定されています。

  C病識(病気の認識):病識、つまり自分がボケているという認識は、アルツハイマー型痴呆では、早くから消失します。楽天的であったり、多弁(口数が多い)であったりします。

  一方、脳血管性痴呆では、末期まで保たれていることが多い。病識があるから、楽天的なことはなく、むしろ沈んだ様子を示しやすいものです。

  D人格:アルツハイマー型痴呆では、人格が変わり、別人のようになりやすいのですが、脳血管性痴呆では、末期まで人柄が変わることは少ないものです。

  E知的機能:アルツハイマー型痴呆では、すべての知的機能が冒され、その程度も大ですが、脳血管性痴呆では、一部の機能が保持されていることが多く、チグハグな

  印象を与え、また知的機能の低下の程度もより小であるのが常です。

  F身体的症候:脳血管性痴呆は、脳の動脈硬化の進展した人に発症するものでありますから、脳動脈硬化とともに、他の臓器の動脈硬化も進展しております。

  心臓の筋肉を養う動脈(冠動脈)などの硬化から、狭心症など、他の臓器の病気もより多く見られる。アルハイマー型は、一般に動脈硬化や内臓の病気は少ない傾向が見られる。

  G治療に対する反応:アルツハイマー型痴呆は、薬剤による反応はまずない。脳血管性痴呆では、時に薬剤に反応し、進行が停止したり、多少とも症候の改善を示すことがある。