大豆&大豆タンパク質の機能性

大豆タンパク質とメタボリックシンドローム

従来、2種類の構成要素からなる大豆タンパク質は3種類であることが明らかにされ、すなわち、グリシニン(約40%)、β-コングリシニン(約20%)、および

脂質を結合しているタンパク質(LP、約40%)であることが明らかになりました。コレステロール低下効果はこのLPによるものであることが示されつつあります。

さらに、β-コングリシニンが血中中性脂肪と内臓脂肪の量を低減させる生理機能が明らかになりました。興味深いことには、血中中性脂肪量が200mg/㎗

以上ではさらに大きな低減効果が見られうことです。一方、150mg/㎗以下ではあまり効果は見られませんでした。つまり血中中性脂肪が量が正常な人には

効果が殆どなく、高い人には効果的であるという極めて特徴的な性質を、β-コングリシニンが持っていることが明らかになりました。

現在、内臓脂肪を減少させる医薬品は市販されていません。内臓脂肪はCTスキャンによる臍周りの面積が100㎠以上の脂肪量が肥満とされます。

BMI25~30、ウエスト85cm以上(男性)、90cm以上(女性)の肥満者(必ずしも血中中性性脂肪は高くない、内臓脂肪は100㎠前後))を対象の実験で

内臓脂肪量が100㎠を超える被験者は6.5%の減少が見られたが、70㎠以下では低減効果は見られず、β-コングリシニンの低減効果が見られた。

▴肝臓で中性脂肪が作られ血中へVLDL(超低比重リポタンパク)として分泌されます。遊離脂肪酸3分子がグリセリンに結合して中性脂肪が作られます。

β-コングリシニンは、中性脂肪の原料となる脂肪酸を減少させ生化学反応を支援しています。その結果、中性脂肪の量が少なくなると考えています。

β-コングリシニンを含む干菓子は特定保健用食品に「中性脂肪が気になる方に」という表示が2007年に認められました。β-コングリシニンは

乾燥大豆に約6%含まれているが1日5gを大豆製品で摂ろうとすると豆腐屋豆乳で800g必要です。これでは無理なのでβ-コングリシニン干菓子で

補給するというのが現実的のようです。

大豆の機能性~大豆と女性の健康

大豆には、大豆タンパク質やレシチン、サポニン、大豆いソフラボンなどが含まれ、さまざまな機能性を持っています。それらが女性の健康にどのように役立つ

のか見ます。女性の健康を考えるとき、成長して初潮を迎え、妊娠が可能となり、閉経を迎えるといった女性特有のライフサイクルを理解する必要があります。

20世紀のはじめの初潮年齢は15~6歳でしたが、年々早発化の傾向があり、現在では11~12歳と急激に低年齢化しています。一方、閉経年齢は50才前後で

変わりません。卵巣は思春期から閉経期まで約40年間、女性ホルモンを分泌し続けることになります。月経を経験する回数が増加し、卵巣機能が働く時期が

長くなることは、子宮内膜癌、卵巣癌、乳癌などのリスクが高まる要因の1つといわれています。女性の病気の30%は卵巣機能の変化と密接に関係しています。

卵巣ホルモンであるエストロゲンは、子宮や乳腺以外に骨、血管、脳など、生殖器以外に働いているばかりでなく、臓器を守る働きもあり、女性は閉経による

エストロゲン欠乏で様々な病態を示します。60年前は平均寿命54才で現在のようにエストロゲン欠乏状態が長くなると更年期からの健康管理が重要になります。

  年齢                     エストロゲン欠乏に伴い出現する各種疾患と病態

    40    月経異常    50               60               70               80
       
         稀発月経、機能性出血 

          自律神経失調症状
           
          顔のほてり、のぼせ、異常発汗、めまい

                 精神神経症状
                ∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘∘▶
                 倦怠感、不眠、不安、優鬱、記銘力低下                           痴呆 

                       泌尿生殖器の萎縮症状
                      
                       老人性膣炎、外陰掻痒症、性交障害、尿失禁

                           脂質異常症、新血管系疾患
                           
                           動脈硬化、高血圧、冠不全、脳卒中

                                         骨量減少症、骨粗鬆症
                                      
                                         腰痛、脊椎後彎、橈骨骨折、大腿部頚部骨折 

◉1960~70年代は大豆タンパク質が注目された。1990年代に入ると非栄養成分の機能研究が盛んになり、乳化剤として働くレシチンや抗酸化性の強いサポニン、

弱いながらも女性ホルモンのような働きをするイソフラボンが注目されています。レシチンは血中の悪玉コレステロールを溶かし、体外に排出する、また痴呆症を防ぎ、

集中力や記憶力を高める、サポニンは過酸化脂質の発生を抑えるとか肥満を防ぐと言われるがいずれも人での有効性のデータはありません。

◉大豆いソフラボンはエストロゲンと化学構造が類似しており、体内でエストロゲン受容体に結合して、同じような働きをすることから植物エストロゲンといわれるが

その作用は微々たるもののようです。イソフラボンは生体内のエストロゲン濃度により、エストロゲン作用ばかりでなく抗エストロゲン様作用も示し、これが乳癌や

卵巣癌などの予防に役立つといわれる。科学的根拠に基ずく大豆の健康効果は高コレステロールにA(強力な科学的根拠)、更年期のほてりにB(十分な科学的根拠)

、乳癌予防、心血管疾患、認知機能、高血圧、肥満、骨粗鬆症等にC(不確かな根拠)の等級付けをしているが暫定的なもので確定ではない。

▫高コレステロール・・・・・大豆食品からの大豆イソフラボン摂取は血液中のコレステロール値を改善し、血管内膜を良好な状態に保つことで、心臓発作や脳卒中の

リスク低下に役立つことがいろいろの実験から推察されます。

▫更年期障害・・・・・全般に対する改善効果の見解一致は見られないが、頻繁にほてりを感じる女性や複雑な精神的症状が軽減される可能性の報告はある。

▫骨粗鬆症・・・・・骨代謝に大きな影響を及ぼす女性ホルモンが閉経後、急激に減少するので骨密度の低下と、骨折のリスクが高まる。イソフラボンの一種である

ゲニステインの摂取で骨密度の低下が止まり、骨代謝が改善して、骨密度が増加した、副作用の子宮内膜の肥厚はみられなかった。イソフラボンの摂取で骨密度が

改善された等の報告があるが現在のところ確固たる結論は出ていません。どのくらい大豆製品を摂ればそれぞれの疾病に有効であるのかまだ不確定です。

どの程度の摂取量が有効かはわかりませんが、常に一定量のイソフラボンが血中に存在することが望ましいといえます。

 

 ✲大豆たんぱくの栄養価値・・・・・以前は大豆のアミノ酸バランスは最高点ではないというのが通説だったのが、1985年、たんぱく質には人間の体内では作れない

  必須アミノ酸が9種類含まれているが、大豆たんぱく質にも9種類(ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニンシスチン、フェニルアラニンチロシン、スレオニン、トリプトファン、バリン)すべてが

  含まれていることが明らかになった。たんぱく質消化吸収率補正アミノ酸スコアでの測定で牛乳(カゼイン)、卵(卵白)と同じ最高点であるとされ、植物性たん白では

  大豆たん白だけが最高点です。

✲大豆たんぱくの健康価値・・・・・食事中の動物性たん白を大豆たんぱくに置き換えると悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪が低下し悪玉と善玉の比率を改善する。

  大豆たん白とコレステロールの関係を示す栄養機能表示が認められている国は日、米、英、マレーシア、韓国など8ヵ国です。

  最近、大豆たん白に含まれるβ-コングリシニンに中性脂肪や内臓脂肪率を低下させる効果が明らかになった。トクホとしても許可されている。