肥満は体組成でチェック
肥満よ、とまれ!

メタボリックシンドローム

内臓肥満あれこれ

❈体組成からみた肥満の捉え方

人体は大きく脂肪組織、筋肉組織、骨組織、血液などの体水分に構成されています。そして、脂肪組織の割合は男性で15~25%、女性では20~35%程度で、

これ以外は徐脂肪組織として一括されます。肥満は体組成に占める脂肪組織の割合がこの範囲を上回った状態を指します。今日肥満の割合は男女とも40才以上の

20~30%に達しています。こんな中、肥満に関連する健康被害、糖尿病、高血圧、脂質異常症、痛風、冠動脈疾患、脳血管障害、睡眠時無呼吸症候群、脂肪刊、

整形外科的疾患及び月経異常などの合併頻度が正常体重者に比べ高率であることが知られています。

✦BIA(バイオインピーダンス):体脂肪率測定でBMIとの相関も高く、実用性に優れている。

今日の肥満の捉え方は、体脂肪の割合だけでなく、脂肪細胞の機能異常を伴う病態から、メタボリックシンドロームが提言され、これが高LDLコレステロール血症

とは別の機序による動脈硬化の要因として重視されるに到った。

❈体脂肪の蓄積部位とメタボリックシンドローム

我が国の健康問題を考えるとき、キーワードは飽食と運動不足です。このような状況下、我が国の3大死因は、癌、心臓病、脳卒中であり、後2者は動脈硬化に

起因することから新たな病態が提言された。それがメタボリックシンドロームです。すなわち、体脂肪、とくに内臓脂肪の過剰蓄積状態で脂肪細胞から産生される

アディポサイトカインの分泌異常が、遺伝を背景に高血圧、脂質異常、高血糖を誘導し、これが酸化ストレスを亢進し血管内皮傷害を引き起こすというものです。

2004年の国民健康・栄養調査で内臓脂肪型肥満に脂質異常症、高血圧、高血糖の、何らかの2つを合併したメタボリックシンドロームの該当者は、20才以上の

男性23%、女性9%、すなわち約1300万人、予備軍を加えると1900万人に達するものと推定されています。メタボの定義は「インスリン抵抗性、動脈硬化惹起性

リポたんぱく異常、血圧高値が個人に合併したことによる心血管病易発症状態である」というものである。診察では内臓脂肪の過剰蓄積状態と3高(高血圧、

高中性脂肪血症、高血糖)1低(低HDLコレステロール血症)のうち2つ以上を有する者がメタボと診断されます。全てが揃うと冠動脈疾患発症の危険度は30倍

以上になるとされています。

❈体組成計の仕組みと使用上の注意

体組成計の仕組みは人体に微妙な高周波交流電流を流し、その電気抵抗値(インピーダンス)により体組成を算出するものです。生体組織中では、筋肉を

主とする除脂肪組織の7割以上は電解質を含む水分で構成されるため、電気抵抗率は低く電気をとおしやすくなっています。一方、脂肪組織は水分・電解質を

ほとんど含まないため、電気抵抗率が高く絶縁体と考えます。体の電解質組織を円筒形と仮定すると、電解質組織の体積(除脂肪組織量)は長さ(身長)の

2乗に比例し、インピーダンスに反比例します。この理論を応用することで脂肪組織量と除脂肪組織量が求められます。発展改良を経て家庭用体組成計もあり

精度も向上しています。使用上の留意点は水分の体内分の変化或いは体温に影響される点です。体脂肪率の日内変動を見ると早朝起床時が最も高く、その

理由は就寝中下肢の水分は身体のほうに移動するため、両足底で計測するこの機器では体脂肪率は高値に出る(水分が少ないので)。その後の立位の

姿勢で水分が下肢へ移行するので、体脂肪率は安定してきます。測定のタイミングとしては起床後2~3時間経過後が適当です。激しい運動、長時間の入浴、

大量飲酒後は不向きです。BIAは、熱の影響も受けるので発熱時や寒冷時は避けるべきです。高齢者などで足底部の乾燥や皮膚の角化が著しい場合は

異常低値を示すことがあり、この場合は水やアルコールを電極に滴下します。以上の点に注意を払うならよい装置として肥満の予防や減量に役立ちます。

✦日常生活の中で体重測定を実行している人は非常に多いが低体重でさらなる減量をしている若年女性の4割にも見られ自己認識のずれが懸念されます。

一方、BMIが広く肥満の判定基準に用いられているが、このBMIと体脂肪率との間にギャップが見られる、とくに筋肉体質の場合BMIが大であっても体脂肪率は

少なく計測されてきます。逆にBMIが小であるのに体脂肪率は多く出るケースもいわゆる隠れ肥満として認識されることになります。

また、健診時における各種臨床検査との関係では、BIA体組成計による体脂肪率は糖・脂質代謝、肝機能、および血圧と有意な相関が認められ、このうち

血液脂質検査との相関性はBMIより優れているという結果も見られるほどです。

✦4月に始まる特定健診・保健指導では、メタボリックシンドロームの対象となる者の確実な振い分けが必要となり、体組成計は必須のものになると思われます。

メタボを心血管病へ進展させないための有力手段は食事と運動療法による3~5%以上の減量です。このための適切な生活習慣は「1無、2少、3多」となります。

1無は禁煙、2少は小食(腹7、8分目)、少酒(アルコール量で20g以内)、3多は多動(積極的に運動する)、多休(十分な休養・睡眠)、多接(多くの人、事、物に接し、

よい趣味を育み、創造的な生活をする)です。これらは肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病のいずれにおいても基本の養生法となります。