リウマチ・関節症を克服する

がっちり守られていながら柔軟に動く、関節の構造は実によく出来ています。こんな立派な関節も、関節リウマチになると炎症を起こし、やがて関節全体が破壊されていきます。

関節の隙間=間接腔を覆う滑膜では、何らかの原因で炎症が始まります。進行度でいうとステージ1です。そのきっかけが細菌やウイルスなどの外敵なのか、はじめから免液の異常なのか

まだ分かっていません。炎症部分を観察すると、そこにはヘルパーT細胞、B細胞などのリンパ球、好中球、好酸球などの顆粒球、マクロファージなどたくさんの免疫細胞が集結しています。

そしてサイトカインを放出して滑膜細胞を攻撃し炎症を起こしているのです。炎症とは本来傷が治る場合に起きる現象なのだが、関節リウマチの場合はそうではなく、集結した免疫細胞は

この時点で異常をきたしており、敵ではない滑膜のタンパク質に攻撃を始めてしまうのです。そして次から次へと集まった免疫細胞達が、はじめは滑膜、次いで軟骨をと範囲を広げ、やがて

手当たり次第に攻撃を繰り広げていきます。勘違いで始まった炎症がどんどん悪化していきます。ステージ2になると、関節腔には関節液がたまって腫れていきます。関節部分を外から見ると

紡錘形に腫れており、熱を持っていることもあります。よく「間接に水がたまる」と言いますが、この水の正体こそ関節液です。この関節液の中には、様々な免疫細胞やそれらが放出した

化学物質が充満しています。その中にはりウマノイド因子といって、自分の成分を攻撃対象と間違えて作られた物質もあり、病気の初期検査でこの物質がみつかり、関節リウマチと診断される

ことがあります。このりウマノイド因子が免疫グロブリンという物質と結合すると免疫複合体という状態になり、これも好中球という免疫細胞の攻撃対象になります。好中球は免疫複合体を食べ、

タンパク質分解酵素や活性酸素を放出します。これが滑膜や軟骨を破壊していくわけです。さらに悪いことに、これら免疫細胞を指揮するヘルパーT細胞という免疫細胞が、その配下の

マクロファージやキラーT細胞を総動員して攻撃を展開していくので、関節内は戦争状態です。しかも敵と味方の区別もつかない内乱で収拾がつきません。炎症は次第に激しくなり、痛みと腫れは

だんだんひどくなっていきます。免疫細胞たちが攻撃対象にしているのは何なのでしょうか?免疫が誤認識して攻撃するタンパク質とは関節の主要成分であるⅡ型コラーゲンではないか?

という説が有力です。コラーゲンはアミノ酸でできた網目状、あるいは腺維状のタンパク質で、身体の細胞と細胞をつなぐ役目を果たしています。

Ⅱ型コラーゲンは軟骨や骨を構成する主要タンパク質です。関節の主要成分が攻撃対象では戦いは終わりません。病気の原因がウイルスや細菌などによる感染症、怪我などの損傷ならば

治療方法はわかりやすいものです。関節リウマチは、免疫が自分の身体を攻撃してしまう自己免疫疾患ですから、治療は簡単ではありません。何しろ原因物質が関節の主成分であるタンパク質

なので、これを取り除くことはできません。そのため治療は、起きている炎症を治めたり、免疫の働きを弱めたりする対処療法になります。根本から治す根治療法ではありません。

抗リウマチ薬の最大の問題は、関節で起きる免疫の働きを抑えるために、全身の免疫も全て抑えてしまうので、そのため、関節の炎症は抑えられても、他の病気の危険が高まってしまうのです。

自分で自分を攻撃する自傷行為、暴走行為。この間違いを正すこと、全身の免疫を低下させず、病気の発生部分だけの免疫を抑制する方法がリウマチ治療の課題です。

✤免疫寛容とは原因物質に対して寛容になる、受け入れる、無反応になるという意味ですが関節リウマチ治療の補助的な方法としてサプリメントとして活性Ⅱ型コラーゲンは関節の主要成分

Ⅱ型コラーゲンと同じで、誤認識され攻撃の対象になるものです。これを摂取すればさらなる攻撃が激化するのではないか?と思うが、ここで免疫寛容が起き小腸で異物や外敵と認識されず

通常の栄養物として吸収されていくのです。この反応は全身の免疫システムに伝えられ、関節の免疫細胞にも届きます。するとⅡ型コラーゲンに対して無反応になり、やがて炎症が沈静化します。

代表的な免疫寛容は「経口免疫寛容」で、もともと口から摂取された物に対して免液はあまり厳しい反応をしません。病原体や毒物は厳しく排除されるが、栄養物に対しては極めて寛容です。

栄養物にいちいち反応していては、我々は栄養失調になります。過剰反応してしまうのが食物アレルギーという病気です。口から摂取されたものは口、食道、胃、小腸へと進みここで栄養の吸収が

行われる。小腸の表面のパイエル板という免疫組織が毎日入ってくる膨大な量の食物を有用、不要、或いは有害、無害と的確に判断します。小腸に常駐している免疫細胞は最大です。

これらの免疫細胞は、骨髄で生まれて全身を循環し、胸腺や腸管(小腸)で成熟し、リンパ節やパイエル板、脾臓などの全身の免疫組織に定着します。各部位で起きた免疫の暴走に対して

全身で対応するのです。消化管は、始終食物が通過しているが、血液中には食べ物に含まれる物質(抗原)に対する抗体は用意されておらず、腸管に用意された抗体がキャッチし、

すべて中和してしまうのです。

✲自己免疫疾患には膠原病、花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患があります。これらの病気は、いずれも本来は自分を守る免液が異常をきたすことで発生します。

免液の暴走であり過剰防衛反応です。最近では免疫寛容を活用した治療法が研究されている。「毒には毒を持って制す」的考えが免疫を作る基本のようです。

臓器移植が、免疫寛容を応用する拒否反応からの防御が最も期待される分野です。現在の拒否反応を防ぐ手立ては免疫抑制剤だが、これは全身の免疫力を低下させるので

臓器移植の成績は進歩したが、感染症のリスクが高まりました。拒絶反応とは免疫の過剰反応そのものです。この現象は、関節リウマチなどの自己免疫疾患と同じメカニズムです。


✤関節の仕組みと炎症の原因

私達の体には約200個の骨があり、すべて関節でつながっています。向き合った骨の面は、水分の多い弾力性のある軟骨で覆われています。

軟骨と軟骨の間は関節腔という隙間があり、関節液がたまっています。関節液は関節をスムーズに動かす潤滑油であり、関節の栄養補給路です。

関節腔は滑膜という1mmに満たない膜に包まれているが、ここから関節液が分泌されています。さらに関節は関節包という袋に包まれており、

骨と骨はその周辺の丈夫な靭帯によってつながれています。関節の部位によって、形も曲がり方も違っています。肩関節はぐるりと回せるよう

丸くなっており、直線的な蝶番のような形です。関節は何重もの仕組みで守られた柔軟な構造になっており、固い骨と骨がぶつかる衝撃を

和らげるクッションの働きをしています。これで私達は、跳んだり跳ねだり走たっり、体重や運動の負荷が加わっても骨を痛めずに動かせるのです。