✤”沈黙の臓器“肝臓は体の司令塔

肝臓は辛抱強い臓器で、日々我々が食べ過ぎ、飲み過ぎ、睡眠不足というような不摂生を続けても、不平不満を言わず黙々と働いてくれます。心臓ようにドキドキしたり脈を乱したりして、

赤信号を送らないし、胃のように激しい痛みで不調を訴えることもありません。とにかくかなり悪化するまでめったなことでは悲鳴をあげません。沈黙の臓器といわれる理由です。

しかし、我慢強いのも1つの弊害で、かなり重症化するまで自覚症状が現れない。肝細胞の70%が壊れてもなお沈黙を続けるこの異常な我慢強さが肝炎の発見の遅れに繋がるからです。

肝臓
は重さは平均して1300g、人の体重のおよそ1/50が理想的と言われている。最近肥満の危険信号を脳に発しているという研究報告が発表された。肝臓内に脂肪がたまり過ぎると、

脳に信号を送り肥満を防いでいるというのです。肝臓内に脂肪が蓄積するとエネルギー消費(基礎代謝)が通常より3割アップし1週間で脂肪が半減した(動物実験)。

肥満はこの情報経路に障害がある場合以外、脂肪分解を上回るペースで飽食した時に起こる。

✤ストレスと肝臓の危ういバランス関係

自然治癒力の自律神経の調節機能はストレスによって影響を受けます。神経には本性機能と自律神経の2つがあり、前者は脳からの命令、つまり私達の意志によって動かせる神経です。

筋肉を動かしたり、5感を働かせるのが本性神経の仕事です。一方、もっぱら内臓の働きをコントロールしているのが後者です。交感神経と副交感神経の巧みなコンビ・プレーで、各臓器に

送り込む血液の量を調節したり、活動と休息のリズムを作ります。昼間には活発に仕事をさせ。夜には睡眠を誘導して内臓を休ませます。

交感神経は緊張型神経と言われ、血管を収縮させます。副交感神経は休息型神経、つまりリラックス神経で、血管を弛緩(ちかん)させ、休養や睡眠に備えます。人間の血液は、体重の

およそ1/13といわれ、体重65kgの人は約5㍑の血液を所有しています。でもこれでは全身にくまなくいき渡らせるには不足です。そこで自律神経が働いて、その時々で活動していない組織の

血管を収縮させ、血液を回して補ってやるわけです。臓器の中で最も血液の出入りが激しいのが肝臓で、血液量の50%が集まっていて、エネルギー生産の材料になるブドウ糖を生産している。

肝臓に、毎分1.5㍑もの血液が出たり入ったりするのはそのためです。肝臓は門脈という栄養素となる原料を運ぶ特別の血管を備えている。

その肝臓から血液が減る時が食事と運動の時です。食事の時は胃や腸の消化管に振り向けられ、運動中は心臓は鼓動を早くして手足の筋肉に血液を集中的に送ります。

このような血液移動を指令しているのが自律神経です。このようにして、私達が目覚めている時は交感神経が、睡眠中は副交感神経が働く。この絶妙のバランスをストレスが壊すのです。

その結果はたちまち肝機能の低下を招くでしょう。交感と副交感神経の働きがが逆になると睡眠不足からイライラがつのり、アドレナリンやノルアドレナリンといった興奮ホルモンが分泌される。

アドレナリンは不安を増幅するので恐怖のホルモン、ノルアドレナリンは怒りや憎しみを増幅するので怒りのホルモンと呼ばれています。筋肉も内臓も緊張して、まるでヒステリー状態です。

食欲は低下し、血圧や血糖値もグングン上がってしまいます。それから自律神経の失調は体内の免疫系にも大きな影響を与えます。何故なら、免疫細胞のリンパ球は夜間に活発化するから。

免液をつかさどる白血球には、顆粒球とリンパ球があり前者は粒子の大きな細菌を食べ、後者は粒子の小さいウイルスを狙い撃ちにします。そして交感神経が活発な昼間は顆粒球の出番、

副交感神経の働きが活発な夜間はリンパ球の出番という役割分担しています。つまり昼間は外傷を負う危険が多く、その傷口からの細菌と戦う顆粒級と夜間は血液内に侵入したウイルスと

闘うのがリンパ球です。夜の睡眠が少ない人は、免疫力も落ち、自己治癒力を弱らせているのです。顆粒級とリンパ球の正常な比率は一般成人で前者が60%、後者が40%と言われています。

中年以降はリンパ球の割合が加齢とともに下がってきます。このバランスをコントロールするのも自律神経です。男女では女性の方が3%ほど高い。平均寿命の差に関連しているのでしょうか?

というわけで、交感神経ばかり働いている人はウイルスに狙われやすく、肝臓も休む暇がなく、健康で長生きはできません。このように、自律神経の失調は睡眠不足を招き、さらには便秘や

冷え症まで、あらゆる健康の大敵になります。そのためには、失調の大きな原因となる生活のリズムのチェックやストレスを防ぐ工夫をしなければなりません。

人間の寿命を握る生活習慣の意外な結果

最近、血液の状態がサラサラとかドロドロと言った粘り気のことが話題にされています。中には、これを利用して即席の血液検査でドロドロ血を見せつけ、高価な健康食品を売りつける

業者も現れているようですが、この簡易血液検査がくせ者で、大体血液というのは、採血してから時間の経過によって変化するし、量が多ければサラサラ流れません。叉採血の前に

何かのストレスを受けると、血小板が身構えて赤血球がつながってしまいます。また赤血球は空気に触れると形がイビツになります。これらの要素を考えて判断が必要です。

赤血球は大きさが7~8μあり、直径10μの毛細血管の中をすいすいと通り抜ぬけることはできないが、変身上手で体を細長くしてスムーズにくぐり抜け各細胞に酸素を送り届けています。

それから赤血球は1個1個がマイナス電子を帯電させて、赤血球同士が固まるのを防いでいます。もちろん本当に血液ドロドロの人もいます。中性脂肪、コレステロール、血糖値の高い人は

要注意です。動脈硬化のもとになるし、血栓が飛べば脳梗塞や心筋梗塞の原因になります。またストレスも血液をネバネバにします。人は強いストレスを感じると、交感神経が緊張して、

ストレスホルモン”カテコールアミン”を放出します。このホルモンは驚異的な瞬発力の源にもなるが、一方では血管を収縮させ、血小板を凝固させて、塊にしてしまう副作用も持っている。

✱プラス発想を生み出す“もう1つのホルモン”

何故私達が夜になると眠くなり、副交感神経が働きだすのでしょう?それは脳内ホルモンの睡眠ホルモンといわれるメラトニンや休息ホルモンのアセチルコリンのおかげなのです。

特にメラトニンは外界が暗くなると盛んに分泌され、夜になったら眠くなる、朝になったらスッキリ目覚めるということで、人間の寿命を握るカギと言われます。ところがこのメラトニンは

その分泌量が6歳で最大、16歳ぐらいから減り始め、50歳ではピーク時の半分以下になってしまう困ったホルモンです。他に大事な働きをするホルモンがあり、至福の感覚が味わえる

”快楽ホルモン”のドーパミン、お酒を飲むと気が大きくなる”愉快ホルモン”のセロトニン、意欲満々になれる”ヤル気ホルモン”のベータ・エンドルフィンなどがあります。

ベータエンドルフィンとセロトニンはプラス発想によって活性化されるという説。身体の60兆個の細胞の中の遺伝子はみな同じだが各部位に必要な遺伝子のスイッチがONかOFFになっている

だけでOFFの遺伝子も潜在的に可能性を持っている。ですからノーベル賞学者も一般人も人の遺伝子暗号の並び方はさして変わらないそうです。両者の違いはよい遺伝子をONにしているか

OFFにしているか。即ち、よい遺伝子をONにして悪い遺伝子をOFFにすれば、無限の可能性が開けるということです。プラス発想とは必ず良くなると念ずることです。心をいつも志とか感動、

そして喜びにで満たしていれば、遺伝子にもその念が通じるのだそうです。

✱睡眠は肝腎の腎を守る

お釈迦様は92歳の長寿をまっとうしました。その長寿の秘訣は「菩提樹の下で休んでいたからだ」という話があります。「休」という字はニンべんに木の組み合わせです。睡眠の大事さは

体や脳の疲労回復、また腎臓を守る。腎臓は精力の源泉で、睡眠不足は体調のバランスを崩し、性ホルモンや酵素が十分作られず、漢方医学で言うところの「腎虚」です。成長ホルモンも

夜の睡眠中にたくさん出ます。年をとっても出るが昼間の活動の疲れを取ったり、傷の修復をしてくれるが加齢とともにその分泌量はどどん減っていく。きちんと眠らない人は老化が早い。

睡眠にも効果的な時間の長さと時間帯がある。睡眠は”寝だめ”がききません。PM9~11に寝てAM5~7に起きる。細胞の新陳代謝作用が行われるのもPM10~AM4の間。この時間帯に

寝る習慣をつけないと生体のリズムが乱れ、新陳代謝がうまく行われない。漢方の「()の刻に寝て()の刻に起きる」と同じです。


人生の幸せは肝臓で決まる