情報過多時代の食と健康の考え方

 

  ✤体にいい食品・悪い食品

                                                                             食の安全性についてのQ&A

無添加食品なら安心?

リンゴのエチレンがじゃが芋の発芽を抑制?

ミネラルウオーターのミネラル量?

提示された実験データの見極め方

食品照射  放射能が心配

食にまつわる事故・事件のとらえ方

フッ素で虫歯予防、水道水にも必要?

巷の健康食品についてのQ&A

  ✲無添加食品なら安心?

  「無添加だから体にやさしい」とか「食品添加物を使っていないから安心して食べられます」という宣伝を見るが、食品添加物はやはり体に悪いものなのでしょうか?

  まじめな消費者は悩み「一見、豊かな食生活も実は怖い食品ばかり。危険な食品添加物漬けの食生活で我々の健康は蝕まれている」と脅かされる一方で、

  「食品添加物は現代の食生活になくてはならない物。安全だから心配無用」とも聞かされるのですから。安全な食品を求める消費者が気にする代表格の1つである

  食品添加物に対しては、大きな誤解がいくつかあるようです。

  ✶その1 食品添加物は全て特殊な物質、という誤解→食品添加物に対する規制は明治初期に色素の取り締まることから始まり、現在に至るが95年の改正で

  既存添加物(498個の天然添加物)、動植物から得られる着香を目的とする天然香料、一般飲食用添加物とに分けられ、新たに開発される物は指定添加物となります。

  食品添加物と聞くと、限りなく人工的な物質というイメージがあるが決してそうではなく、アミノ酸や有機酸、ビタミン、無機塩類など、通常の食品成分が多くあります。

  酸味料のクエン酸は梅や柑橘類に多くあり、着色料として使われるリボフラビンはビタミンB2です。日持ち向上剤として使われるグリシンはアミノ酸の1つです。

  ビタミンやアミノ酸も、ひとたび「食品添加物」という枠をはめると危険なもののように思ってしまうのは誤解です。

  ✶その2 食品添加物はすべて有害、という誤解→「ある物質が有害であるか否かは“量”で決まる」ということです。日常的に食べている食品の中にも、もしそれを

  1度に大量に摂取すれば、怖いことになる可能性があるということです。例えば、食塩の推定致死量は体重1kg当たり0.55gとされ、体重50kgの人では2.5〜250gの

  食塩を一気に飲み干せば人によっては死にます。じゃが芋には有毒物質ソラニンが100g当たり2〜10mg含まれています。成人のソラニン中毒量は推定25mg、

  致死量は400mgですから、1度に2kgのじゃが芋を食べると中毒を起こすかもしれません。時間をかけて飲めば酔うだけの酒類も、一気飲みでは死に至ります。

  少量ずつ摂取すれば体内の解毒機構によって無毒化される物質も、1度に大量に摂取すると処理しきれず、有害作用が発現するのです。

  食品添加物として使用が許可されている物質は、現在の科学水準で危険でないことが確かめられ、決まりに従って使用することとなっています。

  ✶その3 使用された食品添加物は全て食べている、という誤解→食品添加物とは、食品衛生法に「食品の製造過程でまたは加工もしくは保存の目的で、

  食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう」と定義されている。食品に添加された物質だから、その食品を食べる時にその添加物も

  一緒に食べる」とする誤解があり、食べる段階で食品に残存するものと、しないものがあることは理解されていません。着色料、香料、調味料、甘味料、酸味料、

  保存料、殺菌料などはその食品と一緒に食べています。豆腐製造に必須の豆腐用凝固剤(硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、グルコデルタラクトンなど)やコンニャク

  製造に必須の水酸化カルシウム(消石灰)もそれぞれの食品の一成分として食べています。豆腐やコンニャクにカルシウムが比較的多いのは凝固剤の為です。

  食べない食品添加物とは製造過程で用いられ、出来上がった食品には含有されない食品添加物のことです。缶詰のミカンは内側の薄皮まできれいに取り除かれて

  いるが、これには塩酸や水酸化ナトリウムの希薄溶液による処理が行われています。しかしながら水晒しされているので最終製品にそれは残りません。

  大豆や菜種から油を抽出する為に用いるヘキサンは食品そのものには残りませんから、食べない食品添加物です。但し、食べないとは言え、食品がじかに接するので

  有害不純物が混入して食品を汚染しないように、食品添加物としての規格基準が作られ、それに基ずいて使われていることになっています。

  ✶その4 食品添加物はインチキやごまかしの道具にされているのでは、という疑惑→基準に従った使用方法と使用量であるなら食品添加物は無害である

  としても、低品質の原料食材を、巧みな食品添加物使用術で高級加工食品に生まれ変わらせるとか、数ヵ月にわたる熟成期間が必要な加工食品を短期間で

  それらしく仕上げてしまう、というようなインチキやごまかしの道具に使われているのではという疑惑があります。食品添加物が現代の食生活に不可欠の物質である

  という論に全面的に同意できない点です。例えば漬物ですが、昔とは違う忙しい現代に、何か月もかけて漬物を漬けることなど、時代遅れかもしれないが、野菜と

  食塩と時間が醸し出す漬物本来の深い味わいは失いたくない伝統の一つです。現代の漬物産業は食品添加物の力を借りてこの伝統を消し去ろうとしているのでは?

  と思えてきます。しかしながら、それをインチキ・ごまかしと受け止めるか、現代の技術力の成果と見なすかは人によって意見が分かれることでしょう。

  今時、食塩濃度の高い昔式の漬物は体に悪いということかも知れないし、薄塩の漬物は野菜の摂取量を増加させるのに効果的という考え方もできます。

  保存料・着色料・調味料使用・要冷蔵の漬物を一概に非難はできません。他の加工食品でも品質にばらつきのある原材料を一定の水準の製品に仕上げるには

  食品添加物が欠かせない事情もあるでしょう。食品添加物不使用をことさら強調する漬物は食品添加物への不安に便乗するいやらしさを感じます。

  ✶不安扇動・便乗ビジネスの存在→ある物を体に悪いとして消費者の不安を扇動し、その不安に便乗して自社製品を売る込む手法です。このビジネスが暗躍し、

  食品添加物に対する不安を必要以上に煽っている感があります。焼きたての自家製パンはおいしいが、すぐ硬くなります。食品添加物を使用している市販のパンは

  購入後数日たっても軟らかいままです。自家製おにぎりは細菌の繁殖が気になるが、コンビニで売っている物は時間が経過しても米でんぷんが老化しにくいよう

  食品添加物が使われています。生鮮食品や乾燥食品を調達して自ら煮炊きすることを基本にしていても、食品添加物と無関係に食生活を営むことはできません。

  基礎的調味料(砂糖、醤油、味噌など)や植物油などの製造に食品添加物は必須だからです。全ての食品添加物を排除した食生活を望むのであれば自給自足

  を覚悟するか、非常に限られた食材での食事ということになります。「無添加だから体にやさしい・安全です」は飽和状態の食の市場を巡る熾烈な販売合戦の産物です。