頻尿・尿意切迫・尿失禁

❈頻尿とは排尿の回数が異常に多くなる現象ですが、昼間に8回、夜間に2回、合わせて10回以上になる場合を言います。正常な人でもビールやジュースを飲み過ぎたりした時には

当然トイレが近くなりますが、これは体内の水分を排出しようとする自然な生理的反応で頻尿ではありません。普通トイレの回数は、成人では昼間4~5回、夜間0~1回、合計5~6回です。

✦頻尿の原因には心理的要因と膀胱や尿道などの下部尿路器に病気や異常がある場合です。前者を神経性頻尿と呼び、ストレスや恐怖心など精神的な要因で起きます。緊張感から

トイレが近くなるのもこれです。こうしたことの繰り返しで頻尿が恒常化したり、長時間トイレを我慢することの繰り返しも頻尿に陥ることもあります。後者には次の4つがあります。

①膀胱が敏感になっているために起きる・・・・・多くの原因は膀胱炎です。膀胱が敏感になって尿を貯められなくなる。通常、尿は60㎖/1時間作られるが、100㎖貯まると尿意を覚えるため、

 2時間ももたなくなります。膀胱炎の他、尿道炎、前立腺炎(男性)、膀胱・尿管結石などでも同様の症状が起きます。

②膀胱の容量が減るために起きる・・・・・筋肉の疲労・老化、或いは膀胱内にできた腫瘍や結石が原因で膀胱が縮まり、容量が減ります。或いは膀胱の周辺の臓器の腫瘍で圧迫され

 容量が減ります。妊娠中の頻尿も同じ理由です。

③尿の量が増えるために起きる・・・・・尿崩症(にょうほうしょう)、糖尿病、慢性腎不全などの病気が原因で尿量が増えるため、排尿回数が増えます。

④膀胱内の尿を1回の排尿で出しきれない・・・・・いつも尿が残った状態になるため、何回もトイレに通うことになる。男性の前立腺肥大症や前立腺癌、脳梗塞、脳血管障害が原因です。

✦就寝中の頻尿はなぜ起きる?年をとると夜、トイレに何度も起きるというが、必ずしも年齢には関係なく、むしろ何らかの原因で膀胱が過敏になり、一定以上の尿を貯ておけなくなるのです。

この場合、昼間目覚めている時は交感神経の働きで意識的にオシッコを貯めたり我慢したりできるが、寝ている時は交感神経も休んでいます。代わりに副交感神経が起きているが、

その働きは無意識なので、我慢して貯めておくことができにくくなるのです。原因となる病気は、前立腺肥大症、神経因性膀胱、更年期障害、心不全などです。

✦排尿後もすっきりしない残尿感。原因は膀胱筋の収集く力が弱くなり、貯まっていた尿を出しきれなくなる場合が多いのですが、なかには全量排出しているのにもかかわらず、神経が

まだ尿が残っているように錯覚してしまっている場合もあります。するとトイレから戻ってきても、またすぐにトイレに行きたくなるわけです。それを繰り返していると排尿のコントロールが

きかなくなり、やがて本当の頻尿の症状が起きてきます。残尿感が起きるきっかけは、膀胱炎、男性の前立腺炎や前立腺肥大症などです。

✦頻尿は尿失禁の始まり。頻尿と尿失禁は深い関係にあります。尿失禁の多くは、膀胱や尿道、並びにそれらを支えている筋肉の衰えから起きます。頻尿はその前段階ですから、尿失禁の

警告と考えられます。膀胱炎を何回か繰り返してうちに膀胱過敏症になり、膀胱痙攣を恒常的に起こすようになる。この段階で頻尿が起きるが、並行して膀胱の筋力の減衰退が始まります。

この場合に起きる尿失禁は膀胱並びに周辺から泌尿器を支えている筋肉が弱った結果起きるものを腹圧性尿失禁、膀胱yが委縮してサイズが小さくなったために起きるものを切迫性尿失禁

と呼びます。いずれも自己改善が可能です。尿失禁は、排尿の仕組みの故障から起きます。故障には泌尿器の老朽か破損、膀胱や尿道の壊れ、さらには排尿神経系の故障のいずれかです。

✦排尿の仕組み。私達は毎日1000~2000㎖の尿を排泄しています。排尿は身体の生命活動に絶対欠かせない水分の循環や、老廃物の排泄の機能を果たしながら、健康維持と活動に

大きく寄与しています。尿は、全身を循環している血液が腎臓を通過する時、ろ過されて作られます。尿意は膀胱に一定量(250~300㎖)貯まると、脳がオシッコガ貯まっていると教えるのです。

腎臓は昼夜尿を作り続けているが、その量はおよそ1分間に1㎖くらいです。膀胱に尿がたまる間、尿道には開かないように筋肉が締める力が働いているが神経と筋肉の絶妙なコンビです。

オシッコを我慢したり、出したい時に場所を選んで排尿する判断は脳がしているが、脳に膀胱の貯まり具合を伝えたり、筋肉の収縮や弛緩させたりしているのは脊髄の排尿中枢です。

交通事故なので脊髄に損傷を受けた時に排尿障害が起きるのは、この情報の発信、受信が失われるからです。

尿道の周りには内尿道括約筋と外尿道括約筋という2種類の筋肉があり、前者は自分の意志で動かす力は弱く、後者は自分の意志で強力に動かすことができます。男性には両方の括約筋が

あるが、女性には前者の内尿道括約筋しかなく、後者の外尿道括約筋はありません。ですから、女性の尿失禁患者の数が男性より圧倒的に多いのです。膀胱は筋膜や靭帯に包まれた丸い

袋状の臓器ですが、壁は三層の筋肉でできていて伸縮しやすくなっています。そして、骨盤低筋群と呼ばれるたくさんの筋肉や弾力性に富んだ筋膜によって支えられながら骨盤の中に収まって

いるが、その様子はちょうど柔らかいハンモックに揺られる赤ん坊のようです。さらにこのハンモック状の筋肉は、膀胱の出口や尿道が緩まないように締めたり、膀胱の位置がずれたりしないよう

にしています。形態的に尿漏れを起こさない状態を作っているが、筋肉が弱ってくると、膀胱の出口が開いてしまいます。昔からヨーロッパ各国でペポカボチャの種子オイルがこの筋肉群を

活性化させるので尿失禁に効くといわれ使われてきました。

✱尿失禁の5つのタイプ

✧腹圧性尿失禁・・・・・咳、くしゃみ、立ち上がる、荷物を持ち上げるなど、瞬間的にお腹に力が入ったときに漏れてしまうのが特徴です。これは最も多いタイプです。

 膀胱を支えている骨盤底筋群の筋膜が緩むと、膀胱が下にずり落ちてきます。その結果、出口が漏斗(じょうご)のように開いた形となり、尿道を締めるのが困難になってきます。

 また同時に尿道を締める筋肉も弱ってくるので、一層尿が漏れやすい状態を作ります。膀胱が下がってくると尿道を上から押しつぶす格好になるから、弾力性を失った尿道は跳ね返す力が

 弱いだけに、垂直方向に立っていたものが水平方向に倒された格好になります。その結果、尿道は折り曲げにくくなり、膀胱の出口の締まりも悪くなります。

 これは出産後の女性に一時的によく見られます。同時に2度以上の分娩をした人に発症する確率が高い。妊娠や分娩により骨盤底筋が傷んだ為です。3~4ヶ月で筋肉も子宮も回復するが

 個人差があり、年をとってから再び緩むことは珍しいことではない。また肥満も原因で、脂肪が増えることで筋肉が弱くなり、臓器や脂肪の重量が骨盤底筋にかかり続け筋肉が疲れてしまう。

✧切迫性尿失禁・・・・・急に尿意をもよおして、すぐにトイレに駆け込んでも、下着を下ろす間も待てずに漏らしてしまうタイプ。原因は①膀胱の知覚異常(急性膀胱炎、膀胱結石などが原因) 

 ②排尿を抑制する神経の障害(脳出血、脳梗塞の後遺症やパーキンソン病などの中枢神経に関係した病気の時) ③閉経後の膀胱縮小、長期の膀胱の疾病の結果  

 膀胱の収縮弛緩の運動をつかさどる副交感神経の問題で、もし、これが興奮して膀胱の筋肉が強く収縮すると、尿を貯める余裕がある時でも排尿中枢は満タンだと認識してしまい、

 排尿を命じます。膀胱に炎症や結石があるなど異常が長く続くと、副交感神経を刺激して興奮しやすくなり、ホルモンのバランスが崩れたりしてこの失禁が起こる。

溢流(いつりゅう)性失禁・・・・・膀胱に尿が貯まり過ぎたために溢れ出るという失禁です。普段から排尿困難があり、勢いがなく、出てもちょろちょろといった状態です。比較的男性に多い。

 このタイプは背後に、男性は前立腺肥大症、女性では子宮後屈などの原因の病気がある。尿が貯まり過ぎて膀胱が拡大し、膀胱の近くが鈍くなった結果、的確に尿意を感じて排泄することが

 できなくなる。収縮力も弱り自力で排尿できなくなり、膀胱は常時尿が貯まり過ぎているが膀胱からだらだらと溢れ出てくる状態。神経因性膀胱に分類されている低緊張や無緊張膀胱です。

✧反射性尿失禁・・・・・本人に尿意がなく、本人の意思とは無関係にかなりの量の尿が一気に出てしまいます。これを自動膀胱とも言います。脊髄は脳と臓器の連絡路の役目をするが、

 その脊髄に障害が起こり脳と排尿中枢が遮断され、排尿中枢が単独で働き排尿が起こるものです。交通事故や高所から落ちて背骨を折ったり、脊髄の病気が原因となります。

✧機能性尿失禁・・・・・膀胱や尿道などの泌尿器系臓器に問題はないけれども、それ以外の心身の機能に障害(意識障害、知能障害)があるために自由に歩けないなどで起きるタイプ。

 脳梗塞や脳性麻痺、或いは認知症や他の理由で歩行困難な状態になっているケース。

腹圧性と切迫性尿失禁の両者で7割以上になる。病気の性格上正確なデータは作れないが、多くの女性患者はどちらかにに当てはまる。

✧その他の尿失禁に全尿失禁(膀胱に尿を貯める能力がないために、腎臓で作られた尿がそのまま膀胱を通過して流れ出てしまう。手術の影響で尿道括約筋が働かない状態)

 尿道外尿失禁(先天的に尿道が通常の場所と違うところに開いていたり、或いは後天的にケガなどで尿道から膣などへ尿が漏れたりする) この2つを真性尿失禁とも言う。

 心因性尿失禁(心に何らかの障害があって起きます)