生命の回数券テロメア  

 

  ✲染色体・遺伝子・DNA・ゲノムの関係

  遺伝の研究はメンデルの法則から始まり、遺伝とは「形を作るための設計図、または情報を子や子孫に伝えること」で、この設計図や情報を「遺伝子」と呼びます。

  遺伝子はDNAとして、すべての生物の最小単位である細胞の「核」内にある「染色体」という部分に蓄えられています。しかし、遺伝子=DNAということではありません。

  DNAは二重の螺旋構造の状態でつながっています。生物の個体を形作っている蛋白質を作るための設計図の情報がたくさん並び、鎖状につながっています。このDNAの

  鎖の蛋白質を作るときに、暗号のような配列を決めるのが、遺伝子です。つまりDNAは「遺伝子の集合体」であるということです。染色体とDNAの関係はといいますと、

  細胞の核内に染色体があり、染色体の中はDNAの鎖が整然と何重にも折り畳まれた状態で存在しています。染色体は「DNAと蛋白質の集合体」です。染色体は、生物の

  種類によって異なります。人は23つい46本です。染色体のDNAの中に、個体の遺伝情報が蓄えられているのです。一方、「ゲノム」とは、ある生物の個体全体が完全な

  状態に保たれるために必要とする、あらゆる遺伝情報を言います。

  

   ✲あなたの寿命は、生まれた時に決まっている?

  一般に、動物の体を構成する細胞は、限られた回数しか分裂・増殖しません。その細胞分裂の回数は、動物の種類や細胞が由来する組織によって異なります。

  人の細胞はおおよそ50〜60回分裂したら生涯を終える様に遺伝子にプログラムされているのだそうです。限界まで分裂したら細胞分裂は停止し、分裂の停まった細胞を

  「老化細胞」と呼び、「ヘイフリックの限界」と言います。但し、これは体の全ての細胞に当てはまるわけではなく、脳や心臓や筋肉等のように細胞分裂をしない組織もあります。

  細胞の老化が、1人の人間の老化と直接関係しているかどうかに関しては、結論は出ていません。老化によって弱まった免疫システムの機能の低下がテロメアの短縮と

  関連している可能性は、指摘されているところです。胎児から採取した細胞に比べ高齢者の細胞は、分裂回数が明らかに少なく、また他の動物の細胞分裂の状況においても、

  個体の寿命と細胞分裂とは、関連があるとするとされている。老化に関しては、遺伝子のDNAやRNAの突然変異により老化が進むとするエラー説やフリーラジカルが核酸等と

  化学反応を起こすことで老化が進むとするフリーラジオカル説や間違って自分自身の細胞を攻撃してしまうために老化が進むとする免疫異常説等があります。

  また、ストレスや放射線、食品添加物、過食、運動のし過ぎ、その他もろもろの事柄が細胞分裂を早め、テロメアを短くしていることが分かっています。

  ✲女性が長生きする理由

  テロメアの長さは、父親から子に遺伝し、母親からは遺伝しないということが、原因は不明ですが、2005年米国で発表されました。人の細胞には精子細胞や卵細胞といった

  生殖細胞と、体を作る体細胞があります。体細胞には46本の染色体があり、それぞれ対になっていて、そのうちの22対44本は男性も女性も同じ常染色体と呼ばれ、残りの

  2本は男性がX染色体・Y染色体から成り立つXYで、女性がX染色体・X染色体から成り立つXXの、性染色体です。染色体には1から22まで番号が付いていて、1部を

  除いて基本的には含まれるDNAの量の順となっています。父親の精子と母親の卵子、それぞれ23本ずつの染色体を受け継いで構成されています。卵子に含まれるのは

  22本の常染色体と1本のX染色体で、精子には22本の常染色体とX染色体もしくはY染色体が含まれます。従って、子供の性別は精子によって決定されることになります。

  体細胞の46の染色体は、染色体ごとに小さく折り畳まれて、60兆のそれぞれの細胞の中にある核の中に納められています。そして、染色体の両方の末端に「テロメア」があり、

  細胞の分裂が起こるたびに短くなり、限界まで来ると細胞が死ぬ「細胞老化」が起こります。寿命を決める遺伝要因と言われ、細胞内のミトコンドリアが関わっていることが

  分かっていますが、一般に女性の方が男性より長生きなのは、テロメアが短くなりにくい為と考えられています。大学で血液の単球細胞のテロメアを分析調査した結果、

  男性の平均のテロメア減少率は、年間23塩基対であるのに対し、一方の女性は16塩基対となり、女性の方が長生きという定説が、実証されました。子供の出生率は

  いくぶん男子の方が多いので、地球全体の男女のバランスが取れているのかもしれません。自然界の力はまことに不思議で神の領域に入るのではと思われます。

  ✲の大きさと寿命の関係

  動物の寿命は一般に体が大きいほど長寿で、反対に体が小さいほど短命と言われます。「鶴は千年、亀は万年」と言われるが、亀の長寿は陸生亀で150年生きるといわれます。

  像はおよそ100年、馬は40〜50年、犬は10〜12年、兎は5〜7年、鼠は2〜3年ということで、体の大きい動物の寿命が長くなっています。平均体重でいうと像は3.8t、

  馬は700kg、犬は11kg、兎は2.2kg、鼠は225gとなっています。生き物の体重は普通体長の3乗に比例するとされています。体長があるということは体の表面積が大きいこと

  なので、効率よく熱を発散することができます。ということは体重当たりにかかる熱量は、体の大きい動物ほど少なくて済むことになるわけです。ということはそれだけ

  エネルギー代謝率が低く、酸素消費量も少ないことになります。逆に、体重の小さい動物ほど体表面から逃げる熱を補うため、エネルギー代謝率を上げる必要があります。

  代謝率との関係から、体重が2.5g以下の哺乳動物は存在が出来ないといわれています。この熱代謝率と寿命との間に関係がある訳です。体が小さくて熱代謝率が大きいほど、

  効率が悪いのです。そして、効率が悪い分、短命ということになります。例えば、人と鼠を比べた場合、鼠は人の30倍も代謝率が大きくて、寿命は1/30と短いのです。

  トリガ鼠の体重はたったの4gで、心拍数は毎分800回もあり、代謝が激しく、常に食べ続けています。ちなみに、この鼠の寿命は2年です。人の酸素消費量から計算すると、

  寿命は20才位となるが、実際ははるかに長寿です。この酸素消費量、熱代謝率のセオリーから見れば、人は例外的な動物ということになります。酸素消費量が大きいという

  ことは、大量の活性酸素の発生が生じ、これが細胞膜を傷つけ、DNAを傷つけ、テロメアの消費を高めることにつながります。脳の大きさと寿命との関係式があるが、

  この計算によれば像は89年、犬は21年、鼠は3.2年になります。ちなみに人間は92年となります。成熟に要する時間で寿命を計る方法もあります。これによると人間の場合は

  成熟年数を15才とすると、75〜105才となります。1900年頃(明治33年)で男性はの日本人の寿命は男性で42.8才、女性が 44.3才となっています。2008年で79.3才で

  女性が86才です。この寿命の伸びは、医薬品の進歩や衛生面の改善により感染症が減ったこと、乳幼児の死亡が減ったことも大きな要因と考えられます。女性の寿命の

  伸びは、過酷な労働やストレスからの解放も大きな要因ではないでしょうか。過酷な労働やストレスから生じる活性酸素は、テロメアの消費を早めていたことも考えられます。