人間の5感の中で視覚ほど大切なものはありません。患者さんが眼病、なかんずく失明を前にした時の不安感、恐怖感、絶望感に触れた時、他の病気とは比べようもありません。

視力が回復し、失明の危機から脱した時の喜びはそれこそ例えようもなく大きい。

化学的分析に始まる西洋医学・薬学に比較して、経験や口伝を軸に生まれた東洋医学は、ときには薬理効果の弱いケースもあるが、逆に西洋医学に劣らない優れているものもある。

「石決明」もその1つですが、明治時代に西洋医学に偏った政策が採られた結果、長い間忘れ去られてしまっていたものです。「石決明」とは生薬名でミミガイ科の貝殻の真珠層を指します。

中国では古くから上薬として眼病の治療薬として使われてきました。上薬とは長期間飲用しても副作用がなく、身体を健康かつ丈夫にする働きのある生薬という意味です。

1800年代日本でもブームとなりました。しかし、品不足から牡蠣殻が使われるなど、次第にまがい物も出回り、製法技術の未熟性、明治政府の漢方排斥政策等で次第に下火になりました。

それが現代の技術で真珠層に含まれる有機質等の成分を破壊することなく抽出し、さらに水溶性エキスに加工し、患者の体質を問わず十分に吸収され、少量でも効果があるものになりました。

✤アワビの貝殻エキスに含まれる成分

アワビの貝殻の真珠層、すなわち内側の輝いている真珠質の部分に次のような貴重な成分が豊富に含まれています。

✦コリン・・・・・∘体内でアセチルコリンとなり、副交感神経の働きを活発にします。 ∘血管の拡張作用があり、血流を改善します。その結果、眼球内の房水の排出を高めて眼圧を下げ「緑内障」

を改善します。 ∘神経伝達を活発にして、視神経の機能を向上させます。

✦コンキリオン・・・・・∘親和性のあるコラーゲン様淡白で、変性して失われていく水晶体コラーゲンを補いますから、「白内障」の予防、進行抑制、改善の働きをします。

∘強い抗酸化作用で水晶体のコンドロイチン硫酸やコラーゲンの酸化を防ぎ、「白内障」の予防や進行抑制に有効です。

✦グリシン・グルタミン酸・・・・・∘体内でグルタチオンに合成されて水晶体の酸化を防ぐことで「白内障」を予防し、進行を抑制します。

✦メチオニン・・・・・体内でアセチルコリンに変化して眼圧を下げるので「緑内障」に有効に働きます。

✦炭酸カルシウム・・・・・水溶性で吸収されやすいので、血中カルシウム濃度を高めます。その結果、水晶体内に流入するカルシウムを抑制することになり、「白内障」を予防し、進行を抑える。

✦炭酸マグネシウム・・・・・水溶性で吸収されやすいので、水晶体内に取り込まれます。取り込まれたマグネシウムは水晶体内のカルシウムと置き換わってカルシウムを排出します。

その作用が「白内障」を予防し、進行を抑制します。

✦セレン、亜鉛、銅・・・・・それぞれ抗酸性酵素の構成要素ですので、強い抗酸化力をもつ酵素を生成します。その結果、「白内障」を予防し、抑制します。

✤強力な副剤

✲養肝明目とは:肝臓と目とは深い関連があり、目の健康に肝臓の養生が欠かせないという考え方です。肝臓の症状が目に現れるのは西洋医も知るところで、肝機能障害による黄疸症状が

目に真っ先に現れることは、一般にもよく知られている。

✲君臣佐使:漢方薬の調合理論で、処方構成の法則です。君薬は上薬で養生を主として毒性のないもの、臣薬は中薬で養命を主として毒になる場合もあるもの、佐薬と使薬は下薬で病冶を

主とし、毒性も多いものを指します。アワビの貝殻抽出エキスをこれに当てはめると、君は石決明すなわちアワビの真珠層エキス、臣はクコ子エキス、佐はエビスグサエキスと菊花エキス、

使はショ糖エステルとセルロースがそれにあたります。

✧クコ子エキス・・・・・クコは枸杞と書くが、古来中国では高麗人参とともに不老長寿の薬として大切にされてきました。クコには多くのフラボノイド、特にルチンが大量に含まれています。

ルチンは活性酸素の除去、抗菌、抗ウイルス、毛細血管の強化、高血圧予防など、私達の体の健康維持に欠かせません。一般に目に良いとされるブルーベリー、黒豆、目薬の木、八目ウナギ

などもこのフラボノイドの働きです。またクコ子と呼ばれるクコの実にはアルカロイド、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸などの必須アミノ酸が含まれている。特に菊花と相性が良い。

クコ子は精血を補養し、肝臓・腎臓の働きを良くし、老人性白内障や視力減退に効能があります。クコ子と菊花との配合薬「杞菊地黄丸」はめまい、流涙、霞み目、ドライアイなどに使われる。

✧菊花エキス・・・・・菊は漢方では肝機能を高め、血と気のめぐりをよくする生薬として処方されていて、目の症状を鎮めます。目の疲れ、霞み、痛み、充血、視力低下などの改善に有効です。

✧エビスグサエキス・・・・・マメ科の植物のハブソウのこと。肝臓を健やかにし、目の働きを高めて、目の充血、涙目を癒します。



                                               

         

眼病は現代病の1つであると言えます。

生活空間の狭い都市生活、24時間眠らない街、或いはTV、TVゲーム、パソコン、受験勉強等々、現代の日本人は

子供の頃から目を酷使する生活を1日中送っていることが原因です。人間の目の耐久力は、今や限界に来ています。

空気や水の汚染など私達を取り巻く自然環境の悪化や、オゾン層破壊に伴う紫外線の増加など、目の健康を損なう

要因はこれからも増える傾向にあり、このような生活環境が目の健康にいいはずはありません。


白内障は、一般的には老人性白内障と言われるとおり目の老化現象ですから、加齢に伴って増える病気で、60才代

では6割以上の人が、80才代ではほぼ全員が罹患すると言われています。

緑内障は、眼球の中の圧力が上がり、それで視神経に障害が起きる病気です。その結果、視野狭窄や失明となります。

発症の原因は、先天性、外傷性、或いはステロイド剤の副作用、その他にもいろいろあるが、基本的にはそれらが

引き金となって房水(眼球を満たしている血清に似た液で、眼圧を保ち、角膜・水晶体に栄養を補給している)の循環が

滞り、眼圧が上がることで症状が現れます。