統合医療が良くわかる老い方上手

癌とどう向き合うか 「統合医療」は第4の革命
最先端医学から「統合医療」へ 21世紀の医療、そして老人学

  

           癌とどう向き合うか

  ❈心の持ち方と心身医学

  心と身体が1つであるということを医学的に証明し、これを病気の予防や治療に応用しようとする医学は統合医療の思想と同じです。

  心身医学の中には、瞑想法、つまり内観、またはヨガ、伝統医学、心理学的な療法が入ります。癌患者の心の状態と生存率を表した左図

  「私はもうダメだ」と絶望的に考えた患者は早く亡くなってしまう(D)

  「私は病気なのだなあ」と病気を自覚した人も早く亡くなってしまう(C)

   反対に、「私は癌ではない」と否定する人が2番目に長生きする(B)

    そして1番長生きする人は、「私は癌と戦う」とポジティブに考える人です(A)

    心の持ち方で、癌のような絶望的な病気に変化が生じる、これを研究するのが心身医学です。

  絶望的な症状の人が、ある日突然、ぐっと病状がよくなることがあります。それは何故なのか?

  ある時、自分が宇宙の中に生かされている小さな1個の存在だということに気がつくということがあります。

  宇宙というか、自然というか、世の中というか、それら自分を包み込んでくれる大きなものに感謝する

  気持ちを高めた時に、病状がぐっと好転する。このような事例はよくあり、これがまさに心身医学の真髄です。


  ❈誘導イメージ療法の効果

  これは、厳しい試合を勝ち抜いていかなければならないスポーツ選手たちの為に開発されたもので、例えば、プロゴルファーが、スタート地点に立った時、

  「私はあのグリーンの手前のバンカーを越えて、あのポジションにボールを落とす」と頭の中でボールが飛ぶコースのイメージをしっかりと描いて打つと、

  大体そのようにボールが飛ぶ、というのが誘導イメージです。これを病気の治療に利用したのが「誘導イメージ療法」です。

  癌は、悪性の場合、組織を無視してどんどん増殖していきます。そしてもう1つ怖いのが転移です。癌の本源がどこなのかすら分からなくなります。

  西洋医学では放射線療法や中性子療法などで転移を防ごうとするが、癌治療の1番の課題が転移の問題です。血液の中を癌細胞が転移して行く時、

  その周りをリンパ球が取り巻きます。これはNK細胞といい、癌細胞やウイルスが体内に入った異物を排除する作用を持っており、これが集まってきて、

  癌細部などの異物を殺すのです。その様子を撮影したビデオを、患者に見せ、「私はこういう風に癌に勝つのだ」というイメージを持ってもらうのです。

  代替療法では、このように精神的なもの、最近はスピリチュアリティともいうが、それを活性化させる試みがされています。人間は、目に見えないものに対する

  畏れを持っています。それを逆手に取って療法に取り入れるのです。

  ❈治療と治癒の違い

  Cureは治療で、Healが治癒、治ることです。癌の手術をして、癌細胞の全てが除去できなくても、癌と共存し、患者の状態がよくなった時、治ったとする、

  即ち,Healという人もいます。本人が治ったというのは統合医療的な考え方で、まだ癌が残っているではないかというのが西洋医学的な考え方です。

  そういう曖昧な考え方でいいのかという議論がこれから始まります。癌にかかって、自分は絶対負けないという人と、駄目だと思う人との生存率の差は、

  上記のごとくです。「私は治った」という人は、何故経過が良いのかを解明をしていったほうが、癌患者の為になるのではないかという考え方もあります。

  抗癌剤を使うよりも、心の持ち方で、延命のみあらず、QOLの状態が良くなるのなら、そっちのほうがいいのではないか?しかし、このように極端に考えると、

  西洋医学を否定することになりはしないか?と行ったり来たりの議論は今も続いています。

  ❈諦観の先に進むべき道

  「私は癌と戦う」とポジティブに向き合う人のほうが長生きすると言ったが、作家の五木寛之氏は、病気を克服するには、患者自身の意志が大事だとは、

  よく言われることです。病気と闘い、それに打ち勝って再起しようと言う積極的な姿勢こそ決めてだとも言われます。しかし、戦うためには、<敵>を定めなけ

  ればならず、敵が決まれば、次にはその敵を憎む闘争心が不可欠です。<許さないぞ!>と心に誓うことが必要です。しかし、それは果たして人間の心身に

  とって本当に良いことなのでしょうか?と疑問を投げかけている。西洋医学の目標は「まず病気と闘い、病気に打ち勝つ」ことで、それは欧米の社会が

  もともと対立と闘争で成り立っていて、神は全力で悪魔と戦うと言う思想を持っているからだと指摘しています。つまり病気は悪なのです。東洋では

  病気は外からの侵入者によって引き起こされるのではなく、人間内部の心身のバランスが崩れて生じると考えてきたと氏は言います。仏教では、

  四百四病はもともと人の内側に存在するものと教えてきました。ーもし、病が自分自身の中にあるものと考えるならば、病気を憎み、病気を敵として戦おうと

  することは、自分を敵とし、自分を憎んで戦うことになりはしないか?癌に対して<許せない!> と激しく闘志を燃やすことだけが、果たして再起への唯一の

  道なのかどうか、疑問だと言っています。 東洋人は身体と心が密接に関係していると考えています。「心身一如」というものです。西洋医学では癌は

  細胞が急に悪化して突然になると教えてきたが、どうもそうではないようです。癌は精神的ストレスとか、悪い環境にさらされると起こるのではないか。

  と言われてきたが、かなりの部分は、精神的なこと、ストレスが原因となって起こるのでは?最近、こういう精神的な問題を扱うサイコオンコロジーという

  医学が生まれてきました。癌にかかわる心理的な問題解決を目指した学問です。癌告知による患者や家族の心の問題、癌の要因になる心理的・社会的な

  問題を研究する分野等が含まれます。これは、今後、「統合医療」においても大きなテーマだと思います。