新ウソだらけの健康常識

  はじめにー21世紀は”心の世紀”

  ◆20世紀は薬の三大発見 人の死の2〜3割は”運に左右される”と言われています。例えば、脳梗塞や心筋梗塞は時間との戦いで、倒れても早く治療ができた

  場合と、時間が経って手遅れになったケースとでは決定的な差が出ます。夏にゴルフ場で亡くなる方がいますが、救急学会の先生に聞くと、その殆どは前夜の深

  酒が原因だとのこと。他に、正月のモチが喉に詰まって亡くなる方が年間薬1400名、血圧の薬を飲んで入浴して風呂場で倒れる方が年間4000名いますが、これら

  は少し注意すれば防げるケースです。個々ではそれ以外の7〜8割、医師とゆっくり相談しながら治療できる慢性の病気を中心に解説します。20世紀の薬の三大

  発見は何と言ってもビタミン、抗生物質、副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)です。免役に関しては、ワクチンの開発で多くの感染症が制御できるようになりま

  した。でhs、21世紀の医学の進展に期待されるものは何でしょうか。昨今の大きな話題の一つは再生医療の分野です。駄目になった細胞や臓器を再生しようと

  いう試みで、いわば幹細胞という種を植えて臓器にあたる茎や枝を育て、花を咲かせるといったやり方と言えるでしょう。この分野は日進月歩で、今世紀中にいく

  つかの疾患に応用されるはずです。私が思うに、もう一つ大きな期待が寄せられているのは心の医学の進展です。21世紀は”心の世紀”でもあるのです。ヨーロッ

  パでは癌で死を宣告されると、フランスのルルドの泉に行き、願をかけるそうです。1億人が出かけたとすると、そのうち約150人は癌による死から逃れるのだと言

  います。唯の迷信だと言われるかも知れませんが、要するに”心の持ち方”が大切だということです。乳癌末期の方々を、癌を受け入れて薬で身体的・精神的苦痛

  を取り除いた人たちと、多少の苦痛はあっても癌と戦い生き抜こうとする人たちの2群に分け、両者の予後を比較すると、後者の前向きな人々のほうが圧倒的に

  良いという統計が知られています。この例のように、気の持ちようが身体に影響を及ぼす事象は数多く知られています。その科学的な裏付けはまだ解明されてい

  ません。もしそのメカニズムが分かれば癌を始め多くの治療に役立ち、寿命を更に延ばすこともできるはずです。心の動きが何を介して体に影響を与えているの

  か。それを解明するのが21世紀の医学に期待されているのです。その一つのヒントは体の免疫系にあるのいではないでしょうか。ここでは、心の世紀に大きく関与

  していると思われる免疫系に焦点を当ててみたいと思います。

  ◆いい加減で楽観的な人ほど長生きする 楽観的な人と悲観的な人とどちらが健康でしょうか。みなさん、楽観的な人だろうと想像すると思います。確かに、楽観

  的か悲観的かは、その人の健康と大いに関係があるのです。こんな興味深い調査があります。イギリスの学者が、ユーゴスラビアの1500人、それも家を一軒ずつ

  飛ばして1500軒の40〜50才位の家の主について、性格と寿命を調べたことがあります。家の主は、それぞれにある目的を持って生活しているわけです。その目的

  がうまくいかなかった時に、全部自分のせいにして、うちにこもってしまうような真面目なタイプの人が一番早死にする。しかも8割ぐらいの人が癌で死んだのです。
 
  それに対して、うまくいかなかったことを人のせいにしてしまう人は長生きしていました。或いは、人のせいにしなくても、Aで駄目ならBにすればいいと、うまく切り替

  えるできるような人は長生きしていたのです。つまり、何かうまくいかなくなった時に自分の責任だと思うような真面目な人は悲観的になり、うちにこもってしまうので

  す。そうした人は早死にしてしまうというわけです。自分を責めることで、免疫力を落とすからだと予測できます。それに対して、人のせいにしたり切り替えたりでき

  るような楽観的でいい加減な人のほうが長生きしていたわけです。性格と癌との関係についての研究は色々ありますが、古くは、心理学者のハンス・アイゼンク博

  士が行った研究があります。それによると、癌になりやすい性格は、周囲との調和を優先して、感情を抑えがちで、悲しみや不安を感じても表情に表すことが少な

  く、自分の中に抱え込んでしまうタイプです。そして、失敗したりすると、全て自分のせいにして、ふさぎ込むなど精神的なダメージが大きいのです。また脳卒中につ

  いても、楽観的な人のほうが発症リスクが低下すると言う調査もあります。ミシガン大学のキム氏による50才の以上の6044人を対象に調査では、1〜16点で自己

  評価させる楽観度テストを行い、2006〜2008年の2年間フォローしたところ、楽観度が1段階上がると脳卒中の発症リスクが9%低下したというのです。何かあると

  自分を責める傾向がある人は、どうしても悲観的になりやすいのですな。逆に、楽観的な人は能天気で、失敗しても自分を責めることはあまりありません。「運が

  悪かった」「あいつが悪かった」と、運や自分以外の人に責任転嫁する傾向があるのでしょう。そしてそんな失敗をすぐに忘れて、別のことに目を向けることができ

  ます。多少いい加減なところがあるのです。そういう人のほうが健康で長生きできるのです。