60才からやっていいこと、いけないこと

  ◎定年後を愉しめる人、愉しめない人

  ○読書は最も簡単な若返りの理法 電子書籍でも、紙の本でもいい。高齢者になっても死ぬまで「本は読まなければダメだ」ということをいいた

  い。どんな時代になっても、読書したほう者ほどしたたかで強くなり、豊かな人生を送れるという真理に変わりはない。紙媒体の将来を危ぶむ声

  もあるが、そんなものは大いなる幻想に過ぎない。日本人が本を読まなくなったのは事実で、その理由も分かっている。大人が読書しない理由

  のトップは、「仕事、家事、勉強が忙しくて本を読む時間がない」ためである。若者が読書しない最大の理由は、「本を読まなくても不便がない」か

  らだ。細菌はスマホを誰もが手にするようになって、一層この傾向が強まっている。以上の2つの理由は、当面、解消されるどころか、益々広まっ

  ていくだろう。だとしたら出版界はこの先、暗いままか。そうならないと見ている。若い層になるほど書店へ行く頻度が高いことや、本の購入に

  所得の問題が大きく関わっていることが分かったからです。又、小さい時に「読み聞かせ」の経験をした者は、比較的よく本を読むようになる。絵

  本の読み聞かせは、子供の学力アップに役立つことが知られ、デジタル、アナログとも盛んになるので、これが下支えなるのでではないだろうか

  更に、世帯年収が高いほど読書量が多い傾向が見られるので、この先、デフレ不況から脱却できれば、人々の所得も増えて、読書人口も増加

  に転じると推測できる。電子書籍も普及するだろうが、両方を経験してみて、やはり読書として頭によく入るのは紙媒体のほうであると思った。今

  読書量が最も少ないのは30代だが、この層は一番インターネットの影響を受けている。本を読まなくても不便がないと実感していることが、紙の

  本から遠ざかる大きな原因だろうが、これからは紙媒体の本当の価値に気ずくだろう。それに既刊本が電子書籍化されることで、本の普及が大

  規模に拡大し、本当に勉強したいと思う人は、紙媒体の本へと向かうだろう。あれこれ考えると、本がなくなるようなことは起こり得ないと思う。

  以上の推測は、出版文化産業振興財団の行った「現代人の読書実態調査」のデータに基ずくが、もう一つ奇妙なデータを見つけた。アメリカの

  調査会社「NOPワールド」調べによれば、世界主要30ヶ国の「読書時間ランキング(1週間)」で日本はビリりから2番目なのである。どう考えても

  腑に落ちない。データによれば、第1位はインド(10.7時間)、第2位がタイ(9.4時間)、第3位に中国(8.0時間)と続き、カナダ、ドイツ、アメリカ、イタ

  リア、イギリスなどが平均以下の低ランクにきていて、日本が第29位(4.1時間)、ビリは韓国(3.1時間)である。エジプト、ベネズエラ、インドネシア

  、ブラジルなどの国民よりも日本人の読書量が少ないことに納得されるだろうか。これが事実とすれば、識字率と読書量は反比例することになる

  日本人で新聞を読めない人はいないだろうが、東南アジアの中には、自分の名前もかけない人が少なからず存在する。このデータは「何だ!」

  といいたくなる。このような意味不明なデータが出ること、そのものがおかしい。一体どのように調べた数字なのか。根拠を明確にしてもらいたい

  ものだ。何でもデータや数字を頭から信用する癖はつけたくない。ともかく読書は習慣である。本はどこでも読める。これからの高齢社会は、人

  々が1人暮らしを強いられる社会でもある。その時、読書はよく友になってくれるはず。最近、読書量が減ったと思う中高年たち、どうか読書を復

  活させて欲しい。「読書とは最も簡単で、最も効果的な美容術であり、若返りの法だといいたい」

  ○手書きの効用を忘れてはいけない ワープロ、パソコンの登場以来、私達は手書きで文字を書く習慣を次第に失って、今では1日に1文字も書

  かなくても生活に困らない。読めても書けない字が、圧倒的に多くなったのが現実だ。この事態は、絶対に良くないことだと思う。手書きが持って

  いた効用が失われてしまうからだ。手書きの効用とは何か。@漢字を覚えるー手書きすることで漢字をよく覚えられた。字を知るとは「読み書き

  できる」こと。難しい漢字は「読めても書けない」ことがあるが、最近はそう言う漢字が増えてきた。つまり、手書きをしないと漢字を書く能力が衰

  えていくからだ。A文章がうまくなるー手書きをすると、文章能力がきめ細かくなる。ワープロが出現した時に「文章が荒れる」と心配されたが、

  「慣れの問題」で片ずけられてしまった。だが、実際に近年は人々の文章能力が低下している。Bボケ防止になるー手先をよく使うことで、脳の

  活性化に役立つ。文字を紙に書くことは、筆圧が必要で、手先の良い運動になる。こうした作業はボケ防止に一役買っていることが、研究で確

  かめられている。C人間関係をよくするー手紙等手書きのほうが、心が込められ、もらったほうもぬくもりを感じられる。今はメ−ルのやり取り、

  或いはプリント文字が多いが、書き手のぬくもりが感じられない。このことは年賀状でも明らかだ。まだ、他にも文章作成上、言葉にしにくいニュ

  アンスの変化等、いくつかの効用が指摘できるが、大体この4点が主なものである。唯、これ等のことを、今までは誰もきちんと説明できないで

  いた。ところが、思わぬ援軍が現れた。イギリスのサンダーランド大学が行った「手書き日記とデジタル日記の比較研究」である。紙で書くグルー

  プと、PDA(携帯情報端末)を使ってブログに記載するグループとに分けて調べてみると、次のような違いが明らかになったのだ。@紙グループ

  のほうが、デジタルグループよりもよく日記をつけていた。A紙グループのほうが、1回の記入量が多かった。B紙グループは、過去の記憶や学

  習と結びつける傾向が見られた。Cデジタルグループは、利便性をメリットに挙げ、紙グループは何度も読み返したくなることをメリットとして挙げ

  た。この両者の違いがよく分かる。文章作成作業を液晶画面で行っても、推敲(すいこう)する時にはプリントアウトして、紙の文字を見ながらの

  ほうが、はるかにやりやすく、発想も豊かになるのだ。デジタルがここまで進んだのだから、文章作成作業を「元に戻せ」などと野暮なことを言う

  つもりはないが、一方で、手書きで文字を書く習慣を失うことは、読み書き能力を著しく衰退させる危険性をはらんでいることは、知っていたほう

  が良い。いつまでも若くしっかりした脳機能を保持するためには、手書き作業をやめてはいけない。手書きと疎遠にならないためには、日記をつ

  けるか、手紙や葉書をどんどん出す癖をつけるといい。老後は暇もある。手書きの手紙や葉書をもらったほうが、きっと喜ぶに違いない。「60の

  手習い」ではないが、以前から字が上手とほめられているのなら、筆を使っての習字を始めてはいかがか。筆文字は日本古来の文化でもある。

  上達すれば、近所の子供達を集めてお習字教室を開いてみるのも手だ。授業料なんかとらなくてもいい。若い子供達と触れ合うだけで自分自身

  も若返るはず。ペン習字もいいが、何と言っても筆の習字が勝る。