時間栄養学が明らかにした「食べ方」の法則

  プロローグ    私達は体内時計と共に生きている

  朝起きた時、私達は時計を見ながら「朝だ、急がなくては」と会社へ出かけ、昼のチャイムを聞いて「昼ごはんを買いにコンビニに行こう」と思い、夕方6時くらいになれば帰り仕度

  を始めたりします。時計を見なくても、太陽に位置で、おおよその時刻も分かるでしょう。しかし一方で、現代人の仕事スタイルや生活スタイルは様々です。「朝方から夕方まで」働く

  昼動タイプばかりではなく、多くの人が夜勤や準夜勤で働いています。看護師さんの様に昼と夜を交代で働く勤務体系もあり、出張で国内と海外を行き来するビジネスマンの勤務

  は、このシフトワークの変形とも言えます。又、コンビニや工場では、24時間体制の勤務が採用されています。このように多様化している仕事スタイルや生活スタイルにおいては、

  「朝の早起き生活こそが一番!」というのは、確かに「正解」には違いないのですが、実際にはそれが不可能な人々が増えてきています。実際、周りでも、海外や国内への出張で

  飛び回っているビジネスマンがいるかと思えば、夜勤あけにSNS(ソーシャルネットワークサービス)でつぶやいている友人もいます。又、夜中の2〜3時に仕事のメールを送ってく

  る人も珍しくありません。仕事の〆切に追われているためか、翌日の仕事の準備をしているためでしょう。或いは、一人暮しの大学生の中には、親の縛りがなく、講義の時間もま

 ちまちで自由気ままなためか、夕方になって起きてくる人もいます。ダラダラ大学生の例はともかく、夜勤で働く人にとっての「朝」はその「活動の開始時刻」を指すのであって、決して

  太陽が昇る一般的な「朝」の時刻を指すのではなくなっています。こうした状況下で、「早起きが一番」とやみくもに呼びかけるだけでは限界があるでしょう。必ずしも「時計」の針と

  共に生活できるとは限らない現代だからこそ、私達は自身の持つ「時計」の意味をよく理解し、うまく付き合いながら生きていく術を見つける時期を迎えているのではないでしょうか。

  実は私達のY体内には「体内時計」と呼ばれる「1日のリズム」を刻むメカニズムがあります。それを形ずくっているのが、数多くの時計遺伝子です。「体内時計?どこにあるの?

  時計遺伝子って何?」。と思ったかもしれません。この感覚を習得するのに時間がかかりました。最近では、体の中のあらゆる細胞に体内時計があることが分かっています。

  中でも、脳の「視光叉上核(しこうさじょうかく)」(両耳のつないだ中間点あたり)と呼ばれる部分には、1日24.5時間の「メイン時計(親時計、主時計)があります。このメイン時計の

  他にも、胃、腸、肝臓、腎臓、更には血管や皮膚等、様々な末端細胞に「サブ時計(子時計、副時計)」があることが分かり、それらの役割・機能も急速に解明されつつあります。

  この体内時計(24.5時間)と1日24時間とがうまくかみ合った生活をしていないと、様々な病気・体調不良の原因になることも分かってきています。「哺乳類の時計遺伝子」の存在は

  1997年に確認されたばかりですが、その後に20個ほどの「時計遺伝子」が発見され、それらが体の中で様々な働きをしていることも分かってきています。このため、もし時計遺伝

  子が何らかの理由で壊れたりすると、体内時計のリズムが保てなくなり、生活に支障をきたすことになります。体内時計に関する研究は、医学、栄養学の他にも薬学、運動額等に

  至るまで、急速に進んできているのです。   何故、体内時計を支える必要があるのか?

  体内時計の研究が急速に進んでいる背景には、体内時計の仕組みを知り、うまく活用することが、私達の生活や健康に大きく寄与するのではないかという期待があります。もし、

  知らず知らずのうちに体内時計や時計遺伝子の働きを害する生活や食事などをしていると、健康を大きく損ない、様々な病気のリスクを高める原因となります。良いとされている

  健康法が、実は体内時計の機能を阻害していることも考えられます。よく、「ダイエットのために朝食を抜いている」という人や、「健康のために朝のトレーニングを欠かさない」とい

  った話を聞くが、これらの行為は、本当にその人が考えるような良い効果を体に及ぼしているでしょうか。体内時計の知識がないと、折角の健康への努力が逆効果を生んでいる

  可能性も考えられるわけです。最近、体内時計の研究が進んできたことによって、これらの是非については、多くのことが分かってきています。例えば「食べる時間帯」の研究成果

  があります。それによって、ダイエットについても、食べる量を制限する従来のダイエット法ではなく、「時計遺伝子の『活動時間』をうまく活用したダイエット方法」やダイエットを無理

  なく進めるための時間食事法」も考案されてきています。つまり、同じ量を食べても、「食べる時間帯」次第で肥満になったり、ダイエットにつながったりするということです。

  食事やダイエットだけではありません。心筋梗塞、脳梗塞、くも膜下出血、脳卒中、腰痛が起こりやすい時間帯が存在することも知られてきています。美容に良い時間もあります。

  体内時計を無視した生活、時計遺伝子の機能を壊すような生活を送っていると、思わぬ病気にもなりかねません。もし、体内時計について正しく理解し、24時間の社会生活と体内

  時計とをうまくマッチさせていけば、仕事時間に影響されず、毎日が健康で無理なくダイエットもでき、貴方の生活は大きく改善されるのです。又、冒頭に述べた夜勤、シフトワーク、

  海外出張、旅行などでも、体内時計をうまく適応させる方法が研究されています。