病気が長引く人、回復が早い人

  ○歯周病を放置すると心臓や脳の病気になる

  ●歯を清潔に保つと長生きできる・・・日本には親孝行と言う美徳があります。親の愛情に報い、恩を忘れるなと言う美しい心。そこで「成人したら親の入れ歯を洗いなさい」という親孝行の進め。

  歯を清潔に保つことは、長生きにつながり、現在、日本人の死因の第1位は癌、第2位は心臓病、第3位が肺炎、第4位が脳血管障害そして第5位は不慮の事故。第3位と5位が口の中に関係

  しています。まず肺炎は、口の中が不潔だと起こりやすくなります。口腔内の細菌が肺の中で炎症を起こし、肺炎を引き起こすのです。肺炎が3大死因に入ったのは、高齢化が進んだためです。

  また、不慮の事故では、最も多いのが窒息死です。高齢者の誤嚥は窒息につながります。これは交通事故の死者の数より多いと考えられます。口の中で生じる不慮の事故が、死因の大きな

  ひとつになっています。

  ●歯周病は手のひら大の傷を負うのと同じくらい危険・・・口の健康を保つことは、実は全身の健康につながるということが分かってきています。歯周病がある人は、血管が硬く破れやすく、

  血液がドロドロで詰まりやすいと言う特徴があります。血管が詰まれば、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気になり、最悪の場合死に至ります。逆に、歯周病を治すと、予防できます。

  また、糖尿病が改善したり、コレステロール値が下がる傾向があります。歯周病があると、歯肉と歯とのあいだにポケットのような隙間があります。このポケット、ひとつは小さいが、すべての

  歯にできていると合計面積はなんと手の平くらいの大きさになるのです。これほどの大きさとなると、全身に大きな影響が出るのもイメージできるでしょう。炎症を起こしている場所では、

  歯周病菌と白血球とのあいだで戦いが行われています。白血球からは、サイトカインと言うタンパク質をやっつけるための物質が、まるでミサイルのように大量に分泌されます。ところが、

  このサイトカインミサイルが血液の流れにのってしまい、全身を駆け回ると、血管は傷つき、硬くなります。自覚のないままに、炎症が全身の血管に悪影響を与えてしまいます。

  ●11才までは入れ歯に触ってはいけない・・・親孝行として、子供は成人したら、親の入れ歯を洗ってあげましょう。口の中を清潔にし、炎症を取り除くことで長生きができるからです。

  寝たきりの患者さんの多くは、肺炎で亡くなります。口腔内の洗浄(口腔ケア)によって、誤嚥性の肺炎を防ぐ効果もあります。成人したら、と但し書きしたのは、まだ中学生にもなっていない

  ような子供は止めたほうがいいからです。何故なら11歳未満ではピロリ菌もうつる可能性があるためです。ピロリ菌と胃炎の原因となる細菌で、正式にはヘリコバクター・ピロリ菌といいます。

  ピロリ菌に感染すると100%慢性胃炎を起こします。これは恐ろしい病気で、胃炎を放置すると、全身の病気、ひいては癌の引き金にもなります。胃炎は多くは5歳未満、遅くても11才くらいから

  始まります。そして、ピロリ菌は多くは5才未満、遅くても11歳くらいまでに唾液などを通じて感染します。小児では免疫力が十分に発達していないうえに、胃酸を出す細胞が未熟です。

  ピロリ菌が体内に侵入しても、胃酸でピロリ菌を倒すことができません。聖人になれば、胃酸が十分に出ます。例えばキスをして他人のピロリ菌が侵入しても、食道を通過するあいだに胃酸で

  ピロリ菌を殺菌できるのです。

  ●介護職の人はピロリ菌の検査が必要・・・唯、特殊な職業の人は成人になってからも注意が必要です。日本へリコバクター学会で発表されたデータです。あるリハビリテーション施設では

  最初はピロリ菌に感染していなかった職員でも、4~5年勤めている内に感染してしまうことが分かったのです。これによると、就労から2年未満で5%であったピロリ菌感染者が、2~4年未満、

  4~6年未満、6年以上勤務している者は、それぞれ、12%、18%、29%と就労期間が長期になるにしたがって、ピロリ菌感染率が上昇することが確認されました。特に言語聴覚士の人達の

  感染率は高めでした。彼らは高齢者の口の中に指を入れ脳梗塞後の患者さんの飲み込みの機能を見ます。この過程で、ピロリ菌をもらう可能性が高いのでしょう。成人感染は稀ですが、

  介護職、リハビリテーションの職員等、高齢者と濃密な接触を持つ職業の人、家庭で介護する家族等は、特にピロリ菌の感染には注意し、数年に1回は感染の有無をチェックしましょう。

  もちろん親の入れ歯を洗う時には手袋をしてマスクをし、終わったら入念に手を洗いましょう。