老化か病気の見極め方

  ○長い階段を一気に上がると息切れがする→老化:加齢とともに心肺機能は低下します

  これは病気とは言い切れません。加齢に伴い、呼吸機能や心機能も変化するからです。但し、全く平坦な道を歩いていて息切れするようなら、話は別です。

  心不全、呼吸器不全が隠れているかもしれません。ですから、長い階段で困難を感じた場合でも、平地ではどうでしょうか。心肺機能が加齢とともに低下

  するのは仕方のないことで、大体40歳以降は平均して1年で1%ずつ換気能力は減少していきます。標準的な減少ペースなら病気の心配はありません。

  ですから、体重にもよるでしょうが、本来ならば階段程度での息切れが病気によるものとは考えにくいことなのです。けれど、階段に限らず、今まで苦もなく

  出来ていたことが急に困難になるといった変化が起きたら要注意です。また、喫煙歴のある人は肺癌や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症している可能性

  が捨て切れません。もう何年も前に禁煙したからと安心していても、喫煙の痕跡は呼吸器からなかなか消えないものです。遠い昔の置き土産が、心肺

  機能の低下する年代になってから牙をむくこともあります。呼吸器科、内科にご相談ください。国内の公共機関にある階段の段数は、せいぜい、11〜13段

  で、それ以上になると途中に踊り場なり折り返しを設置することで、一気に上がらずに済むよう配慮されています。その程度の階段で踊り場についた時に

  息切れをした、少し心配です。念のため、かかりつけ医に相談してください。但し、膝等の関節に痛みのある人は、こういうテストはしない様に・・・。

  ○風邪をひきやすくなった→老化:免疫機能の低下です

  加齢に伴い免疫力は低下します。けれど、現実に高齢者を見ていると、環境の変化に対する対応力の低下も大きく影響していると思います。熱中症の

  かかりやすくなる一因でもあるが、ちょっとした温度変化に対し、衣服を一枚羽織る、脱ぐといったこまめな対応を怠るようになったら、体力の低下から疲労

  の蓄積が続くことなどと体に響きやすくなったりするのでしょう。免疫に関して言ううならば、高齢者は白血球のうちリンパ球が減って九つために、ウイルス

  に対する備えがどうしても手薄になります。リンパ球の減少は免疫力低下の指標といえます。一方、細菌に対する守りは白血球の中でも顆粒球が受け

  持ちます。実際に感染が生じると血管内の白血球は一斉動員されるが、“第一部隊”である顆粒球が出撃した後の高齢者の血管や組織はがら空き状態

  のようになってしまいます。”第2部隊”の顆粒球の動員が速やかに起こらないのです。肺炎を起こして、入院している高齢者の血液を検査して、白血球が

  増えていなければ、まさに”第一部隊”が働いた後で、”第2部隊”が追い付かない状態に陥っていることになります。免疫力を少しでも高める為には、免疫

  細胞の約80%が集まる腸のコンデイショニングに注意することはいいことです。最近では腸内環境を整える為に、ヨーグルトを常備する家庭が増えている

  ようです。”生きて腸まで届く”菌種でないと整腸効果がないような宣伝を見かけるが、菌の死骸も善玉菌の餌となって、結果的に善玉菌を増やし、腸内

  環境が整っていくことが知られています。但し、こうした改善は日々地道に取り組むべきことです。慌てず、気長に取り組んでください。

  ○急に胸がドキドキする→病気:不整脈などの可能性が。1度受診を

  早めに1度循環器系の外来を受診して、24時間連続で計測できるホルター心電図で検査してもらった方がいいと思います。頻拍性の不整脈が隠れている

  可能性があるからです。但し、きちんと検査をした結果、ドキドキすることはあっても、問題はないということが分かることが実際には多いのです。不整脈は

  期外収縮と言って、本来収縮すべきではないタイミングに心臓に電気刺激が流れる、という現象です。けれど、実際には心臓の筋肉には刺激が起きて

  いないというケースが案外多いのです。また、心拍数は普段と変わらないのに、ドキドキしているように感じることはあります。個人差はあるが、人の心臓は

  1日に10万回ほど拍動します。その中に期外収縮が100回あっても、数回以上まとまって起こるものでなければ、先ずは問題ありません。とはいえ、何か

  循環器に起こり始めていることを体が知らせている可能性も残るので、受診をお勧めします。もしも、よくないことが起こっているとしたら、発作性頻脈が

  考えられます。息苦しいなどの不快な症状を伴うようでしたら、治療を受けるべきでしょう。具体的には、β-ブロッカーを主剤とする内服薬を処方される

  ケースが多いが、これは考えようによっては、薬によって”治療できる”状態であるということ。β-ブロッカーは脈を抑える薬です。また、重大な変調として

  指摘しておきたいのは心房細動といって、常に心拍の乱れがちになる方がいます。こういう患者には心房の中に血栓ができやすくなるので、ワルファリン

  などの各種血液凝固抑制剤を用います。こういう疾患に対しては、血液をサラサラの状態に保つ必要があるのです。そうしないと、剥がれた血栓が脳に

  飛んで、心原性の脳梗塞を引き起こす可能性があります。心房の中には心耳(しんじ)といって、細かいヒダになっている部位があります。もともとうっ滞

  しやすい部位だが、心拍が乱れるとここに血栓が生じやすくなります。それがそのまま血液に乗って遠い部位、例えば、脳にまで飛んでくるので、脳梗塞

  の一因になるのです。心臓の活動に由来するから心臓性の脳梗塞と言います。そう聞くと怖くなるかもしれないが、たかが不整脈だという風に軽視しない

  方がいいと思います。ホルター心電図は近年、非常に改良が進んで、計測したデータは時々刻々、自動的にICチップに収められます。皮膚に電極を装着

  したままシャワーも浴びられます。尚、動悸が継続していて、発汗や体重減少も伴う場合は甲状腺機能亢進性が疑われるので必ず病院を受診しましょう。