老化か病気の見極め方

  ○目まいが増えた→病気:耳鼻咽喉科や脳ドックを受診して下さい

  突然、自分や周囲が回転するようなめまいに襲われる代表的な疾患と言えば、内耳機能に障害をもたらすメニエール病でしょう。或いは自律神経障害も

  考えられますが、回転性でない場合、数の上で1番多いのは起立性低血圧症でしょう。学校の朝礼でふらついて倒れる(多くは女性)生徒をたまに見ます。

  あの時期特有の思春期性起立性低血圧症は、急速なホルモン変動も一因だとされているが、成人の場合は姿勢を変化させた時などに生じます。

  横になっていた人が急に立ち上がれば、重力に引かれた血液はどうしても下肢の方向へ偏り気味となります。この時に、加齢に伴い血管内で血圧を感知

  する受容体の感度が低下し、姿勢の変化に対する血圧の調整がうまくいかなくなると、めまいを感じやすくなります。食後や排便後に体内の環境が変わっ

  たのに、自律神経がうまく対応できなくても、一過性の低血圧になることはあります。加齢に伴い、体内を循環する血液量は減少していくから、血圧を保ち

  にくくなる人も現れます。高齢者に広く見られる無自覚な脱水症も、血液の絶対量を減らし、低血圧の一因になります。こうした場合は水をしっかり飲んで

  循環血液のボリュームをしっかり確保することでも改善につながります。気をつけたいのは、めまいの背後に、糖尿病、アルコール依存症、高齢者では

  動脈硬化などの疾患が隠れていることです。高血圧で治療中の方は、降圧剤の影響も考えられます。又、平衡感覚に影響する中枢神経である小脳に

  梗塞があっても、めまいや立ちくらみを生じる時があります。症状が辛ければ、耳鼻咽喉科や脳ドックを受診しましょう。単なる起立性低血圧で生活に

  支障がなければ、特に心配はありません。

  ○血圧が高い→病気:受診して、原因を調べてもらいましょう

  加齢とともに血圧は高くなりがちです。これといった理由なく高い数値になるのを本態性高血圧といいます。但し、初めて高い数値が出た人は必ず受診して

  検査を受けましょう。というのも、高血圧の方の中の数%に原発性アルドステロン症というホルモン異常が潜んでいることがあるからです。これは副腎皮質

  に腫瘍が生じたため、体液内の電解質を調節するホルモン、アルドステロンの分泌が亢進してしまう疾患です。これに気ずかず降圧剤を処方しても、なか

  なか血圧は下がりません。現在、高血圧に処方される主な薬は5種類です。専門的にカルシウム拮抗剤、アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)、

  アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)、β-ブロッカー或いは降圧利尿薬といったものです。今、主流の治療方針では、ある薬で数値が下がらない場合

  には、薬の量を増やすのではなく、複数の薬を組み合わせて効果を見ていきます。また、患者が使いやすいように、最初から複数の成分の合剤になって

  いる製品もあります。ところが、こうした医薬品には、過剰に分泌されたアルドステロンの作用を抑える力はないので、血圧はしつこく高値を示すわけです。

  石は組み合わせをあれこれ試すでしょうが、改善は難しいと思います。副腎皮質に腫瘍が生じている場合は、手術で摘出しなければなりません。但し、

  初期だったり、腫瘍がごく小さければ、アルドステロンの作用を抑える効果をもった高血圧の薬を処方されることもあります。高血圧はとてもありふれた疾患

  ですが、背後に腫瘍の様な疾患が潜んでいることもあるから、原因を突き止めるためにも受診をお勧めします。自覚症状がないからと言って、高血圧状態

  を放置すると動脈硬化がどんどん進行していきます。動脈硬化は心筋梗塞、脳梗塞といった重大疾患を招きかねません。また、高血圧は慢性腎不全の

  原因にもなり、透析が必要な人も出てきます。

  ○アレルギー症状の様なものが出た→病気:免疫システムの乱れかもしれません

  免疫システムの機能が乱れると様々なアレルギー症状を呈しますが、老化が進むと免疫系の応答が鈍くなります。この結果、症状は寛解することもあるが、

  システム自体が乱調に陥ることもあります。従って、年をとったからと言って、もうアレルギー性疾患にかからない、などということはなく、これからかかる

  可能性だってあるのです。免疫システムの調整が乱れてくると、若い頃には何ともなかった物質に対し過剰反応が起こる可能性もあります。免疫グロブリン

  のうち、TgEの抗体による即時型アレルギー(食べたらすぐに症状が出る)は有名ですが、TgGの抗体による遅延型アレルギーは数時間から時には数日

  かけて反応の現れることがあり、その反応が不定愁訴だったり、自立神経の失調だったりするので、アレルギーと自覚しにくいものです。ごくありふれた

  食品に対し消化が完全に進まず、これに対する抗体(TgG)を作ってしまう方が少なからずいます。つまり、食品の中間消化物を免疫システムが“異物”と

  して認識するようになってしまいます(免疫学では、感作が成立した、といいます)。すると、次の機会にその不十分な消化物が腸管壁を通って体に入って

  くると、アレルギー反応が起こるというわけです。老化に伴い腸管の働きが悪くなったり、腸内細菌叢が変化し、腸管壁のコンデイションが低下すると、

  こうした事態も起こりやすくなります。腸内細菌叢を良好なバランスに保つよう、善玉細菌の餌になる乳酸菌の豊富なヨーグルトの摂取を習慣ずけると、

  こうした疾患の予防につながるかもしれません。尚、食物アレルギーの原因かなと、思われる食品を「試しに」食べることは厳禁です。時に命に関わる強い

  反応が現れます。疑いがあれば検査を受け、何に反応しているか突き止めましょう。遅延型アレルギーの場合は、抗原となる食品を控えることにより、

  抗体が減少することや消失することもあります。