老化か病気の見極め方

  我が国の平均寿命は男女とも80歳を超え、百寿を迎える方も珍しくありません。一生を充実したものにしたい、誰もがそう思うことでしょう。価値観はそれ

  ぞれで異なるし、年齢に伴い、また環境の変化に従って変わってくるかもしれないが、誰にも共通するものは時間の流れと自分の体のみということです。

  時間が経つほど、体の「錆つき」(酸化)や「焦げ付き」(糖化)が進み、同時にホルモン環境が変わっていきます。「人生50年」の時代には経験しなかった

  体に対する時間の影響が「人生百年」では様々な形で出てきます。錆つきや焦げ付きは動脈硬化をはじめ、様々な病気のもとになるし、病気の後押しも

  します。又、体内のホルモンは成長、生殖、恒常性維持に関係するが、成長、生殖の役割が終わる年齢になると減少するものが増え、その結果恒常性

  維持にも影響が出てきます。これらのことが年齢とともに起こる変化=老化につながります。老化は加齢に伴って増加する病気のもとになるが、老化自体

  は病気ではないが、単なる老化による変化と病気による変化の区別は難しことは確かです。病気の診断は自覚症状や診察した時の所見、検査値等に

  よって下されるが、この診断はいわば便宜的なもので、病気、病名がまず存在するのではなく、体の中で起こっている変化を医学的に整理したものが

  病気です。こういう点から病気を見ると、脳梗塞、心筋梗塞、胃癌、肺癌、肺炎、骨折などの様に病気であることがはっきりしたものと、高血圧や糖尿病など

  見た目の変化は殆どなく、診断の根拠となる血圧や血糖値に線引きをしてそれに基ずいて診断される病気があります。線引きする場合は、将来心臓や脳、

  腎臓などの内臓に影響がくる可能性が高いところで線引きされます。つまり、内臓の障害が出る手前で病気としてとらえて対処するという考えに基ずきます。

  年齢に伴って自分の体に様々な症状を感ずることが増えます。それらの中には病気との関連があるものや病気とは関係なく、加齢に伴って生ずるものが

  あります。問題は、病気発見の重要なきっかけになる大事な症状まで、「年齢のせい」と思って放置しかねないことです。医療機関を受診するべき状態と

  そうでな状態の区別、心配の度合いなどについて、述べます。リストアップした症状の中には全ての人に等しく生じる老化現象から、一刻の猶予もならない

  重大疾患まで沢山の可能性が含まれます。その数ある中からあなたの変化、状態を最終的に診断するのは専門医の仕事です。体の不調に対しての

  対応法のヒントを述べたもので、何か症状があった時に参考にするのは勿論、普段何気なく過ごしてしまう大切な自分の体に向き合う時のチェック項目と

  してそれぞれの症状の有無を確認して、生活の改善に役立ててはいかがでしょうか。

血液、免疫、呼吸器、循環器の不調 消化器・泌尿器の不調
脳、視覚の不調 聴覚、臭覚、味覚、触覚、口腔の不調
筋肉・骨、関節の不調 外的変化、ホルモンや生殖器の不調

                   

  ◎血液、免疫、呼吸器、循環器の不調→急に咳き込むことがある

急に咳き込むことがある 血圧が高い
食事中によくむせる アレルギー症状の様な物が出た
顔や首、脚がむくみやすい 長い階段を一気に上がると息切れがする
貧血気味なのか、立ちくらみが増えた 風邪をひきやすくなった
目まいが増えた 急に胸がドキドキする

  ○急に咳き込むことがある→病気:痰や喀血を伴うなら受診して下さい

  たまたま急に咳き込む分には問題ないでしょう。老化に伴い気道粘膜の分泌物が減ると、咳き込むことが多くなります。冷静に考えると、急に咳き込む

  ということは、普段、咳をしていないことが多いということでしょう。特に心配はありません。但し、咳に痰、喀血を伴うようなら気道の感染や炎症、そして

  肺癌の可能性も疑われます。50歳以上のヘビースモーカーは肺癌のハイリスクグループに該当します。但し、軌道から外れた箇所に発生する肺癌の方が

  多いので、やはりX線写真による検診は大切です。また、肺癌の検診では痰の中に悪性細胞がいるかどうかも調べます。同じく、喫煙が発症に大きく関与

  する慢性閉塞性肺疾患(COPD)も、軽い咳、痰で発見されることがあります。喫煙歴のある方、周囲に喫煙者がいて副流炎に晒されてきた方は呼吸器科

  を受診してみるとよいでしょう。今、気になる症状があっても、なくても、タバコは万病の元ですから、いつからかなどと考えていないで、喫煙者の皆さんには

  即時禁煙をお願いします。尚、主に大気汚染などが原因で、都市部を中心に喘息を罹患する高齢者も少なからず見受けられます。喘息というと小児喘息

  ばかりを想像しがちだが、年齢に関係なく発症します。年をとり、子や孫と同居する為に空気のきれいな地方から都市部に転居したことがきっかけとなって

  晩年になって発症した、などというケースも多々あります。咳の原因である気道の炎症は、放置すれば悪化するばかりで、どんどん呼吸は苦しくなるから、

  早めの通院、治療が必要です。尚、近年では喘息特有の「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった息苦しさを殆ど伴わない咳喘息が増えてきています。しつこく

  咳が続くようなら受診をお勧めします。又、稀ですが、知らない間に結核にかかっている可能性もあるので、やはり咳が続くようなら病院に行くのが1番です。