何をどれだけ食べたらよいか?

  健やかで長生きしたいのは万人の願いです。しかし、そうした心の不安に付け込む者は、古今東西、跡を絶ちません。とんでもない俗説がまかり通り、インチキな

  健康法が幅を利かしています。科学が発展した現代ですら、非科学的な健康常識が大きな顔をし、逆に医学的エビデンスに裏打ちされた真実が、非常識扱いされています。

  そんな不条理なことが、日本では頻々と繰り返されてきました。しかし、だまされてはいけません。「日本人の食は欧米化している」「健康には粗食が一番」という

  もっともらしいキャッチフレーズが世にあふれているが、粗食は低栄養を招き、コレステロールの数値が低すぎると健康寿命は縮むのです。貴方はメタボと診断されても

  高血圧や糖尿病でたくさんの薬を処方されても、本当は健康な体かもしれません。昭和40年頃の日本では
 
  脳血管疾患による死亡率が高く、また同時に日本人の栄養状態の転換期でもありました。

  米を食べる量が減り、肉や牛乳などの栄養価の高い食品の摂取量が増えたので、

  日本人の栄養状態は良くなったのです。また、米の摂取量が減ったので塩分摂取量が減り、

  脳卒中で死亡する確率は減少していきました。この現象は欧米諸国でも起こったが、

  栄養過剰になって、心臓病が増え、平均寿命は伸びません。一方、日本は長寿世界1

  になりました。これは、欧米のようにカロリーを過剰摂取することがなかったからです。

  この当時からすでに、コレステロール値を適度に高く保つ食生活が、

  脳血管疾患の減少に効果があることは、科学的に明らかになっていました。

  コレステロールの数値が高い人ほど、脳の血管が詰まる脳梗塞になりやすいと考えがちですが、

  実は日本では、脳梗塞もコレステロール値の低い人に多いのです(上表)。

  秋田の例のように、時代とともにコレステロールが上昇すると、脳梗塞の発生率は減少します。

  コレステロールが低すぎて起こる脳梗塞は、多すぎて起こる脳梗塞の約3〜6倍です。これが、

  日本の実態です。しかし、この科学的事実は、長らく受け入れられませんでした。代わりに、「コレステロールバイ菌説です」、
  
  「食の欧米化は危険だ、カロリーは敵だ」という勢力が幅を利かせたのです。こうした不実の俗説でも、世間がこれを「常識」と認めてしまったので、いくら科学的データを

  並べても、「非常識な常識」は覆りません。日本人のカロリー摂取量は、「終戦直後よりむしろ減っている」のです。飢餓状態と言われた戦後まもない1946年は、

  1日の平均摂取が1903kcalだったのに対し、2011年は1840kcalしかありません。これは低栄養そのものです。低栄養は、免疫力の低下を招き、感染症が増加します。

  しっかり食べない親たちの食生活が、幼児にも押し付けられると、子供たちの低栄養は、これから死亡率の増加となって、顕在化する可能性があります。

  こうした弊害をもたらしたのは、「カロリーは駄目、脂肪は悪、コレステロールは下げろ」と大キャンペーンを打ったコレステロール低下薬を販売する製薬会社です。

  それとつながる学会と学者達、そして、これに旗振り役としてマスコミが加担したのです。薬が売れるためには、病人が必要になります。それは実に簡単で

  病気でも何でもない数値の人に「貴方はコレステロール値が高すぎる、病気ですから薬を飲みましょう」というだけです。こういうケースは血圧やメタボにしても、

  科学的な裏付けもないまま、数値の捉え方1つで患者群を生み出す手法が繰り返されてきました。その結果、処方薬が売れ、更に健康を心配する人がサプリメント

  の市場となっているのです。これで潤う人たちにとって、俗説を「健康常識」に仕立て上げ患者濫造することは、金のなる木を植えていくことにほかなりません。

  日本人は、そうした「まやかし」に騙され続けてきました。挙句の果ては、終戦直後を下回る低カロリーです。「美食も酒も甘い物も長生きの敵」「粗食が1番」と

  決め込み、薬の世話になるばかりの人生なんて、味気ないものです。ましてそれが、偽りの「健康常識」に踊らされてのこととなれば、せっかくの節制も、

  「骨折り損のくたびれ儲け」です。これまで信じ込んできた健康常識を疑ってみたり、いけないと思い込んでいた不養生は、意外にも元気で長生きの秘訣だったりするのです。