✱アンチエイジングのウソ・ホント

  抗加齢医療とは、ホルモン補充やダイエタリーサプリメントの摂取、運動などで疾病を防ぎ、若さを維持する予防医療のことです。老化度を測定する「抗加齢ドック」が

  各地に登場し健康寿命を延ばす研究が進んでいる。国が医療費抑制のため「予防重視」を掲げ始めたのに伴い、高齢でも若さを保ち健康願望が強まっている。

  これまで体の内面から、若さを保ち、老化を防ぐための研究は殆ど見られなかった。肌を若がえさせる化粧品に関する研究はたくさん見られました。

  抗加齢の研究で今、最もホットな話題の一つは「老化を遅らせて寿命を延ばすホルモン」(米)です。1997年寿命に関する遺伝子クロトーが発見された。これは腎臓や脳で働き

  タンパク質を作り、それが血液中に入って作用する。このたんぱく質は酸化ストレスへの抵抗性を強める。「不老不死」の細胞レベルの研究は1950年代から続けられていた。

  テロメラーゼという酵素をもつヒーラ細胞は無限に分裂する細胞で老化しないのです。若い細胞では染色体の配列の反復が何千回も繰り替えされ、その度に染色体の

  末端部分のテロメアが徐々に失われ、そのうちDNAの連鎖を複製する能力が失われ、細胞はその段階で分裂を止め、生命の再生作業は停止し、老化が始まるのです。

  1985年正常な細胞分裂で失われる染色体の末端部分を補充する働きを持つ酵素「テロメラーゼ」が発見された。多細胞生物に存在するが人間では、癌細胞だけがそれを

  つくり、正常細胞には見られないことがわかったのです。テロメアーゼによって線維芽細胞が若返ったからと言って、人間の寿命に対する操作にはつながらないのです。

  テロメアの長さが正常な人の細胞のの寿命を決定しているのは確かだが、細胞の分裂回数が増加するにつれて、細胞の腫瘍形成傾向が見られるのも事実で、つまり、

  テロメアの短小化が細胞の寿命を制限する役目を果たしているが、人間の寿命を決定する働きの証拠はない。

  不老長寿の分子生物学の情報からは、今のところ「抗加齢」に対する特効薬は見つからないようです。ところで糖尿病になった人は平均寿命より10年も早く亡くなっています。

  そして、筋肉量の減少や内臓脂肪蓄積など、加齢に伴って起きる代謝変化の特徴は生活習慣病やメタボリック症候群の病態と似ていることが判明。肥満になると、 

  脂肪細胞も肥大化し、脂肪の燃焼を促す「アディポネクチン」が出にくくなります。それが引き金となって、メタボリック症候群が進行すると考えられています。

    現状では、老化の程度や、病的な老化を促進する「危険因子」の度合いを測る方法は様々で抗加齢医学はまだ始まったばかりで、エビデンスに基ずいた医学には未だです。

  例:老化度の測定法   ✧筋年齢→握力、筋肉量など   ✧骨年齢→骨密度検査   ✧血管年齢→加速度脈波、脈波伝播速度   ✧神経年齢→脳機能の検査など

    ✧ホルモン年齢→加齢で減るDHEAなどの血中濃度   老化危険因子→免疫機能、心身ストレス   

    老化度や老化危険因子の各項目で患者の年齢に合った標準値を設定しそこから大きくはずれる弱点を重点的に治療するということが抗加齢医学の姿勢・方向では?

        抗加齢ドックの主な検査項目                                血中DHEA-S濃度と生存率

  検査項目 判定内容・疾患
血管 PWV

頸動脈エコー、頸部

動脈硬化の程度

頸動脈の動脈硬化

血液 アディポネクチン

NK細胞

副腎皮質ホルモン

過酸化脂質

ビタミンC

血管の損傷

免疫のバランス

ストレスなど

活性酸素量

抗酸化力

骨密度 骨粗鬆症
  東部MRI 能の状態

           

    DHEA-S(デヒドロエビアンドロステロン硫酸体)の生物作用       DHEA-Sの血中濃度が高い群が低い群に比べはるかに生存率が高い(米)

     抗加齢ホルモンとは血中に存在するDHEAというホルモンのことで副腎から分泌され、

     癌、動脈硬化、糖尿病、アルツハイマー病型認知症の抑制等に関与している。

     DHEA-Sの作用メカニズムについてはまだ明確にされていません。

     DHEAは男女とも6,7才頃から分泌が増加し、20歳前後をピークに加齢とともに直線的に

     低下するため、以前から人の老化の代表的な指標として注目されてきました。 

     そして疫学的データより左図のような作用があると考えられています。

  比較的明確にされているのは、DHEAの肥満に対する作用メカニズムです。特に脂肪細胞に対する作用で、DHEAが脂肪細胞に作用すると、インスリンの感受性が高まり

  糖取り込みの向上が確認されています。その時、脂肪細胞は確実に小さくなっています。DHEAにはたんぱく質を同化して筋肉を増強させることが知られています。

  筋肉増強により消費エネルギーを増大させて、脂肪の燃焼がより多く起こるのです。高齢化社会の中でDHEAが重視されるようになるでしょう。 

  ✱老化を防ぐたんぱく質ERP44

    体の錆びと呼ばれる活性酸素から細胞を守るために働くたんぱく質が発見されました(日)。このたんぱく質は細胞内のカルシウム量も調節しており、アルツハイマー病、

  動脈硬化、糖尿病、癌など老化と縁の深い病気を防ぐ役割を担っているとみられている。また、ストレスから身を守る機能の中でも重要な役割を演じているというのです。 

  細胞内のたんぱく質合成を担う「小胞体」という小器官の中にERP44]というたんぱく質が存在します。細胞内に活性酸素が増えると、細胞は酸化されたたんぱく質に電子を与えて

  健康な状態に保とうとします。ERP44は酸化状態を感知すると、小胞体の出入り口にある受容体と結合して、電子の受け渡しを手伝っているのです。それと同時に、

  細胞内のカルシウム濃度が高まると、出入り口をふさぎ、小胞体の中にある高濃度のカルシウムが細胞内に出ていくのを食い止めているのです。つまり、ERP44が

  活性酸素やカルシウム(細胞内に増え過ぎるとアルツハイマー病のように体に悪影響を及ぼす)という大敵から細胞を守る「健康センサー」として働いていることが判明したのです。

  ✱寿命を短縮させる糖尿病を悪化させるたんぱく質も発見された。「P27」という膵臓のβ細胞内に存在するたんぱく質です。このたんぱく質の働きを抑えれば、食べ過ぎや

  運動不足が原因のU型糖尿病が改善されるということです。糖尿病が進むと、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が減少するが、これはP27というたんぱく質がβ細胞の

  分裂にブレーキをかけているからだということが分かったのです。したがってP27の働きを抑える薬が開発されれば、β細胞の減少を食い止め、糖尿病を治せるのです。

  このように、老化を防ぐ物質は次々と発見されつつあります。しかし、残念ながら、これらの物質はまだ臨床上で使える段階になっていないのです。