癌政策&食習慣と癌

 

 

 

                    

 

 

    ❈癌患者への栄養指導のポイント

  全ての健康者が「癌」という疾病を予防する生活(1次予防)を目指し、治療段階では、栄養状態の維持を目標とし、治療後は再発防止、再度健康者を目指す(3次予防)。

  癌患者としてのステージは様々であり、対象に合わせて、微妙に調整されるべきです。栄養士は予防、治療中、治療後、緩和ケアのそれぞれに支援できる知識と志です。

  食事支援については、特に影響が出やすい@消化器外科処置後、A化学療法・放射線治療時の食事があるが、その期間以外は主に偏りのないバランス食が基本です。

  1.タバコ対策の充実・・・・・喫煙を避ける

  2.食生活の改善・・・・・✧食塩摂取量の減少(塩分摂取は1日10g以下を目標に、塩辛い食品は控えましょう

                ✧野菜摂取量の増加(新鮮野菜、緑黄色野菜を積極的にとりましょう)

                ✧果物の摂取する人の増加(果物を毎日とりましょう

                ✧脂肪エネルギー比率の減少(脂肪のとり方に注意。特に獣肉、乳製品の過剰摂取を避け、ω−3系脂肪酸が多豊富な魚類をとりいれましょう。

  3.飲酒対策の充実  

  ✦消化器外科処置後のポイント:食事内容以前に食べ方が大きく影響する。どんなに軟弱で胃内停滞時間の短い料理でも、早くかまずに食べてしまうと、消化液の分泌も

                      悪く、決して良い結果を招きません。逆にやや硬い料理でも少しずつ、ゆっくりよく噛んで食べれば、トラブルも少ないのです。

                                                               ✶お勧めの食物・気をつける食物

お勧めの食物 分類 気をつける食物
粥・おじや・軟飯・うどん(煮込み)・そうめん・冷麦・食パン・バターロール 主食 寿司・いなり・カレーライス・赤飯・そば・ラーメン・硬いパン
白身魚・鮭・帆立貝柱・えび・ハンペン・水煮缶・かに缶 魚介類 いか・たこ・貝類(牡蠣・帆立貝柱以外)・脂肪の多い魚
鶏肉(皮なし)・ささみ・豚肉&牛肉[各赤身)・レバー 肉類 牛豚のばら肉・サーロイン・皮つき鶏肉・ウインナー
鶏卵・卵豆腐・茶碗蒸し 魚卵
豆腐・納豆・豆乳・湯葉(揚げていないもの) 大豆製品 枝豆・入り豆・かたい煮豆
牛乳・ヨーグルト・チーズ・生クリーム・スキムミルク 乳製品  
植物油・バター・マーガリン・マヨネーズ・オリーブ油 油脂類 ラード・ヘッド
ほうれん草・白菜・かぶ・人参・レタス・キャベツ・大根・茄子・かぼちゃ・小松菜・玉ねぎ・梅干 野菜・キノコ類 ネギ・せり・ぜんまい・きのこ・れんこん・ごぼう・竹の子・ふき・セロリ・トウモロコシ・ししとう・生野菜
バナナ・リンゴ・桃・メロン・缶詰(パイン・ミカンは除く) 果物 柿・ミカン類・パイン・梨・アボカド・ドライフルーツ
ビスケット・プリン・カステラ・蒸しパン・ホットケーキ 菓子類 チョコレート・ケーキ・パフェ・大福・ポテトチップ
乳酸飲料・濃くないお茶・麦茶 飲み物 甘味の強いジュース・炭酸飲料・濃いお茶・コーヒー・アルコール類
  その他 海藻・こんにゃく・しらたき・カップラーメン・唐辛子・漬物・市販惣菜・外食
煮る・蒸す・焼く・細かく刻む 調理法 揚げる・炒める

上記は決して良い食品と食べていけない食品という指導ではなく、各患者が体調を観察し、トラブルを最小限にする食生活についてマスターすることを目標にしているからです。

その姿勢こそ将来自身の健康を自己管理していく積極性を養うことでもあります。

  ✦化学療法・放射線治療時の食事について:治療中は様々な消化器症状の出現で食事量が減少し、栄養状態が低下したり、体重減少に伴い不安が強くなることもあります。

   ✧食欲不振・嘔吐・嘔気・・・・・患者の訴えの代表的な症状です。食事を無理強いせず、リラックスして過ごせるようアドバイスすることを基本とします。

     ✶食べやすい食品(冷たく口当たりの良い果物やシャーベット、そうめん、冷奴など)を気持ちの向いた時に、少しずつとるようにします。

     ✶脂肪の多い食品や料理は胃内停滞時間が長く、むかつき感を助長させるので、避けた方がよいでしょう。

     ✶食材の臭い、香味野菜はできるだけ押さえてシンプルな味付けにしましょう。

     ✶ほのかな柑橘系の香りやポン酢などで食欲を調整することも、食べられるきっかけになることがあります。

     ✶主食も炊き立てのご飯から形を変えたいなり寿司やおにぎりに、トーストをサンドイッチなどに工夫することが効果的です。

   ✧口内炎・・・・・口内炎でヒリヒリ痛い時は、刺激の少ない、水分の多い食品を優先します。

     ✶主食はご飯よりおかず、おじや、雑炊などを利用します。

     ✶食事の温度は人肌程度が目安です。

     ✶味付けは薄味で香辛料は避けます。

     ✶口内を乾燥させないために、水分やゼリー等をとりやすいように準備しておくと便利です。

   ✧味覚異常・・・・・下記の症状は、治療後一定期間が過ぎると改善することが多いので、必要以上に不安を感じたりすることがないようにサポートします。

     ✶塩味やしょうゆ味などを苦く感じる時は、柑橘系の味覚で刺激し唾液分泌を促します。

     ✶塩の代わりに味噌を使用したり、ゴマの香りや酢の味を試してみます。

     ✶甘味を強く感じる時は、砂糖やみりんを使わず、薄い塩味を試してみます。

     ✶味を感じない場合は、味付けは濃い目で、いろいろな調味料を試してみます。

   ✧腸閉塞・イレウス予防・・・・・化学療法や放射線療法だけでなく術後起きやすいトラブルの1つです。

     ✶食事量は少なめに、良く噛んで食べます。

     ✶腸内の善玉菌を増やすように、乳酸菌の摂取を心がけます。

     ✶食物繊維の多い食品や消化しずらい食品を避けます(海藻類・きのこ類・こんにゃく・ごぼう・竹の子等)。

     ✶生活リズムを整え、負担のない程度の散歩などを取り入れます。

  注意:癌患者が陥り易い食事のポイントで、多くの患者が、情報収集に積極的になり、体験者の話を優先的に取り入れようとするが、決して根拠ある情報といえないので

      注意が必要です。特に特定成分を含む健康食品は治療薬物と反応し、思いがけない弊害をもたらす場合があります。単純なサプリメントでも、イオンバランスを 

      崩しトラブルの原因となることがあるので、担当医との相談が必須です。禁止食品の決定を自己判断して、特に乳製品、肉類等のたんぱく源で、低栄養の原因と

      なることもあるので注意します。ステージに応じた栄養療法を常に考え、必要栄養量等の計算数値にとらわれ過ぎて、患者に苦痛を与えることがあってはなりません。

     

      各ステージの栄養療法について医師、看護師、他の方々とも情報を共有することが大切です。最近では地域連携・住宅支援も盛んに行なわれています。