∘腎臓の病変は、腎症前期、早期腎症、顕性腎症、腎不全期、透析療法期の5期に分けられ、2期には微量アルブミン尿が見られ、3期には明らかにタンパク尿、高血圧を伴ってきます。

腎臓の糸球体病変が悪化すると尿毒症になり、人工透析が必要となります。人工透析も5年ほど経つと機能が悪くなり、腎移植に頼らねばなりません。

腎移植しても免疫による拒絶反応と一生闘わねばならず、5年無事に生きている割合は半分程度です。2002年人工透析の28%、61,000人が腎症による人工透析を受けている。

高血糖が続くと神経細胞にソルビト―ルという糖が溜るため、神経を麻痺させ、手足のしびれを起こします。また、末梢の血液の循環が悪くなることから手足の壊疽を起こします。

神経障害と循環障害があいまってインポテンツの症状が出ることもあります。また免疫能力が落ち、感染症にかかりやすくなり、肺炎等に抵抗力が弱いので、それが死因となる。

✤糖尿病対策と生活習慣の変容をサポートするには

✦1次予防・・・・・糖尿病の1次予防にはメタボリックシンドローム対策、さらには、その上流の内臓肥満を減らすことが効果的です。

2006年の国民健康・栄養調査によるとBMI25以上の肥満者の割合は40歳代男性で最も高く34.1%であり、女性では60才代が29%でした。

高血糖、脂質異常症あるいは低HDL血症、高血圧などを合併したメタボリックシンドロームの頻度は40~74才で見ると、強く疑われる者の比率が男性25..9%、女性10.1%,

予備軍と考えられる者の比率は男性26%、女性9.6%であり、40~74才男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームが強く疑われる者または予備軍と考えられる。

2008年からの特定健診では上記該当者への保健指導を徹底し、予備軍には栄養教育と運動指導による動機付け支援が、メタボには積極的支援が義務付けられている。

∗肥満解消には月1~2kgの減量が望ましく、3kg以上の急激な減量を行うとリバウンドのリスクが増えます。脂肪1kgが7000kcalに相当するので、30日で割ると1日240kcal程度になります。

ご飯1杯減らして120kcal、1万歩歩いて120kcal消費すれば月1kg痩せるはずであり、太る場合は逆を。栄養教育の指標になります。なによりも対象者のやる気が大事で、自分の

必要エネルギーと栄養素を知り、生活習慣の問題点を認知して対策を考え、管理栄養士等の支援を得て実行することです。社会全体が協力して体制ずくりをする必要もある。

       「糖尿病が強く疑われる人」、「糖尿病の可能性を否定できない人」の年次推移

図1 「糖尿病が強く疑われる人」、「糖尿病の可能性が否定できない人」の年次推移

         

  

                   















∗糖尿病の治療は、合併症の予防といってよいでしょう。血糖コントロールより血圧コントロールの方が重要でヘモグロビンA1Cは7%以下に、収縮期血圧を130mmHg以下に

 保つ必要がある。この両方を長期にわたって達成できるのは「食事と運動療法」が最も効果的です。

∗糖尿病の食事は身体活動量を補完したうえでのオーダーメイドのエネルギー制限が一番重要です。3大栄養素のバランスは炭水化物50~60%、タンパク質1.2~1g/kg、脂質20~25%

∘腎症が出た場合は、腎不全の進行阻止に低タンパク質食、低食塩が必須です。良質のたんぱく質を体重1ka当たり0.5g以下に抑えます。

∘高血圧症の食塩摂取量に関して20gから10g減らしても高血圧の効果は微少だが6g以下だと急速に効果が上がる。

 食塩制限のみならずカリウムなど、他のミネラルとのバランスも重要です。


               図4 医師から糖尿病と言われた人の割合の年次推移(40歳以上)

図4 医師から糖尿病と言われた人の割合の年次推移(40歳以上)


糖尿病が強く疑われる人における治療の状況(40歳以上)

図2-2 糖尿病が強く疑われる人における治療の状況(40歳以上)

✲食事の欧米化と併せて食生活の状態も大きく変化している。すなわち

午後9時以降の夕食者 ・・・・・ 20~60代の男女でここ10年の間に20%から30%に増加

朝食抜き ・・・・・ 20代の男性  30.6%     30代の男性  22.8%      20代の女性  22.5% いずれも増加  

メタボ予備軍の増加に拍車をかけている状況。

糖尿病

糖尿病の合併症

糖尿病アップデート

診断基準ですが個体差や血糖値には変動があるから、全体を見て総合的な判断が必要です。

糖尿病で怖いのは合併症で、血糖が高いのみならば高血糖症という状態で、合併症を生じて

初めて糖尿病といえます。合併症には細小血管に発症する病変と、大血管に発症する2つがある。

2002年の糖尿病実態調査によると糖尿病性網膜症で治療を受けている人は13.1%、腎症で治療を

受けている人は15.2%、足壊疽(えそ)になった人は1.6%、神経障害の人は15.6%、心臓病は15.8%、

脳卒中既往が7.9%非常に多くの人が合併症を持っています。

日本で糖尿病が原因の失明は毎年3000人以上です。∘初期の単純網膜症は、毛細血管瘤ができ小さな点状

出血程度から中期になると線状出血がみられ、後期には硝子体出血が起き、飛蚊症や赤いカーテンがかかった

ようにみえ、失明します。また、白内障や緑内障にかかるリスクも高くなります。単純網膜症の発症までに

5~10年かかり、血糖値のコントロールが悪いと、中期に2~3年で進行し、さらに後期に1~2年で進む。