✤腸は第二の脳

  現代人は多くのストレスに苦しむようになりました。社会の構造が複雑になるに従って職場環境や周囲との人間関係などから、様々な問題を抱えるようになったからです。

  ストレスは心筋梗塞をはじめとする生活習慣病などを引き起こすことが知られているが、若さを保つ上でも大きな障害になっているのです。ストレスは、生体にとって有害な

    刺激が生体に歪みを起こすとされ、刺激をストレッサー、その反応を歪み、ストレスと呼びます。人体に及ぼすストレッサーを物理的なもの(温度、湿度、騒音など)、生理的

    なもの(断眠、疲労、感染、栄養不足、毒物、怪我など)、社会・心理的なもの(配偶者の死、離婚や経済不況、転職・転校など)に大別される。

    ストレッサーがかかった時に見られる人体の適応反応を「全身適応症候群」と言い、胃や12指腸の潰瘍の発生や胸腺やリンパ節の委縮、副腎皮質の肥大などが起こる。

                    脳・腸相関                                                                                                                                                        

    ストレスはあらゆる臓器に影響を与えますが、とくに 腸は最も強く影響を受け、

    脳と腸管はつながっており、脳の情報は脊髄からと自律神経を通じて、腸管粘膜の中に

    ある神経細胞にすべて伝達されます。従って。脳にストレスを受けたらダイレクトに腸が反応

    するというわけです。神経細胞がびっしり並んでいる臓器は腸以外にありません。

    まさに腸は脳と同じで「考える臓器」であり、「第二の脳」と言われています。

    逆に、腸を使わないでいると脳は刺激されないということです。点滴による静脈栄養に

   頼っている高齢者がボケやすいのはこのためです。ストレス社会にあって、腸の果たす

    役割がますます大きくなってきたわけです。過大なストレスは細胞を老化に向かわせます。

    過大なストレスをうまく処理し、回避するには、脳よりむしろ腸の働きのほうが重要なのです。

    腸は腸管の働きで免疫力の70%を高める最も重要な器官なのです。

    ✱ストレス社会と便通異常検査しても異常がないのに、下痢や便秘を繰り返す便通異常が増えている。「過敏性腸症候群」や「機能性便秘]に代表されるような腸障害が増えている。  

    腸管の運動は自律神経のバランスによってコントロールされています。

    自律神経のうち、副交感神経がアクセルとなって下痢を起こすシグナルを出します。一方の

    交感神経はブレーキの役割があり、便秘を起こすシグナルを出します。ストレスが加わると、

    このブレーキとアクセルのバランスが崩れそれが便通異常の大きな原因となるのです。

    便通異常を起こすと、急性下痢でも慢性便秘でも腸内細菌数が減ってくることが分かっています。

    とくに善玉腸内細菌数が統計的に有意に減少してきています。

    免疫反応は大腸に棲む腸内細菌数の数や種類が多いほど上昇するといわれています。 

    その免疫反応をコントロールしているのが小腸なのです。

    小腸は免疫コントロールタワーといわれています。小腸には正常な状態では殆ど細菌がいませんので、免疫をコントロールするのに非常に良い環境です。

    ストレスはこの小腸までも混乱させているのです。小腸や大腸に炎症や潰瘍を起こすクローン病や、大腸に潰瘍を起こす潰瘍性大腸炎が増えてきています。

    これらの病気には、食事、とくに動物性蛋白質と脂肪、オメガ六系の脂が非常に悪さをするが、病気の進行にはストレスが、発症には免疫も関係しています。

    普通、腸管はアレルギーを起こすような大きな物質を体内に入れないのですが、ストレスや炎症によって大きな分子量の蛋白質を体内に入れるようになるのです。  

    クローン病は腸管の粘膜がかなり粗くなって、異物を通してしまうことが発症の要因となっています。炎症によってバリアが壊れ、透過性が亢進してきます。

    このようにストレスと消化管運動、および免疫反応は、トライアングルのように連携しているのです。日本人は昔から脳で受けたストレスが腸に反射して腸の蠕動異常

    を起こすことを知っていました。「腹わたが煮えくり返る」とか「腹が立つ」というような言葉があるが、それがその証拠です。現代社会は腸内細菌叢が健やかに成長する

    ことに抑制的に作用しています。これにストレスが加わると、私達の生きる力はさらに減少し、新たな病気を誘導することになります。腸内細菌などの微生物との共生

    を考えながら、いかにしてストレスのない生活を送るかが問われているのです。

    ✱免疫力を作る腸の健康と心の力

    一般的に「肌が若い」といわれる人は、化粧品で肌の手入れをしている人ですが、体内からの若さが保たれれば、体力的にも若さが保たれ、自然と気が若くなります。

    それは免疫の力です。免疫力の70%は腸管の働きで決まります。これは食べ物が大切だということです。そして抗菌剤や防腐剤などを使わない食生活が必要なのです。

    あとの30%が、内分泌系や神経系の刺激、すなわち「心の力」です。自然と触れ合って明るく楽しく生活することが必要ということです。腸管の表面には多くの壁や突起があり   

    それが食品中の成分を認識し、あるものは吸収し、あるものは忌避する役割を果たしているのです。腸管が食べ物消化吸収だけでなく、免疫系としても重要な役割を

    果たしていることが認識されてきたのは最近のことです。腸管は管腔の表面が腸管上皮細胞に被われ、その細胞の内部には繊維芽細胞や免疫細胞、神経細胞があって

     、それがさらに内部のリンパ管や毛細血管と連絡しています。腸管上皮細胞の役割は @栄養素などの消化、吸収機能 A生体にとって有害な物質の透過を阻止する

    バリア機能 B食品に含まれる情報因子を認識し、体内に伝えるシグナル伝達・変換機能の3つに集約されます。免疫力は食品に含まれる免疫因子を上皮細胞が認識し

    そのシグナルを上皮内のリンパ球などの免疫細胞に伝えることによって増強されます。乳酸菌などの菌類も免疫力を増強します。腸は食べ物の消化吸収だけでなく、

    第一級の免疫器官です。腸の健康が全身の健康、ひいては私達の体の若さを支えているといっても過言ではありません。