病気の9割は自分で治せる

  ◎自己治癒力を高めよう

病気が治るということ 「薬」と「検査」はおいしい餌
風邪は自分で治せる! 医療への依存心が、体を弱める
西洋医学は対処療法 ”嫌”な気持ちを大事にしよう
慢性疾患には根本治療が不可欠 ”いい加減”は体にいい?
体を蝕む、長期の服薬 自己治癒力を高める14の方法

  ●病気が治るということ

  「未病」の概念から、いかに自己治癒力が重要であるかが、分かったと思います。自己治癒力とは、恒常性を保つ力であって、自己修復能力、復元力と言ってもよいでしょう。
  
  視点を変えれば、自己調整能力と言ってもいいかも知れません。この自己治癒力は、人が潜在的に持っている素晴らしい能力です。その力は人によっても、年齢によっても、

  幅が大きく異なります。風邪の治りや切り傷の治りが人によって、年齢によって大きな違いがあるのはそのせいなのです。また生まれつきによっても違いますが、

  生まれてからその力を高めることも可能です。残念なことに年齢を重ねるごとに自己治癒力は誰もが次第に低下していきますが、120才くらいまでは、自己治癒力は働くと

  考えられています。うまくすれば120才くらいまでは元気で長生きするのも可能だということです。若い頃は無茶もききます。しかし、40を過ぎ50の声を聞く頃には無茶は

  もちろん、無理もきかなくなってしまいます。「40才を過ぎれば己の(のり)を踏まえた生き方をせよ」とよく古くから言われますが、その則とは、自己治癒力のことを指していると

  理解しても良いでしょう。ここで病気が治るという事態がどういうことなのか、纏めてみると、まず病気と言うのは、どのような状態を指すのか思い出して下さい。恒常性が崩れ

  そのままでは元に戻らなくなってしまい、悪化している状態です。ほうっておけば、早晩命も危うくなっていくかもしれません。やるべきことは、まずは自己治癒力を高めることです。

  復元力を増強し、戻るようにすることです。風邪を例に挙げると、直ちに仕事をやめて、体を温かくして、水分や栄養を補給しながら、体を休めること、即ち、自己治癒力を高める

  ことに他なりません。つまり病気が治るには、必ずしも医者が必要だというわけではありません。しかしながら、先述の急性硬膜外血腫の場合は、医者の助力が不可欠です。

  緊急に手術をしなければ確実に患者は死ぬことになります。ただ、ここで確認しなければいけない点は、医者は治るきっかけを作っただけであって、医者が治したということではない

  ということです。急性硬膜外血腫も、やはり治癒の主導者は患者自身です。出血があまりにも早く、自己治癒力で対処していては手遅れになってしまう状況下では、

  時間稼ぎも必要です。時間稼ぎをしながら、自分で治す力がうまく働く環境を設定してあげる働きを医者が担っているのです。現に医者は物理的に血塊を取り除いただけです。

  正直に白状すると医者は病気を治せないのです。名医と言われる人も同じです。医者ができることは、患者が治るきっかけを作るだけです。適切なきっかけを作ってあげ、

  あとは患者の自己治癒力が病気を治すのです。従って、適切なきっかけを作ることができるのが名医といえるでしょうし、自己治癒力が乏しい場合にはいくら名医でも治癒へ

  導くのは難しいことになります。昔は、肺結核が命にかかわる病気として、非常に恐れられていました。ところが抗生物質の普及によって、結核はコントロールできる病気に

  なりました。今迄不治の病とされていた結核を、まるで魔法のように一瞬で治してしまうのですから、ペニシリンの注射をする医者は神のような存在だったかもしれません。

  次々に伝染病を制覇していく姿を目のあたりにすれば、あたかも医者が病気を治しているように映るのも無理はありません。しかし、実情はそうではありません。結核に関しても

  抗生物質が治癒へのきっかけになったでしょうが、最終的には、患者の栄養状態が格段に向上し、結核菌の勢いに勝ったから治ったのです。
  
  ●風邪は自分で治せる!

  今は、風邪をひいたからと言って、病院や医院で必ず受診する人は少ないと思います。即ち「風邪くらいで医者にかかるなんて、そんな必要はない。無駄なことだ」という

  認識が皆さんの頭の中に浸透しているからです。体を温かくして、十分に水分と栄養を補給して、体を休めれば、2〜3日もすれば治癒することが、分かっているからです。

  一方、昔は、風邪は万病の元、こじらせて気管支炎や肺炎になってはいけないと、早く医者にかかって、解熱剤の注射を受け、抗生物質と胃薬の頓服を処方してもらったものです。

  現在でいえば、まさしく過剰診療そのものです。しかし、現代では、発熱はむしろまっとうな生体反応であって、解熱するとそのまっとうな生体反応を妨げることや、或いは

  抗生物質そのものが風邪の治療には全く関与しないことが常識となっています。少々の風邪を引いても医者にかからずに、まずは家で養生すること。それは自分の力で

  治ることを熟知しているからです。風邪はまさにカテゴリーTの典型的な例です。唯、中には風邪も医者が治してくれるものだと固く信じている人達もいまだ皆無ではありません。

  抗生物質が風邪の特効薬だと信じて疑わない人達も、稀ながら実際にいるのです。そいう方に丁寧に風邪は、家でゆっくり養生すれば治ると説明しても理解してくれません。

  下手をすれば、診療拒否と誤解されかねません。その為、多くの医者達は、仕方なく注射を打ったり、抗生物質や解熱剤を処方したりして、(ようや)く納得してもらうのです。

  場合によってはレントゲン検査もしたり、血液検査までやってしまったりするケースも実際にあるかと思います。蛇足ながら、風邪を引いて、不要な解熱剤や抗生物質を

  飲んだりすると、自分で治す力が著明に妨げられます。そのあげく、治りが遅くなったり、治りが悪くなったりしてしまうのです。医者が余計なことをしない方が、風邪はずっと

  治りがいいのです。しかし、風邪であっても、養生することなく無理に仕事を続けていたりすると、場合によっては恒常性を保ちきれなくなって、2次的に細菌感染などを引き起こし、

  気管支炎や肺炎などになってしまうこともあります、もともとは自分が持っている力で十分対処できる風邪でも、侮れば命にも関わることになるので、放っておいてはいけません。