病気の9割は自分で治せる

  ◎健康と病気の境

健康とは、病気とは 「中医」の考えは自己治癒力を高めること
「未病」を治せば「病気」にならない! 分かれ道は、健康と病気の境目

  ●健康とは、病気とは

  ずっと医者にかかり続けなくても治る、或いは医者にかかる必要もない、そんなカテゴリーTの方が、残念ながら数多く病院に押しかけ、おいしい患者さんになっているのが

  現状です。それでは、そんなカテゴリーTの患者が、経営のための医療につき合わなくてもいいようにするには、どうしたらいいのでしょうか?もちろん自ら治癒する術を知り、

  それをしっかりと身につければいいのですが、まずその前に、健康と病気との境界をしっかりと把握しておくことが大切だと思います。そもそも健康とはどういう状態を指し、

  病気とはどんな状態を指すのでしょうか?「健康」「病気」、いずれも皆さんが会話で頻繁に使う、非常に馴染みのある言葉です。それだけに、改めて意味を訊かれると、

  なかなか答えるのが難しいものです。医者に訊いても、恐らく的確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。因みに、WHO(世界保健機構)の定義では、

  「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」となっているが、抽象的で分かったような分からないような

  そんな印象です。そんな定義はさておき、健康な状態を平たい言葉で具体的に述べれば、「朝の目覚めがよく、体に痛みや違和感もなく、食事をおいしく摂ることができ、

  排泄もスムーズで、仕事や勉学への意欲があって、不自由なく活動ができ、人に思いやりを持つことができ、そして夜には穏やかに眠りにつける」と言うことになるかと

  思います。唯、私達が日常生活で求められる健康な状態と言うのは、必ずしも完全無比で、完璧な不動の状態を指すのではないことを、押さえておかなくてはなりません。

  1つの例を挙げると、皆さんの体の中では、毎日癌細胞が発生していると言われています。しかし、皆さんは、癌患者ではありません。それは何故でしょうか?それは

  発生した癌細胞が、うまく成長することができないからです。つまり癌抑制因子が働いて、正常な細胞に引き戻されるか、そうでなければリンパ球やマクロファージによって、

  ことごとく処理されてしまうのです。そのおかげで、皆さんは癌患者になることなく、事なきを得ているというわけです。生体と言うのは、物質の出入りのない固定した塊では

  ありません。みなさんの体を構成している細胞も原資も分子も、見かけは変わらないようですが、実は常に入れ替わっているのです。今から1年経っても、皆さんの姿形は

  あまり変わることはないでしょう。もっとも1年分の老化は否めませんが。従って、来年の今日、1年ぶりに友達に町で出会ったとしても、きっとその友達は皆さんを、皆さんだとは

  はっきり識別できるはずです。ところが、皆さんの1年前の細胞は、神経細胞などごく1部を除き、もちろん二の腕のだぶつきやお腹の出っ張りの原因となっている脂肪細胞

  も含めて、すべて入れ替わっています。原子や分子レベルの話になれば、完璧に全てが入れ替わっています。一年前のあなたを形作っていた細胞、原子、分子は、今は

  まったく存在しないのです。常に古い細胞が死んで、新しい細胞が生まれながら、全体としては何も変化していないように見えるだけなのです。従って、友達と一年ぶりに

  出会って「お久しぶり、お変わりありませんか」と声掛けられたなら「それがね、変わらないどころか、すべて変わりまくりですよ」と答えるのが正解なのですね。とはいえ、

  あなたが変わっていないように見えるのは、繰り返しになるが、同じ状態を保とう、元の状態に戻ろうという摩訶不思議な、そして超偉大な力が貴方の中に潜在的に

  備わっているからなのです。これを”恒常性(ホメオスタシス)”が保たれていると言います。そしてこの恒常性、或いは健全性を保とうとする力を「自己治癒力」と呼んでいる。

  この”恒常性”は、生物を無性物と区別する一つの大きな特徴でもあり、言い還えれば「生物(生命)は、物質の出入りも何もない固定した存在ではなく、絶え間なく物質が

  出入りしているという動的な平衡を保った存在」であるという定義も成り立ちます。つまり生命は、常に細胞(分子や原子も)が入れ替わりながらも、恒常性を保っている

  不思議な存在なのです。しかも、この恒常性は、実は姿形だけの話ではなく、皆さんの生命維持に直接関わってくる“機能”においても、恒常性(健全性)を保とうとしています。

  例えば体温がその典型です。夏の暑い日だろうが、冬の寒い日であろうが、皆さんの体温はほぼ一定の36.5℃に保たれています。それはその温度が生体の運営に最も適した

  温度だからです。そしてこの恒常性が健全に保たれている快適な状態を”健康”と言いかえることができるのです。一方“病気”と言うのは恒常性が崩れてしまって、

  元に戻らなくなっているか、或いは元に戻りにくくなった状態だと考えると分かりやすいと思います。

  ●「未病」を治せば「病気」にならない!

  健康に戻るか、病に陥るかの分岐点での対処の仕方が大切です。その分岐点は、中国の伝統医学である「中医」の「未病」というキーワードを理解すれば、わかると思います。

  「未病」とは、恒常性が崩れかけていて、そのままほうっておくと完全に崩れてしまうような危うい状態を指します。要約すると

  状態1:恒常性が健全に保たれている状態・・・健康     状態2:恒常性が崩れかけている状態・・・未病     状態3:恒常性が崩れ、そのままでは元に戻らなくなっていて、

  悪化している状態・・・病気  唯、それぞれの間にははっきりした境界があるわけではなく、連続的に移行しているのが実態です。中医で「未病」と診断されるのは、

  検査で明らかな異常がなく、明らかな症状もないが、少し調子の悪い状態で、病気になる前段階の心身の微妙な変化を指します。この大事な変わり目を早急にとらえ、、
  
  速やかに改善を図れば未然に発病を阻止することができるのです。つまり病気になることを防げるのです。中国には「上工治未病」と言う古い言葉があります。

  「上工」とは本物の医者のことで、本物の医者は発病してからではなく未病の段階で異常を察知し、速やかに対処するものだという意味です。一方、西洋医学では

  未病を見過ごし、発病して初めて治療に取り掛かります。即ち、検査で異常が発見されるか、明らかな症状が出るようになるまでは病気とは見なしません。治療の対象に

  なりません。病気だという明らかな証拠を示さなければ、医者は動かないということです。例えて言うと、西洋医学は火事が発生してから対処しようと言う考えです。その点、

  中医は火事になってから対処しようと言うのではなく、火事になりそうな危険な場所をあらかじめ点検したり、燃えそうな建材はあらかじめ不燃材に交換したりしておこうと

  いう考え方です。もちろん一旦火事になってしまえば、とりあえず燃え盛る火の勢いを抑えなくてはいけませんので、西洋医学も必要です。しかし、それだけでなく火事の防止を

  考えたり、再発を防いだりすることも非常に大切な考えだと思います。例えば、癌の場合、一旦発病してしまうと、治療に多大なエネルギーを要するようになります。

  従って、西洋医学の様に発病するまで待っていて、発病したら対処しようと言う考えはあまり得策とは言えません。中医のように、未病の段階で、微細な異常を的確に察知し、

  自己治癒力を高めて早く対処しておこうという考えが重要です。”待つ”のが西洋医学とすれば、重篤な病には悠長過ぎる考えと言えます。それに対し、事前に対処する

  中医は“攻め”の考え方と言えるのではないでしょうか。