病気の9割は自分で治せる

  ●病院の経営を支える「おいしい患者」

  患者を3つのカテゴリーに分けてみたが、それぞれの状態が、現代医療で具体的にどう扱われているかを、見てみると、医院や病院が「薄利多売」の危うい状況下にある

  ことは述べたが、その経営者ならば、どのように考え、どのように振舞うでしょうか。まずは前提として、自身の生活だけでなく、従業員やその家族の生活の安定を

  保障する責務が、自分への大きな制限になるでしょう。従って、経営を安定させることを第一に考えざるを得ません。いかなる理想があろうが、それが安定を確保する

  だけの収益を生まなければ、それは選択肢として外さなければなりません。医療機関の経営者が、経営を安定させるためにまず考えるのは、患者の確保です。

  しかも、医者がいなくても治る患者をどれだけ確保できるかが経営安定化のための最優先事項となります。カテゴリーⅠの患者を出来るだけ多く集めることです。

  そしてカテゴリーⅡは宣伝用に活用するためにある程度の数を、そして、カテゴリーⅢは出来るだけ避けるようにするでしょう。何故なら命にかかわる患者は

  対応に大きなエネルギーを要しますし、仮にうまくいかなかった場合には、悪い噂が立ってしまいます。何といっても1番美味しいのはカテゴリーⅠの患者さんです。

  カテゴリーⅠの患者は、殆どが慢性疾患で、うまくすれば、ずっと通ってきてもらえます。即ち、リピーターになってもらえる「上得意客」なのです。しかもカテゴリーⅠ

  ですから、原則的には命にかかわることはありません。かといって慢性疾患ですから、ずっと薬を処方し続けても法的には何ら問題は生じません。決してトラブルになる

  こともないでしょうから、医療裁判に巻き込まれるリスクもないということです。

  ●創られていく「おいしい患者」

  今の社会風潮は、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などは「しっかりと治療を受けなくてはいけませんよ」という空気です。これは、医療機関の経営者にとっては、

  とてもありがたい追い風です。その風は自然に吹いたのではなく、政府が吹かし、メディアが煽っているような様な気がします。日本糖尿病学会は1999年5月、

  血糖値が126mg/dℓ以上を糖尿病とするといきなり決めました。1999年4月までは140mg/dℓまでは全くの正常範囲であったにもかかわらず、1夜にして数百万人の

  方が糖尿病と言う肩書きを貰うことになりました。更に、高血圧の基準値も(正常範囲)も2000年に160/95mmHgから140/90mmHgに引き下げられました。

  これだけで、Ⅰ拳に高血圧の患者が3000万人増えました。合計で2000万人から5000万人になったわけです。日本は高血圧患者だらけの国になったのです。

  それだけでなく、2004年には若者~中年は130/85mm/Hgまでが正常範囲とまたまた引き下げられ、どんどん高血圧の患者が増えているのです。また、メディアでも

  往々にして恐怖を煽るような取り上げ方をします。医療機関や製薬会社にとって、これほどやりやすい環境はありません。また、定期的な検査も、患者を繋ぎ止める

  非常に有効な手段です。簡単な血液検査も項目を適当に増やせば、大抵は何らかの異常値が見つかり、脅す材料にはこと欠きません。新し異常項目が見つかるかも

  しれず、指導料も増やすことができ、薬の処方も増えることになります。唯、完全に治ってもらっては困るのです。治るとリピーター確保の原則が崩れてしまいます。

  もちろん悪くなっていくのも困りますが、さりとてすっきり良くなるのも困るのです。このバランスを絶妙に操るのが、経営のうまい医者なのです。

  政府の論理は、病人が増えれば医療費支出が増加し国の財政を圧迫することから、予防処置として、合併症を啓発する糖尿病や高血圧の基準値を下げることで

  警告を鳴らしているのだと思うが、医療の世界が経営の安定化を重視するあまり、その警告を逆に利用して、安易な方向に走っているのではないかと危惧します。