病気の9割は薬なしで治る

  ◎患者には決して言えない本音

患者の全ての名前は覚えきれない このままじゃ、医者は過労死する
医者は孤独な職業である 薬は10種類知っていればなんとかなる
医者の稼ぎは労働に見合わない 最後の医者にはなりたくない

  ●患者の全ての名前は覚えきれない

  「先生、お久しぶりです。その節は本当にお世話になりました」病院の廊下などで会った人からこう言われると、たいていの医者はドキッとします。顔を見ればうっすらと

  記憶はあっても、はっきりと覚えていないことが多いからです。「その節」とはどのくらい前なのか、どんな病気で自分を訪ねてきたのか・・・と記憶を探りながら、いかにも

  「覚えていますよ」という表情でこう言います。「お久しぶりですね。その後、いかがですか?」この質問に、患者さんはこう答えたとしましょう。「はい、あれからすっかり

  酒も辞めまして、おかげさまで肝臓の方は殆ど問題がなくなりました」ここで、あ、そうか、肝臓疾患でうちの病院にかかった患者さんだな、ということは分かるが、それ

  以上の記憶は蘇らないことが多いのです。患者側は、自分の病気を治してくれた医者の顔や名前を忘れることはまずないと思います。しかし、医者は、連日半ば流れ

  作業的に、3分から5分ぐらいの間隔で患者に接しているから、よほど印象的な場合のほかは、患者1人1人の病状を覚えてはいられないのです。ましてや名前となると

  患者の順番が来た時に呼びかけるだけで、診察室に入ってきた人の名前と顔を照合して覚えておこう、などという意識は働きません。もちろん、ある時期集中して通院

  してくる患者さんの名前は自然に覚えるが、それでも1,2年経てば忘れてしまいます。ですから、診察室の外でよく覚えていない人に声をかけられた場合,相手が自分

  から情報を出してくれるよう、言葉を選びながら対応しているわけです。もしその時、「何だ、先生は自分のことなんか忘れていたんだな」と見破ったとしても、どうか恨まな

  いでください。貴方のことだけを忘れていたわけではないのですから。

  ●医者は孤独な職業である
                                            
  「医者は患者さんとは付き合えるけれど、一般の人とはうまく付き合えない」と言われます。普通の企業人が集まるパーテイ―などにたまたま呼ばれても、たいていの

  医者は会場の隅でポツンとしています。その時々のトレンディ―な話題にも、話のリズムにも、ほとんどついていけないのです。しかし、医者はこれでいいと思います。

  他の多くの職業の人は、「一般の人との付き合いから仕事に必要な情報を得たり、他業種の人との交流を仕事に生かしたりするが、医者は患者さんと付き合えれば、

  生きていけるのです。但し、その患者さんとの付き合いさえ、あまり得意でないのが医者という人種でもあります。では医者同士の付き合いはどうかと言えば、これも

  あまり密度は濃くないのではないでしょうか。サラリーマンのように、会社帰りに同僚と居酒屋により、社内では言えない上司の悪口や女子社員の噂話に花を咲かせる、

  などということも医者の世界にはないのです。気の合う医者仲間が誘いあってゴルフに行くこともあるでしょうが、クラブハウスで深い話ができるはずもありません。

  医者には、仕事上知ってしまった患者さんの情報を漏らしてはいけない「守秘義務」もあるから、職場での話も殆どタブーです。つまり、医者にとって家族以外の1番身近

  な存在は、患者さんということになります。しかし、一生懸命治療しても、秘密を守り通しても、病気が治れば患者さんとは「さよなら」。医者とは、友達ができにくい職業で、

  孤独な人が多いのです。