不整脈はこうして治せ!               
         
          

 

  

 

 

 

 

 

  

  ✶脳梗塞を引き起こす危険性のある不整脈:心臓と脳ですから一見関連もないように思われがちですが、実は密接な関連があり、特に「心房細動」が曲者なのです。

   左心房の1部に血液の流れが少ない左心耳が、心房細動になると心房全体の収縮性が低下するため、左心耳内は血流が殆どなくなり、血液がうっ滞して血栓が

   できてしまい、この血栓が何かの拍子に剥がれると、血液の流れに乗って左心房→左心室→大動脈→頸動脈→大脳動脈と進み、膿動脈の途中で詰まって脳梗塞を起こす。

   高齢者に起こる脳動脈そのものの動脈硬化による脳梗塞と異なり、比較的若年者に突然発生するのが特徴です。これの予防には心房細動を根治させるか、血栓が

   できるのを完全に防止する必要がある。この治療戦略に関しては医学界の大問題として欧米でも臨床試験が行われていてデータ収集がされている。

  ✶不整脈を誘発する薬剤に注意:体内に入った薬剤はどのようなものであれ、強弱の違いはあるが必ず心臓に何らかの作用をもたらすのです。心臓病以外の病気に

   対する薬剤は、普通に用いる量では心臓に及ぼす作用は極めて弱く、殆ど無視してよいのですが、大量になったり他の薬剤との相互作用(飲み合わせ)で体内の

   薬物濃度が予想外に濃くなったりすると、思いもよらなかった作用が心臓に出ることになるのです。これにより新たに不整脈が発生したり、もともとあった不整脈が悪化する

   ことが稀にあり、このような作用を薬剤の「催不整脈作用」、新たに出現した不整脈を「催不整脈」と呼んでいます。催不整脈作用が現れる時には、多くの場合、心電図に

   QT時間の延長という変化が現れるので、心電図を定期的に記録して少しでも変化の兆しがあったら薬剤の投与量を減らすなど、副作用の発現を未然に防ぐことが重要です。

   心臓に直接作用する抗不整脈薬でQT時間が延長するのは薬理作用からみて当然予測される範囲内で、医師も承知して注意深く観察するので催不整脈の発現に至る

   ことはない。不整脈を治療する目的で用いた薬剤によって、逆に不整脈が悪化することがあっては困るので、処方する循環器専門医も十分に注意します。

   問題はその他の薬剤ですが、いずれも心臓病とは直接関係のない薬剤ですので心電図に変化を起こし不整脈を誘発する可能性ガあるとは思わなかったのですが、

   中には単独で用いて全く変化を来たさないのに、他の薬剤と併用すると相互作用によって心電図異常が起るものもあるので、その場合は担当医に相談しましょう。

  ✶不整脈の検査・心電図検査と診断

   健康診断などで行われる心電図検査は、不整脈の診断に不可欠の検査です。「不整脈」とは脈拍の異常ではなく心臓の電気的興奮のリズムが異常になった状態を言うのです

   からこの電気的興奮の様子を観察することができれば、正確な診断が可能になります。「心電図」は、まさにこの目に見えない心臓の電気的興奮を目に見える波形として

   現すもので、不整脈の診断には必要不可欠な検査ということになります。

  1〜2日間心電図を記録してみると、中年以上は殆どの人に、毎日1〜2個は不整脈が見つかります。 年をとるにつれ、誰でも

  少しずつ不整脈が増えていきます。ストレス、睡眠不足、疲労などでも不整脈は起こりやすくなり、誰にでも起こるのです。

  心臓は約10万回/日、収縮と拡張を繰り返しているが、時に規則正しくない刺激で不規則な収縮が起こるのです。検診で不整脈だけ

  見つかった場合は、病気とは関係のない不整脈であることが殆どです。心臓の病気があると不整脈が出やすいのも事実です。

  弁膜症、高血圧、肺に病気がある人、甲状腺に異常がある人に不整脈が出やすいのです。息を吸うと脈は速くなり、息を吐くと脈は

  遅くなります。運動や体温の上昇でも脈は速くなります。これらの脈の変化は病的なものではなく、生理的な反応と言えます。

  脈が乱れたからと言って常に症状があるわけでなく、むしろそれに気ずかない場合が多く、程度がひどくなれば自覚するようになる。

  脈が極端に遅くなり、数秒以上、脈が途切れるようになると、ふっとなったり、めまいがしたり、ひどい場合は意識がなくなって

  倒れたりします。また、脈の遅い状態が続くと、体を動かす時に息切れするようになります。反対に、脈が速くなるとドキドキと動悸がし、

  更に脈が速くなると心臓が十分な血液を送りだせなくなって、吐き気や冷や汗、意識が遠くなる症状が出てきます。期外収縮は症状のない場合が

  多いのですが、症状の出る場合は、脈が飛ぶ感じや、胸部の不快感、きゅっとする胸の痛みとして感じます。この時の痛みは胸の狭い範囲で

  起こり、しかも一瞬または数十秒内で治まるのが特徴です。狭心症や心筋梗塞の場合はもっと長く続きます。期外収縮による胸痛は脈が飛んでいることから判断できます。

  脈が飛んでいるのを、心臓が止まっているためと誤解されている方が案外、多いようです。期外収縮では、本来のリズムより早めに刺激が出て心臓が動くため、1回の

  拍動で十分に血液を送れないのです。そのため、実際は心臓が動いているのに、拍動で生じた圧力は弱く、、脈として感じられないので、脈が飛んでいるように思えるのです。 

  脈が遅くなる時も、脈が飛ぶことがあります。2つに1つ、3つに1つといったように、規則的に脈が飛ぶ時は、まず期外収縮が起きているとみてよいでしょう。

    ✲不整脈の検査は、普通の心電図検査を中心に、胸部X線、血液検査、ホルダー心電図、運動負荷心電図、心臓超音波検査などによって行います。全て痛みはない。

   ホルダー心電図→携帯式の小型の心電計をつけ、体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化するかを見る検査で不整脈の数、危険なものはないか、

   症状との関係はどうか、狭心症は出ていないかなどがわかります。

   運動負荷検査→階段を上り下りしたり、ベルトの上を歩いたり、自転車をこいでもらったりするもので、運動により不整脈がどう変わるか、狭心症が出るかどうかをチェックする。

   心臓超音波検査→心臓の形態や動きを見るもので、心臓に病気があるかどうかが診断できます。

   心エコー検査と運動負荷検査で異常がなく、ホルター心電図で危険なタイプでなければ、いくら不整脈が数多く出ても、まず心配する必要はないのです。

  ✲不整脈の治療法はこの10年間で目覚ましく進歩し、今では殆どが治せるようになっている。

   まず、徐脈の人は「ペースメーカー」を体内にとりつけることで、健康人と変わらない生活ができるようになりました。ペースメーカーは遅くなった自分の脈(電気の流れ)の

   代わりに、心臓の外から電気刺激を与える装置です。この取り付け手術は局所麻酔で簡単に済ませます。

   頻脈には「カテーテルアブレーション」と言う方法で、細い管(カテーテル)を足の血管から入れて、高周波で頻脈の原因になっている心臓の筋肉の1部を焼く。

  以前は、不整脈は心臓に起こる異常な病態ですから、できるだけ速やかに不整脈を完全に消失させ正常なリズムに戻すことが長期予後も良くなると信じて治療が行われて

  きたが、欧米での近年の研究結果から、この仮説は覆され、軽症の不整脈に対して強い薬剤を長期間用いると、不整脈は消失するが、催不整脈作用や副作用のために、

  却って予後が悪くなる可能性が指摘され、これが瞬く間に世界中の主流になったのです。現在では、一般的に重篤な心臓病がない人に不整脈が見られても、不整脈の

  症状が軽ければ、生活習慣の改善などの指導を行うだけで積極的な薬物治療は行わないというのが最近の考え方です。治療する治療目標も100%完全抑制を目指す

  のではなく、患者のQOLの改善が得られること、あるいは多少の不整脈が残っても長期予後の改善が得られることのぽうが重要であるという考えから、目の前の不整脈

  を抑制する対処療法から、不整脈の原因に対する治療すなわち根治を目指すようになり、さらには個々の患者の特性に応じた個別の治療へと変貌している。