食の安全 裏側の話

 ✲牛肉

  肉用牛の飼育農家は育成と肥育で分れています。肉専用種(和牛)の母牛は繁殖用に、乳用種の母牛は乳用牛として飼われており、生まれた子牛が雌なら

  普通は乳用牛様に北海道などの育成農場に送り育ててもらい、雄なら肉用牛の育成農家に売られ半年ほど飼育した牛が「素牛」として市場に出荷されます。

  そんな子牛の市場に、肥育農家(農協)が牛を買いに行きりに参加します。生後半年で300kgになります。通常、私達は牛でも豚でも、雄の肉は固くて

  美味しくなく食べません(鶏は若い時期に出荷するので例外)。そこで、柔らかく、食べやすくする為に去勢し大人しくなる(繁殖用は去勢しません)。

  約1年間肥育し、出荷時は700kgを超え、18ヵ月齢位の若牛です。このようにして出荷される肉用牛は最も多い乳用種(ホルスタイン)です。

  それ以外の国産用牛は、いわゆる和牛で、これは肉専用種です。和牛でも最高級とされる黒毛種の他に褐毛種、短角種などいろいろあります。

  俗にいうブランド牛肉の中でも最高級の物は「黒毛種雌、未経産牛」で、雌牛を4〜5年かけて育てたものです。牛は年に1頭しか子供を産まないから、

  血糖の良い雌牛を子供も産ませずに肉にするなんて、贅沢です。他に交雑種という乳用種の雌に、肉専用種(和牛)を人工授精で雑種が生まれます。

  乳用種の雌に乳用牛を産ませる計画(牛乳の増産予定)がない時、こうすることもあります。和牛は乳用種に比べ小さいので、お産が軽くなる。

  牧場では連れてきた子牛に餌を与えるのですが、干し草(粗飼料)だけでは美味しい肉はとれないので穀物などを配合した濃厚飼料も与えます。

  我が国では肉が美味しくなることを重視するあまり、粗飼料を十分に与えない所もあり、微生物の発酵がなされる第1胃の発達が悪く、国産のミノは美味しくなく、

  輸入品に頼っています。米国やオーストラリア産の牛肉は濃厚飼料が少なくコストを下げた飼育方法が一般的で、健康に育つので内臓肉をとるには最適です。

  牛の餌も、研究され、より安く肥育効果の上がるものが開発されてきたが、そうした中で、いわゆる肉骨粉がBSE(狂牛病)の原因となりました。

  発生地のイギリスでは18万頭を超え、牛の伝染病として大変です。これが人間に感染する可能性があるとされていて、165名の死者が出ています。

  肉の食習慣がイギリスとは大幅に違う日本では、今後人間が発症する可能性は恐らく殆どない?と思われます。人間にももともとクロイツフェルト・ヤコブ病

  というBSEに似た病気がありました。遺伝性のものと孤発生のものがあり孤発生のものは何処の国でも、ごく稀に発生しているようです。

  肥育中に一番怖いのは病気と怪我で、基本的に肉牛は運動させません。あまり自然な飼育方法では美味しい肉にならないのです。オーストラリアなどでは

  草原を自由に走り回って、餌も牧草のみで健康そのものです。しかし、この肉は日本の消費者には好まれないのです。肉が固く青臭く感じています。

  運動をさせず、穀物を食べ、ある程度脂肪が蓄積した様な肉を、柔らかく美味しいと感じるのです。

  と畜場で、解体され、精肉として生体重の半分、350kg位がとれます。これをロース、バラ、モモなどの部位ごとに分けて分配します。

  飼育から解体処理、製品出荷までの工程で、日本の畜産業はまだまだ改善はされてきているが、先進国並みとはいかないようです。

  日本人はかって動物の肉を殆ど食べませんでした。牧畜から出発している欧米の文化と比べると、水田農業から出発している日本の文化は、動物との

  付き合い方で劣っているようです。

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  毎日、魚市場にたくさんの魚が入荷してきます。生協等の中程度量の仕入れの場合、冷凍の魚です。冷凍だと鮮魚より品質が安定していますし、

  何より事前に仕入れの準備ができるので、商品が無かったりする心配がありません。鮮魚だと、もしも当日に入荷しなかったらアウトですから、注文をとるのが

  難しいのです。鮮魚となれば魚市場を通して確保するか、決まった産地から漁協を通して送ってもらうかということになるが産直となると運送費がかかります。

  朝2時頃になると、遠くの漁港から送られ、入荷した魚が積み上げられ、セリが始まります。魚の種類や産地からの距離によって、時間がかかるのも多く、

  その日に入る魚は前日に取れたものが理想ですが、必ずしもうまくいかず、鮮魚として販売できる鮮度がないと取引されませんので消費者への表現が難しい。

  価格は全国の市場の相場を調べて、送る市場を選ぶのですが、どこの市場でも、その時の相場に従って、あまり変わらない値段で取引されるようになっている。

  日本人は魚好きで有名ですが、昔からたくさん魚を食べていたわけではなく、刺身は日本食の代表ですが、冷蔵庫が普及するまでは、普通に家庭で

  食べるものではありませんでした。干物や塩魚を食べていました。新鮮な魚が豊富に食べられるようになったのは物流(トラック)と冷蔵庫のお陰です。

  それぞれの漁港でそれぞれの漁業が行われ、市場との関連で翌日の朝2時ごろには消費地に着くようにセットされている。

  漁港では干物や煮干し、かまぼこ等の業者が魚を買いに来ます。かまぼこを作るにはすり身にする必要があり手作業で骨、内臓を処理します。

  こういう生のすり身で作ったかまぼこは美味しく高価です。一般には冷凍すり身と合わせて用いられている。安い物は冷凍すり身だけでできている物です。

  主に北洋でとれるスケトウダラが主な原料ですが、最近は南方のタイ類から作ったすり身も輸入されている。イワシは現在不漁期でサンマのすり身が全盛です。

  冷凍魚に限っても、品質の良い魚を安定した量で手配しようとすると、どうしても外国産になってしまうようです。国産では生鮮流通が主流で冷凍設備も未熟です。

  その結果、輸入品(海老、カニ、鮭)を商社で押さえて、国内の加工業者に頼むというのが、品質もそろって簡単に手に入るのだそうです。

  冷凍魚介類は、最終的に商品になる時に一旦解凍され、消費者向けに小分けされ、包装の上、再凍結されます。市販されている冷凍魚介類の賞味期限表示は、

  輸入された日付けではなく、この時に付けられるのです。同じ時に輸入された同じ種類の魚介類で、小分けされた日が違う為に賞味期限が1年違うという奇妙な

  ことが起きます。昔は製造年月日だったので、小分けした日が製造年月日になるので、実に変なことになっていました。海外の工場で消費者向けに包装して

  もらったほうが、国内で解凍しないので品質的にも良いのですが、そうすると製造年月日が古いと、クレームが付きます。冷凍魚介類は業務用冷凍庫に

  保管している限り、何年でも保存可能ですので、製造年月日が新しいからと言って中身が新しいわけではないのです。

  日本の漁業は、基本的に漁獲した魚を生鮮市場に流すだけで、昔ながらの、前近代的産業と言えそうです。一方、養殖や流通の面では新しい技術で

  進歩していますが、養殖の効率を上げるために抗生物質を使用するなど、歓迎できない事態もあります。新しい技術が消費者を不安にしている事もあるのです。