健康長寿力チェックノート

 

  ✲良い眠りはエイジング予防に不可欠

  睡眠不足は体調を崩し、健康を害する。良い眠りは脳の疲れを取り除き、活性化させ、体と心を回復させる。ライフスタイルを見直し、爽やかな目覚めを!

  ✶日本人の5人に1人は不眠の訴え→健康長寿を語る場合、真っ先に引き合いに出されるのが「快食」と「快眠」です。要は、おいしく食べて、ぐっすり眠ろう、ということですが、

  実際には食べることも寝ることもそんなに簡単ではない事を、多くの方が実感していることと思います。現代社会で不眠を訴えている人の数は、成人で5人に1人、総計で

  1500万人に上っています(厚労省)。そして年齢が進むほど増えて、60才以上だと約30%の人が不眠に悩んでいるといわれている。更に、眠りを得るために睡眠補助薬や

  アルコールの助けを借りている人も、約14%を占めています。これは決して望ましい状況ではありません。この他、最近注目されているのが、足に虫がはっているように感じて

  眠れないという「むずむず脚症候群」です。国内だけで約200万人の患者がいると推定されている。原因は不明で、パーキンソン病などからくるケースもあるようです。

  ✶レム睡眠とノンレム睡眠→人間は典型的な昼行性動物ですから、本来は朝起きて、夜は眠る、というのが基本的な行動パターンですが、人間の「体内時計」は本来が25時間で、

  地球の自転に合わせた実生活の24時間とは1時間のズレがあります。しかも、社会環境が夜型に移行するなど著しく変動した為、睡眠に関しても無理が生じているのです。

  体内時計とは、それぞれの生物が体内に持っている時計のようなメカニズムのことで、「生物時計」とも呼ばれています。もともとは1日25時間周期のリズムを1時間短縮して

  バランスを保っているのは脳ですから、体内時計は「脳内時計」ともいわれています。睡眠とは体と脳を休ませるために、天が設定したセレモニーです。しかし、脳は働き者なので、

  なかなか休もうとせず、睡眠にも二通リ用意して、人間の生命活動の保持に当たっています。浅い眠りの「レム睡眠」と、深い眠りの「ノンレム睡眠」の2種類で、90分の周期で

  繰り返されます。レム睡眠では、体は休んでいても脳はかすかに動いているので、人間は夢を見たり、寝言を言ったりもします。一方のノンレム睡眠は、まさに脳に休憩を

  与える熟睡のことです。脳の温度は下がり、脳内の血流も少なくなって、脳の休息タイムとなります。しかし、この間にも体内では脳の事前指令で、成長ホルモンの分泌、

  栄養分の合成、免疫機能の強化などが行われます。

  ✶個人差が大きい睡眠時間→脳を休息モードから活動モードに切り替えるのは、朝の太陽を浴びるのが最も自然で理想的とされています。しかし、現代社会は多様化、複雑化、

  過密化しており、都会の人は朝の光も鶏の鳴き声も望めず、もっぱら目覚まし時計に目覚めを託すことになります。また、夜になればすぐ眠れるかというと、そうではありません。

  職場での人間関係やリストラ問題、家庭内のトラブルなどが大きなストレスとなって、横になっても悶々としている人が数多くいます。更に自動車の騒音や電光など環境問題も

  絡んできます。しかも大都会では夜間就業も多く、こうした職種の人は、朝起きて夜寝るという体内時計の土台が狂ってきます。昼間寝て夜働くこともあれば、日勤の次は

  夜勤という職場も珍しくありません。このように、非情な現代社会は、睡眠に関しては体内時計のリズムと正反対のことを要求しています。そうした中で、私たちはどのようにして

  質の良い睡眠を確保するのかが、健康長寿への勝負どころとなります。唯、睡眠というのは個人差が極めて大きいのが特徴です。短時間の睡眠でも平気な人もいれば、

  長時間眠らないと頭が回転しないという人もいます。寝付きも同じで、横になった途端、いびきをかいて眠れる人もいれば、暗闇の布団の中で羊が1匹、2匹と数えながら

  もだえ苦しんでいる人もいます。睡眠時間といえば、ナポレオンの1日3時間が有名ですが、エジソンも4時間と短かったようです。逆にアインシュタインは1日に11〜12時間

  も眠っていたとか。ダ・ビンチは仕事を4時間すると15分眠っていた、とのことです。日本でも作家や漫画家には、夜半から明け方まで仕事し、昼過ぎまで寝ている人が多いようです。 

  日本人全体の睡眠時間に関してはいろいろデータがあるが、成人の平均は7時間弱、これは研究で1日7時間の睡眠の人が1番長生きしたと発表し注目されたからです。

  ここで強調したいのは、不眠気味と病気としての不眠症とは違うということです。不眠症も睡眠障害の1つで、入眠障害、熟眠障害、早朝覚醒、中途覚醒の4タイプがあります。

  この他、眠りの止まらない過眠症、睡眠発作の起きるナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群もあります。うつ病から来るケースもあり、これらは専門医の診療が必要です。 

  ✶睡眠は「時間」より「質」→ぐっすり熟睡すると、翌朝は気持ちよく目覚め、心身ともに爽やかであることを否定する人はいないでしょう。良い眠りを続けていると、間違いなく

  脳も体も元気になります。睡眠のメカニズムを簡単に説明すると、人間が寝ようとして横になると、やがて脳の中央部にある松果体から睡眠ホルモンのメラトニンが分泌され、

  眠りに誘います。分泌がピークになるのは、午前2時頃です。メラトニンは成長ホルモンの1つにも挙げられ、脂肪分の分解や、ストレスの緩和、疲労した筋肉の修復などが

  あり、若返りホルモンとも言われています。しかし、加齢と共にメラトニンの分泌量は減り、高齢者が朝早く目覚めるのはそのせいと言われています。

  では、よく眠るには一体どうすれば良いのでしょうか?まず、不規則になっていた生活習慣を改め、日常のリズムを早寝早起きの体内時計に近ずけることです。毎日

  同じ時間に寝るようにすることが望まれます。夜型の人が朝型に変えるのは大変ですが、強い意志があれば実行は可能なはずです。次に、理想的な睡眠は一日八時間という

  定説を忘れることです。そもそも八時間に化学的、医学的な根拠はありません。一日24時間を便宜的に3で割っただけのことです。年を重ねる程睡眠時間は短くなり、うたた寝

  などをするようになったり、夜中に目を覚ます回数が増える、こういった変化は正常なものなので心配はいりません。8時間寝ないと体に悪いと思い込んでいると、それが

  重いストレスとなって、ますます眠れなくなり、本物の不眠症に近ずきます。更に、目覚まし時計を使うなら、浅い眠りのレム睡眠の時間帯に起きる時間をセットすることです。

  レム睡眠とノンレム睡眠は90分1セットの周期ですから、3周期だと4時間半、4周期だと6時間、5周期だと7時間半です。時間の比率はノンレムが6〜7割、レムが3〜5割で、

  ノンレムで始まりレムで終わるので、おおよその見当がつきます。周期の終わりに起きると、睡眠時間は少し短くても寝覚めは良く、脳の活動も早まります。運動をすることも

  非常に効果的です。スポーツ選手に不眠を訴える人は極めて少なく、それを裏付けるデータは数え切れないほどあります。寝る前に軽いストレッチが有効という説もあるが

  長い時間の体操は避けるべきです。敷布団に座って足を伸ばし、ゆっくり肩を回し凝りをほぐす程度のストレッチにとどめましょう。居眠り上手になることも推奨されます。

  昼食後などに2分でも3分でも仮眠をとるコツを覚えると、脳も元気になります。定年後は、15分ぐらいの昼寝も効果的ですが、長い昼寝は夜になって眠れなくなるもとになります。

  もう1つ、アルコールは寝入りを良くする効果はあるが、覚醒作用もあるので、途中で目が覚めるなどして、よい睡眠は得られません。不眠の根本的な解決にはなりませんし、 

  量が増えれば、アルコール依存症になる心配もあります。尚、部屋を暗くすると、メラトニンの分泌は高まります。結論として、よい睡眠は「時間」ではなく「質」です。

  睡眠とは自分が休むのではなく、働き者の脳に休憩を与える時間だと悟れば、少しは気が楽になり、余裕も出て、質の高い眠りに就けるのではないでしょうか?