昔から「病は気から」と言われますが、それと同じく「老化は気から」なのです。ふとした時に体の衰えを感じて「もう年なのか」と肩を落とし、「年だからどうしようもない」と

  あきらめてしまう。年齢よりも老けて見えるという方は、そういうネガティブな気持ちがきっかけで、どんどん老けてしまうのです。アンチエイジングに前向きな関心を寄せて

  いる人へのサポートはさほど難しいことではありませんが、最初から関心のない人、すでにあきらめている人を振り向かせるのは一番難しいことなのです。

  「どうも眠れない、疲れやすい気がする、腰が重い」などのちょっとした症状や不定愁訴を訴える人に「年のせいですね」と一言で片付けてしまうか「老化は病気の1つ。

  だから治療もできるし、予防する手立てもある」と励ますか?老化に関する“新常識”をいくつか紹介します。

  ✧老化は自然のことだから仕方がない?これまでは、「老化」は沈んでいく太陽を誰にも止められないかのごとく、医療者側もただ受け入れるのみだったのです。しかし、

  「老化のプロセスそのものが病気の1つである」と捉えれば、その原因を探り、克服するための治療が可能になります。これがアンチエイジング学の基本です。

  昨今は「自然に老ける」のならまだしも、便利な現代生活に慣らされることによって「不自然に早く老けている人」が多くなっている側面もあります。

  ✧若さと美しさはお金持ちしか手に入らない?お金に飽かせて貪る不老不死の世界でも、若さを維持するホルモン注射を打ち続けなくてはならない美容医療でもない、 

  バランスの良い食事メニューと適切な食べ方、適度で効果的な運動を取り入れ、悪い生活習慣を排除し、ストレスに耐えられる心を育て、場合によってはビタミンやホルモン

  などを処方してサポートする、というシンプルで誰にでも実行できることです。

  ✧小太りの人のほうが若々しくて長生き?小太りというのも程度問題ですが、太り気味の人や加齢とともに肥満度が増しているように人に向って「恰幅かっぷくがいい」「貫禄が出てきた」

  とはやし立て、本人に肥満のリスクを自覚させないことは罪なことです。男女区別なく加齢によって筋肉量や基礎代謝量が減少し、太りやすくなるのはご存じの通りです。

  そして、肥満そのものが老化に拍車をかけ、病気の原因になってしまうということです。特に内臓肥満のメタボリックシンドロームの危険性は、今では多くの人が知っています。

  太り方が、「おなかがポッコリ出ている」という状態は、内臓脂肪が溜まっている証拠です。アンチエイジングな生活を実行することがスリムで引き締まった体型になれるのです。

  ✧玄米菜食(マクロビオテック)を徹底すれば健康長寿?玄米そのものは栄養価も高く食物繊維も豊富な食材で、また、野菜中心の食事もアンチエイジングにつながる

  食生活です。メタボリックシンドロームの警告を受けるほど内臓脂肪を溜め込んだ人ならば、玄米菜食の食生活をうまく取り入れるのもよいでしょう。しかし、すべての人に

  肉食を避けて極端な玄米菜食を続けることはお勧めできません。瘠せて顔色が悪い人に良質のたんぱく質不足は、将来の健康状態が危ぶまれます。必要な皮下脂肪が

  足りないどころか、筋肉や骨が衰えてしまうようでは、反対に老化が進むばかりです。○○で瘠せる、といった極端な食事に走ることは避けましょう。

  ✧見た目が若ければ健康で長生き?年齢の割に若いという状態がアンチエイジングの基本です。見た目の若さ、つまり「肌年齢」が若いことは大切です。ただし、若さは

  肌年齢、骨年齢、筋肉年齢、心臓・血管年齢、脳・神経年齢の5つがバランスよくキープできてこそ真のアンチエイジングなのです。単なるしわ取りの美容整形ではありません。

   5つの年齢を、それぞれ若く維持するというバランスを大切に考え、どれか1つ衰えるような“弱点を作らない”ことで百寿者を目指しています。

  ✧高齢者は働き盛りよりストレスが少ない?働き盛りの30〜40才代が最もストレスの多い現代社会に直面しているように思えるが、老化のメカニズムから見れば、

  ストレスを受けやすいのはむしろ高齢者のほうです。何故なら、ストレスに対抗するホルモンは加齢によって減少し、また、情緒の安定に影響する神経伝達物質も減少します。

  そのせいで、落ち込みからの立ち直りが遅くなったり、気難しくなったり、怒りっぽくなったりするようになります。お年寄りは優しく穏やかというイメージとは裏腹に、感情の

  起伏が激しくなる人もいます。人との付き合いを避け引きこもりで心のバランスを崩す人もいるが、これこそ老化するということです。心の健康を保つことがまず先決です。

  ✧誰しも年は平等にとるのだから、あせらなくても大丈夫?同じ年齢でも、見た目年齢が違うということはよくあります。老化の進み具合は個人差があります。年を重ねる程  

  、50才を超えたら、数字としての年齢は意味を持たないほど差が開きます。そして、その人の若さ、生きの良さ、という生理的年齢の若さが、その人の生活の質の高さを

  示すようになります。人は平等に老化するわけではありません。何もしないままでは不平等に年を重ねていくだけです。

  ✧長寿は遺伝に左右されるから努力しても効果がない?長寿に関しては3〜4割までは遺伝的要素が関係しています。生活の質の高い長寿を全うするには生活習慣が

  大きくかかわってくるのです。仮に、長寿遺伝子を持っていても、煙草を吸い、お酒を飲み、賭けごとにうつつを抜かして食事もまともに摂らない退廃的な生活では、老化が進む

  のは目に見えています。たとえ、長寿遺伝子を持たなくても「年を取らない生き方」を実践すれば、その効果は補って余りあるのです。

  長寿遺伝子を持っているミトコンドリア(酸素を使ってエネルギーを得るがその際、活性酸素を発生する)はフリーラジカルを消去する能力が若干高いのです。

  長寿遺伝子を持っていたとしても必ずしも健康長寿ではない。生活習慣の影響のほうが大きいのです。

  ✱若返りスイッチって何?

  1つの細胞には様々な働きの数千種類もの遺伝子が存在します。しかし、すべての遺伝子が同時に働いているわけではありません。活動中のもの(スイッチON)もあれば

  休止中のもの(スイッチOFF)もあります。老化に関係する遺伝子には、若い時にはONですが老化するとOFFになるもの、反対に、若いうちはOFFですが老化するとONに

  なるものもあります。例えば、蛋白質を合成する遺伝子は若いうちはスイッチONで活発に蛋白が合成されるが、高齢になると分解酵素の遺伝子がONになり、

  蛋白をどんどん分解するようになるのです。つまり、若者モードと高齢者モードでは、遺伝子が0N、OFFになるパターンが違っているのです。

  若返りスイッチとは、高齢者モードから若者モードに遺伝子の発現パターンを戻すことです。

  実験動物では飢餓とか寒冷刺激に晒されると、遺伝子のスイッチはON/OFFが変化するものがあります。種族存続の危機に直面すると、生きながらえようとする遺伝子が

  ONになり種保存の本能が刺激される。これが人に適応できるかわからないが、断食や滝に打たれる、寒中水泳などは男性の精子が増えることが確認されています。

  反対に気になるのが、床暖房です。近年男性の精子が減っているという報告があるが、このような生活習慣も関連しているかもしれません。