高齢者の糖尿病

    ✲厳格に管理すべき高齢者糖尿病の基準

  ✶空腹時血糖値が140mg/㎗以上      ✶空腹時血糖値が140mg/㎗未満であっても糖負荷後或いは食後血糖値が250mg/㎗以上

  ✶HbAicが7%以上                ✶糖尿病網膜症或いは微量アルブミン尿症を認める

  これらの項目に該当する例は、高齢者であっても放置すれば糖尿病性細小血管症が確実に悪化し、合併症に苦しむようになる。

  ✲高齢者糖尿病における危険因子の治療目標値と留意点

  @体重

       治療目標値    BMI=22          BMI=体重kg/(身長m)2

               留意点   高齢者において若・壮年者と同様にBMI22が最も病気が少ないという証拠は十分でない。BMI22を目指した減量の有効性を明らかにした無作為比較試験

              はない。しかし、肥満は高齢者において、耐糖能低下、大血管障害、或いは日常生活動作低下などの危険因子となるのでBMI22目標は妥当である。

  A血糖

      治療目標値    正常化を図ることが望ましい。それが難しい場合は空腹時血糖値:140mg/㎗未満、HbA1c:7%未満を目標とする

      留意点    血糖は正常化を図ることが望ましいが、高齢者の場合、種々の条件からその達成が難しいことがある。そのよう場合でも上の目標値を目指す。

              十分な血糖コントロールが維持できない場合、種々の合併症の発症・進展の有無を定期的に検察することが必要である。  

  B血清脂質

      治療目標値    ✦血清総コレステロール(冠動脈疾患(-):200mg/㎗未満、冠動脈疾患(+):180mg/㎗未満)

                 ✦血清LDLコレステロール(冠動脈疾患(−):120mg/㎗未満、冠動脈疾患(+):100mg/㎗未満)

                 ✦血清中性脂肪 150mg/㎗未満

                 ✦血清HDLコレステロール 40mg/㎗以上          上記冠動脈疾患とは、確定診断された心筋梗塞、狭心症である。

      留意点    少なくとも75才までは上記の若・壮年者と同様の脂質管理を行うべきとしている。75才以上の証拠はないので個々の患者の医学的、社会的背景を

              考慮して、主治医の判断で対応すべきである。 

  C血圧

     治療目標値     収縮期血圧:130mmHg未満/拡張期血圧:80mmHg未満

     留意点     前期高齢者(65〜74才)でも後期高齢者(75歳以上)でも140/90mmHg未満を最終降圧目標とする。しかし、後期高齢で収縮期血圧160mmHg以上の

              中等度・重症高血圧の場合は、150/90mmHgを暫定目標とし、慎重に降圧することが必要である。

              一方、血管合併症の多発する糖尿病では年令にかかわらず130/80mmHgを降圧目標とする。臓器血流障害、自動調節能力障害による徴候(めまい、

              立ちくらみなどの脳溢血性兆候や狭心症症状など)の有無に注意しつつ緩徐な降圧を心掛けることが必要である。 

      ✲老年医学的総合機能評価:高齢者の状態把握のための項目

  @日常生活動作

    基本的生活動作:移動、排泄、摂食、更衣、整容、入浴、階段昇降 等の状況把握

    手段的生活動作:外出、買い物、家計、服薬管理、電話、料理 等の状況把握

  A精神心理的機能

    認知機能:ミニメンタルテスト、簡易知能評価スケール

    うつ状態:老年者うつスケール

    その他:意欲、QOL(生活の質)

  B社会経済因子

    介護者(有無、年齢、精神、身体機能、日中の仕事の有無 等)、世帯構成、家計、住まい、家族、キーパーソン、行政との関係(生活保護、行政サービスの利用状況 等)

  C介護保険利用状況

    要介護度、ケアマネジャー、利用サービス、利用施設 等

  Dその他

    栄養状態、服薬状況、視聴力などのコミュニケーション能力、嚥下機能、口腔ケア 等