◆疾病を伴う運動編

自分自身の安全管理 運動の選び方と持続のコツ
症状別「注意が必要な動作」 信頼できる医師と運動指導者
持病があってもできる運動
       
   持病があっても運動できる! 〜自分自身の安全管理〜

  適度な運動はお薬です

  ちょっと血圧や血糖値が高かったり、或いは腰や膝が痛かったりすると「これでも運動してもいいのか?」と迷ってしまう人も多いはずです。

  運動はお薬と同じものと考えてください。運動のやり方や強さ、運動量によって、病気を改善させる効果も期待できる場合や、

  逆効果となる場合もあるのです。ですから、運道の前に、ご自身の体力レベルや病気の状態をよく知っておくこと、そして主治医の

  アドバイスと許可をいただくことが大切です。      病院での主な検査項目は次のようなものです

・自覚症状(胸痛・動悸・息切れ・めまいなど) ・安静時の血圧・心拍数・心電図
・病歴・既往症(整形外科的疾患も含めて) ・血液・尿検査(血糖値・血清脂質・肝機能・腎機能など)
・家族歴(心筋梗塞・脳血管疾患・糖尿病など ・運動負荷試験(運動中の血圧・心拍数・心電図などを計測し、運動による危険性や体力レベルをチェックする
・生活習慣・食事内容(運動経験・職業など)

  運動前のチェックポイント

  運動の直前にも体調が良いか悪いかご自身でチェックすることも、事故を防ぐ為の最善の対策です。

                                   次のよぷな症状がみられたら、その日は運動を控えましょう。    

・体の不調(頭痛・ふらつきやめまい・胸痛・動悸・息切れ・食欲不振・睡眠不足・下痢・便秘・疲労感・2日酔いなど) ・安静時の血圧値が収縮期(最高)160mmHg、拡張期(最低)90mmHg以上のとき
・高温(体温37℃以上) ・血糖値250mg/㎗以上のとき
・安静時心拍数100拍/分以上のとき  

  日頃から血圧や血糖値が高い人は、自分でチェックできる測定器があります。体調が優れない時は決して無理しないようにしましょう。

  運道前後のウオーミングアップとクーリングダウンも忘れずに !。運動を行えば、心臓も血管も筋肉も脳も腎臓も肝臓もその他

  様々な臓器の状態が大きく変化します。安静状態から運動状態に急激に変化させる ことは危険なことなのです。

  もし、運動中、胸が苦しくなったり、ふらついたり、吐き気がしたり、体が震えてきたりしたら、すぐに運動を中止して、誰かの助けを求めましょう。

  脱水症状の予防に十分な水分、日射病予防の帽子なども忘れずに、また、万一の備えとして、小銭や携帯電話、自宅の連絡先や

  通院中の病院名を書いたメモを持っていきましょう。

  適切に運動すれば、たとえ持病があったとしても、これからの生活をいきいきと健康に過ごせたり、或いは病気を改善していけたりと、

  あなたの人生にとって大きな価値のあることが得られるのですから、前向きに取り組んでいきましょう。

     
症状別「こんな動作を気をつけて運動しましょう」
    血圧の高い人 

  血圧というのは、心臓から動脈へ押し流される血液によって、どれだけの強さ(圧力)が血管に加わるかという数値です。

  血圧の高低は、血管の固さや血管の中の狭さによる血管の抵抗性、それと心臓が血液を押し出す勢いや量が関係しています。

  血圧が高いといっても原因は人によって様々で、血圧だけで何処が悪いと決められませんが、どこかが不調を来たしていると考えられます。

  安静時にも血圧の数値が高ければ、医師の診察を受けましょう。

  血圧を良い状態にコントロールする運動として有酸素運動。脚をはじめ、全身の筋肉を動員させて、軽く、無理なく、リズミカルに

  動かし続けるような運動が効果があります。血液の循環がよくなり、習慣的に行えば善玉コレステロールを増やし、必要以上に増えている

  血中脂質を減らすことが出来ます。安静時でも血圧が高い人は運動中も上がりやすくなります。血圧が上がると、血管や心臓への負担が増し

  時には、虚血性心疾患、脳血管疾患などの命に関わる事故も引き起こすことも。糖尿病の人も、血圧を上げると病状の悪化につながります。

  血圧に関しては、運動する時も、日頃の生活の中でも、常に注意を払うように心がけておきましょう。

   「どんな運動をすると血圧が上がるのか」を知っておくことはとても重要です

   激しい(運動強度の高い)運動     息をこらえながら行う運動     腕を上げ続ける運動、仰向けになって足を上げる動作

   手をきつく握り締めながら行う運動     緊張したり、興奮したりする運動

  これらの運動は動脈などの血管を収縮させて血管の抵抗を大きくしたり、心臓を強く収縮させて、多量に血液を押し出すことに

  よって血管に強い圧力をかけたりして、血管や心臓への負担を大きくします。

  ▲ 血圧の高い人が安全に運動を行う上で大切なこと

   楽に呼吸ができる程度の軽い全身運動(有酸素運動)をする    勝ち負けを競わない運動を選ぶ

   とにかく息をこらえない、りきまない、動きを止めない          力いっぱい握り締めなくてもよい道具を選ぶ 

   腕は肩より上に挙げたらすぐ下ろす                    仰向けになった姿勢で足を上げ続けない

   頭を急に上げたり、下げたりしない − 頭を心臓よりも低い位置へ急に下げると、脳への血流量が増えて、脳血管に負担がかかります。

    また、急に上げると、立ちくらみを起こします。頭の位置を速く大きく動かす運動は避けましょう

   急に足を止めない − 足をリズミカルに動かし続けると、心臓への血液の戻りガよくなり、心臓の負担を減らすことになります。

    急に止まると胸が苦しくなったり、気分が悪くなったりすることがありますので、徐々に止まるようにしましょう。

   血圧が急に低くなっていたら要注意 − いつもは血圧が高いのに、鏡はなぜか低い。体もなんとなくだるく感じる、ちょっとふらつく、

    これは要注意です。こんな日は運動を休んでください。

  *血圧や心拍数は、心臓や血管などの体の状態を知る為の手がかりとなるもので、運動によって大きく変化します。

   日頃から血圧を測り、ご自身の体調を管理する習慣を身につけておきましょう。

   医師から薬を処方されている人は、薬の作用と運動のしかたについて、医師から説明を受けておいてください。 

  血糖値の高い人(2型糖尿病

  糖尿病の中でも、その95%以上を占めるという「2型糖尿病」は、生活習慣が大きく関係しています。通常は食後、血液中に糖が

  増えてくると、筋肉などの組織へ糖を取り込むようにインスリンが働き、血糖値が一定になるようにコントロールされます。

  しかし、2型糖尿病は、インスリン受容体の感受性が低下するなどして、糖が取り込まれにくくなり、血糖値が上がってしまう病気なのです。

  このような人にすすめられるのが、ウオーキングのような有酸素運動です。高血圧の場合と同様、きつすぎず、お喋りしながらでも

  出来るぐらいの適度な運動は、安全性も高く、筋肉への糖の取り込みを促し、血糖値を下げます。しかし、糖尿病の人で、血糖を

  下げる薬を服用し、その薬が効き始めた時間帯に運動すると、低血糖を招くことがあります。低血糖になると、手足が振るえてきたり、

  足元がふらついたり、ひどい場合は意識不明や、昏睡状態に至ることもあります。ですから、早く痩せたいからといって、食事をせずに

  運動するというのは、糖尿病の人にとっては危険な行為といえます。

  糖の取り込み効果は長時間続くので、運動後、何時間かして低血糖になることもあります(遅発性低血糖)。運動するタイミング、

  運動する時の食事の量・内容については、主治医とよく相談しましょう。

  もし、低血糖になったら、素早く体に取り込まれるブドウ糖を含む食品を食べましょう。  また、自分の限界に近い激しい運動、或いは、

  非常に重いバーベルやダンベルなどを用いた筋力トレーニングなどは、逆に高血糖を引き戻すこともあります。その理由は、それらの

  高強度の運動は血糖値を上昇させるノルアドレナリンやアドレナリン、グルカゴンなどのホルモンを多量に分泌させるからなのです。

  これらのホルモンは血圧上昇ホルモンでもあるので、血圧の高い人、合併症のある人は運動の強さには十分注意して、軽い全身運動を

  行うように心掛けてください。血圧については慎重すぎるくらい配慮してちょうどいいのです。

       *糖尿病の合併症を持っている人の注意事項

  糖尿病性腎症 ー ・血圧変動に注意   ・尿中アルブミン排泄量(蛋白排泄量)や血清クレアチニン値の監視が必要

                ・透析患者は貧血や心筋障害の危険性により運動が制限される 

  糖尿病性網膜症 − ・収縮期(最高)血圧を上げすぎない   ・衝撃の強い運動は避ける   ・運動中は力まない

  糖尿病性神経障害 − ・心機能低下、起立性低血圧、皮膚の血流や発汗の異常などの危険性がある。

                   ・心拍数よりも自覚的運動強度を運動強度の目安にする

  糖尿病性足病変 − ・足を清潔に保つ   ・清潔でゴムのきつくない靴下を履く   ・靴擦れやマメ、タコができないように、

                  サイズのあった運動靴を選ぶ   ・足の怪我や水虫は治しておく   ・運動後には足を洗い、傷が無いか確かめる