メタボりックシンドローム予防実践セミナー

  楽しい健康教育

  食生活やライフスタイルの近代化に伴い、メタボリックシンドロームの基盤となる肥満者が増加し、その対策が望まれています。

  生活習慣病の3〜6割りに肥満が関与しているといわれています。ところが、肥満者に対して「体重を減らしましょう」「バランスよく食べましょう」

  と指導すると、「食べていないのに太る」「食事制限すると力が出ない」「甘いものを止めるとストレスがたまる」と答えます。

  これを心理学では「抵抗」と呼んでいます。この抵抗を減らし、楽しく患者をやる気にさせることが栄養指導の醍醐味です。

  「少し体重を減らしたほうがいいですよ」「栄養バランスを考えて食べましょう」「腹八分目にしましょう」など、一般的であいまいな

  用語を用いて一方的に説明する栄養指導は、効果が少ないことが知られています。「メタボリックシンドロームとは?」といった

  小冊子を患者に渡し、「これを後で読んでおいてくださいね」というだけでは行動を変えるまでに至りません。また、決して医学的脅し

  で行動変容を迫ってはいけません。「放置しておくと、いろいろな合併症が出ますよ。貴方の面倒は誰がみるのですか?」と脅すと、

  「そんなことはよく分かっている。自分のことは自分が一番知っている。放っておいてくれ」とさらに抵抗が増える結果になってしまいます。

  目の前の患者が抵抗を示した場合には、現在の栄養指導がうまくいっていないサインと考え、方法を変えるとよいでしょう。

  また、一方的で難しい専門用語が飛び交う講義は患者が受身となり、眠くなってしまいます。もともと血糖の高い患者は疲れやすい

  傾向にあります。また、教室を開催する時間が午後2時から4時の昼食後であると、最も睡魔が襲う時間帯となります。

  肥満や糖尿病患者は、睡眠時無呼吸症候群を合併している可能性も高く、この時間帯は特に眠いのです。

  このような条件を考慮に入れて、患者が自ら興味を持てるような楽しい健康教育ができるといいですね。

  楽しい健康教育とは?

  不安などのネガティブな感情は血糖を上昇させ、笑いのようなポジティブな感情は食後血糖の上昇を低下させるといわれています。

  長期の笑い療法が2型糖尿病において血圧に関連するレニンーアンギオテンシン系を変える可能性があるとの報告もあります。

  肥満者に対しては、つらくて長続きしない減量ではなく、楽しい減量プログラムが求められています。毎回、来院するのが楽しみとなる

  栄養指導ができればよいなと思います。患者の満足度が高く、効果の出る栄養指導ができればよいかなと考えます。

  個別指導で限界を感じた場合は、グループ指導を組み合わせた栄養指導が効果的であることが分かっています。

  患者同士で励ましあったり、時には数値目標を設定して競争したりして減量に挑戦します。他の患者の話を聞くことで、不安が

  解消する場合もあります。あの人にできるなら、私にもできるかもしれないと自信が高まることもよく経験します。

  「美味しく食べてダイエット」「楽しく痩せる教室」など、患者の心を引き付ける楽しい健康教育を企画すると、参加者も増加します。

  家族や知人への波及効果も期待できます。そして、何よりも患者の満足した顔を見ることで、栄養指導の手ごたえを医療従事者が

  感じることができます。

  例:ある栄養士が健康教育の実践で「痩せ薬も特別な器具もなし、難しい講義やテキストもない。栄養士さんからは「昔の痩せていた

  頃の写真を持ち歩いてくださいね」「毎日、体重を測ってくださいね」といわれるだけ。これがうまくゆき患者に「自分もできる」という

  自信をつけたことが成功の理由かもしれません。

  アイスブレイクの効用

  堅苦しい話をずっと続けられても、眠たくなってしまいます。話の合間にちょっとユニークな話題など笑いが含まれると、気分も

  リラックスし、話に集中できるようになります。グループ支援においても、そういった心が温まる瞬間があることで、見知らぬ者同士が

  打ち解けることもあります。グループ支援では参加者の緊張感をほぐし、話しやすい雰囲気をつくることが大切です。

  アイスブレイクとは文字どうり「氷を溶かす」ことで、緊張した会場の雰囲気を和らげることです。その効用は

  場が和む   話しやすい雰囲気を作ることができる   頭を活性化させることができる   つい本音が出る   仲間作りになる

  競争心が出る  難しい話から始めるのではなく、やさしい話や身近な話から本題に入っていくと良いでしょう。

  笑いは食後血糖によい影響を与えるだけでなく、緊張感がほぐれ、本音が出やすくなります。

  逆に、堅い挨拶は、参加者の緊張を増し、”アイスメイク”になっているかもしれません。

 

    診断基準

  診断基準に対し欧米では懐疑的に見る向きもあります。糖尿病患者でメタボリックシンドロームの割合は約20%で、つまり、

  糖尿病患者が必ずしも肥満ではないため、大半の患者が除外されたということになります。次に、メタボリックシンドローム群の

  冠動脈疾患と脳卒中の発症率を非メタボリックシンドローム群と比べたところ、これらを予知するには不十分だったという結果も

  得られています。この結果により、糖尿病というリスクがすでにある場合は、MSの必須項目である腹部肥満の意義が薄れてしまう

  と考えられます。有病者と予備軍併せてて約2000万人、男性の2人に1人、女性の5人に1人がMSの予備軍または強く疑われると

  推定されているが、採血が空腹時とは限らないので、空腹時血糖と中性脂肪は採用されていません。

  国民健康・栄養調査における診断基準はそれぞれの数値にコレステロールを下げる薬、血圧を下げる薬、血糖を下げる薬を服用中、

  また、インスリン注射をしている者も含むとあり若干日本におけるMSの診断基準と異なります。

      ウエスト周囲径の測定法     

  測定部位:通常A。腹部がせり出し、臍が下垂している場合B

  姿勢と呼吸:両足をそろえて立ち、両腕を体の脇に自然に垂らす

   腹壁の緊張を取り除き、自然に息を吐き切った時点で計測

  計測時の注意点:メジャーは非伸縮性の布製を用いる     1mm単位で計測

      空腹時に計測    床と水平になるように計測     きつく食い込まないように注意

  注:肥満が強く臍が下方に偏位している場合は肋骨下縁と前上腸骨棘こっきょくの中点の高さを使いましょう。

    サンサン運動ー食生活の改善と運動の改善を図り、先ずは3kgの減量、3cmのウエスト周囲径の短縮を実現する。

    欧米型の運動ー男性のベルトの穴は1インチ間隔ですので、ベルトの穴が1個減るのが第一目標でしょう。 

                *痩せた人、リスク高い?

    メタボリックシンドロームは心筋梗塞や脳卒中など循環器病と関わりが深い。危険因子として肥満、高血圧、高血糖、抗中性脂肪、

  低HDLコレステロールが挙げられ、欧米では基本的にうち3つ以上の値が一定値を超えると「メタボ・・」と診断される。

  日本の診断基準では特に肥満が重視されておりウエストサイズが一定以上あることが必須条件。

  例えば血糖値がかなり高くても、太っていなければ同症候群には該当しないことになる。

  ある研究(日本)で:BMIが25以上の太った人が循環器病で死亡するリスクは、肥満でなく他の危険因子もない人と比べると、

  危険要因が肥満以外に2つの場合は1.5倍、3つ以上だと2.4倍だった。

  一方、BMIが25未満の人で同じ比較をすると、それぞれ2倍、2.8倍となり、肥満傾向の人より高かった。 

  痩せた人でも、体質的に高血糖や高血圧などを起しやすい人がおり、そういう人は太っている人よりむしろリスクが高まりやすいらしい。

  「日本の基準に当てはまらない人にも高リスクの人がいることに、注意を払うべきだ」 調査をまとめた医師談。