学ぼう!納豆の真実

                                        納豆って、どんな食品?

  発酵とは

    微生物が食品等に付着すると、腐敗する場合もあるが、時には役立つ場合もあり、別の食品として利用できることもある。

  例えば、納豆やパンのような食品、酒やワインのようなアルコール飲料、酢・みそ・しょうゆのような調味料などである。

  これらの食品を作る為に、しばしば種菌と称し、わざわざその微生物を植え付けることも多い。こうした微生物の作用で、

  人間に役立つものができる場合を「発酵」といい、そうでない場合を「腐敗」という。

  上述のような伝統食品に限らず、グルタミン酸ナトリウムのようなアミノ酸系調味料、イノシン酸ナトリウムのような核酸系調味料、

  ビタミン類、甘味料などの食品も、発酵法で作られる。抗生物質のような薬品なども、人間に役立つものを作るので発酵である。

 家庭での作り方

  家庭における簡単な作り方は、大豆を蒸し、湯気が立っている間に市販の納豆を1/4 ないし1/2パック混ぜて容器に入れ(蓋を締め切るより

  乾燥しない程度に空気が入るようにすることが重要)、40℃くらいに保温して18〜24時間おき、その後1日冷蔵庫に入れ熟成させればよい。

  多く作りすぎたらポリ袋に1食分ずつ小分けして水分の蒸発を防ぎ、フリーザーで凍らせておけば数ヶ月保存することができる。

 工業的納豆製造法

  工業的製造法は家庭における納豆の作り方の原理を踏まえて、温度管理と湿度管理を厳密に行った大規模製造と思えばよい。

  納豆の原料は、大豆と水と納豆菌(胞子)である。古来の製造法では大豆の煮豆を稲わらのツトで包むことにより、稲わらに寄生している

  天然の納豆菌を利用して発酵が行われてきたが、現在では純粋分離培養した納豆菌から調整した納豆菌胞子が使われている。

  原料大豆は夾雑きょうざつ物を除去する為の精選や粒形選別を行った後、タンクに保管し生産に備える。先ず、大豆を計量、水洗いして

  15℃で18〜20時間浸漬する。次に、およそ2気圧(132℃)で20〜40分間蒸煮を行った後、すぐに納豆菌の摂取を行い、充填機によって

  1パック当り30〜50gずつ容器に充填し、ポリエチレンのフイルムをかぶせ、その上にたれや辛子等の小袋を投入し、蓋をシールして

  コンテナに並べ、醗酵室に収容する。発酵工程の前半は納豆菌を繁殖させる為に室温約40℃、湿度85〜90%に保ち、酸素供給を

  心がけ、大豆の表面に十分に納豆菌を繁殖させて納豆菌の皮膜を形成させる。その後、除湿と強制冷却により品温を20℃程度に下げる。

  さらに室温5℃で冷却と熟成を行う。

 大豆と納豆の違い

  原料大豆と納豆の大きな違いは、粘質物とそれによって生じる糸引きの有無、アンモニア臭その他の特有の臭いであろう。

  大豆の特徴は、生の状態では非常に硬く、トリプシンインヒビター(十二指腸に分泌されるトリプシンの阻害物質)やヘマグルチニン

 (血液凝固作用がある)のような有毒なたんぱく質を含んでいることである。従って、大豆を食品として利用する時は、必ずたんぱく質を

  加熱変性させることと、咀嚼可能な物性にして大豆粒の胚乳部分を消化しやすくする必要がある。

  納豆は、製造工程での蒸し煮により豆を軟らかくすると同時に、たんぱく質を加熱変性させている。また発酵過程では発酵菌の

  酵素の働きでたんぱく質を分解し、豆をさらに軟らかく食べやすくした食品である。納豆菌は、プロテアーゼ、アミラーゼ、ヘミセルラーゼ

  等は、種々の酵素を生成する。それらはいずれも大豆成分を分解するのに役立っている。納豆菌は好気性菌であるため増殖するのは

  大豆表面であり、盛んに発酵する期間はわずか1日で、低温熟成期間を入れても約2日と短い。味噌、醤油の発酵と違って、

  大豆成分の分解は大豆表面に近い部分に限られる為、納豆の形態は丸大豆そのままの形が残っている。分解される大豆たんぱく質は

  約10分の1に過ぎず、炭水化物は多糖類の1部が分解されるが、大部分は大豆の形態をバラバラにするほどではない。

  納豆にも整腸効果があるとされるのは、食べた時に食物繊維として役立つからであろう。また、煮豆大豆よりも納豆の方が軟らかく

  感じられるのも、大豆表皮の多糖類がある程度分解されている一つの原因と考えられる。大豆可溶性糖分は、納豆菌によって

  大部分利用されるので、大豆よりは少なくなる。煮豆にはスクロースが多い大豆が適しているが、納豆には、三糖類のラフィノースや  

  四糖類のスタキオースの多い大豆が適している。スクロースの多い大豆は、納豆菌によって摂取されやすく、納豆の糸引きが

  悪くなるようである。大豆たんぱく質の分解によるアミノ酸やペプチドの生成、炭水化物の甘味、粘質物の粘りによるテクスチャーが

  渾然一体となって、納豆の「美味しさ」を形成しているのである。                                                      

 納豆の成分                                      

  納豆の成分は、水分59.5g、たんぱく質16.5g、脂質10g、炭水化物12.1g、灰分1.9gである。大豆を浸漬すると水を含んで約2.2倍になるが、

  発酵工程で水分の蒸発で納豆の重量は約2倍になる。納豆は大豆を原料とするため、大豆由来の成分納豆菌によって生成される

  成分を含む。大豆には一般成分のサポニン、イソフラボン、などの大豆配糖体が約2%含まれている。イソフラホンは、大豆の不快味に

  関係するが、骨粗しょう症などに効用があるとされている。納豆菌によって生成される成分の一つとして粘質物があるが、これは

  ポリグルタミン酸とレバン(フラクタン)の混合物といわれている。前者はグルタミン酸を構成アミノ酸とする1種のたんぱく質であり

  後者はフラクトースを構成糖とする多糖類である。その他、納豆菌はビタミンKを産生するため、特に骨代謝と関連するビタミンKの

  多い食品として知られており100g当り600μgも含まれている。また納豆菌によって産生されるプロテアーゼ、アミラーゼ、ヘミセルアーゼ、

  γ−グルタミルトランスぺプチダーゼなどは、大豆成分の分解、うま味成分の醸成、粘質物の産生などに働いている。 

  しかし、中性脂肪を分解するリパーゼは納豆菌によって生成されないようで、大豆のそれは酵素によって分解されていると推察される。

  大豆にも納豆にも独特の臭いがある。大豆の臭いの成分中で、その青臭さの原因物質であるヘキサノールとヘキサナールが最も話題になる。

  納豆の臭いの成分としてエタノール、ビラジン、ジアセチル等10種類ある。納豆の臭いはこれらの成分の多少により異なるようである。

                                                  

ヒトでは,納豆を食べ続けると,8週間ほどで血中ポリアミン濃度が上昇することが確認されている(図1)。早田氏は,「ヒトで血中ポリアミン濃度の

上昇が確認されている食品は納豆だけである。納豆を食べ続けることで,中年期の健康状態を改善し死亡率を低下する,アンチエイジング効果が

期待できる」と述べている。全国納豆協同組合連合会が主催した記者発表会で発表した。

【図1】納豆を食べ続けるとポリアミン血中濃度が上昇

図1納豆を食べ続けるとポリアミン血中濃度が上昇     相次ぐ納豆の健康効果解明・強化


 近年,納豆の健康効果の科学的な裏づけや強化が進んでいる。例えば,旭松食品は,

  納豆菌K-2株という独自の納豆菌の整腸効果を確認し,今年2月納豆初の整腸トクホ

 (特定保健用食品)「おなか納豆」を製品化した(関連記事1)(関連記事2)。

 また,ミツカングループは,カルシウムを骨にするのを助けるビタミンK2を豊富に

 含むトクホ納豆「ほね元気」シリーズを展開している。各社とも,科学的に

 解明した納豆の健康効果を商品の目玉とし,消費者の支持を狙っているのが特徴だ。


 今回,ポリアミンのアンチエイジング効果がマウスで確認されたことについて,

 全国納豆協同組合連合会の理事を務める旭松食品常務取締役の木下博隆氏は,「納豆の多彩な健康効果の一端が,また明らかになった。

 食品業界は,原料価格の高騰,末端製品値上げなど後向きの話題が続いているが,今回の成果が,健康効果という納豆の本質に注目が

 集まるきっかけになれば」と期待を示している。