もっと知りたい! 食事と疾患の関係

                                                                                                            高脂血症治療の食事指導

  平成17年4月の厚労省発表の高脂血症有病者数は約3000万人で、生活習慣病の中で高血圧に並び有病者数の多い疾患となっています。

  高脂血症の治療法のうち、食生活パターンを含めた食事の是正は特に重要であるが、個人の食行動を変容させることは容易ではない。 

    行動科学的アプローチ→食事など生活習慣の大きな変更を伴う治療法の実行度は低いと報告されています。

  しかし、患者の行動変化への準備状態を問い、各段階において最も適切な援助・介入法を用いることにより、効果的にセルフケア

  行動を促すことができます。この段階は「変化(行動変容)ステージ」と呼ばれ、どの段階でも、望ましい行動の失敗(逸脱)や

  後戻り(再発)が起るといわれています。

  食事指導などの患者教育を行うことによって、患者の行動が変容する過程が下図に示される段階を経るといわれています。

                     *食事療法における変化ステージと介入法

 介 │   考え感情              目標設定         逸脱・再発            QOL

 入 │   情報提供              行動強化         予防対策         ライフイベント対策

 法 │     |       利益障害      |             |                ↓

    │      |    ← ―バランス ――― |―――教育 ―――┼――――――――――→

       │・・・・・・|・ ・・・・・・・・・・ |・・・・・・・・  ↓             ↓               維持期

   │     │         │      ・・・             行動期             (望ましい行動/6ヶ月超) 

 摂 │     │         │        ・・・・・・・・・     (望ましい行動/6ヶ月以内)

 取 │     ↓         ↓        準備期  ・←―――――――――――――――――再発

 エ │                        (患者なりの行動変化。直ぐに開始する)

 ネ │              熟考期             ・・・・・・・

 ル │             (行動変化の意義は理解。行動変化なし)

 ギ │    前熟考期                           ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・┐

 │ │   (行動変化を考えていない)                                   適正エネルギー

   └────────────────────────────────────────── 

                                                   6ヶ月

   X軸は期間を表し、Y軸は時期を得た介入方法やそれに応じた摂取エネルギー量の変化を表している。

       流れ

  健康状態の不安を感じ→行動を開始するつもりがある=準備期に入り→準備期の援助は、患者自身が行動変容をするという

  決断したことを支持し、それに向けた具体的な行動を患者と共に考え、行動目標として自己決定させることにあります。食生活改善の為

  何に取り組んでよいか不明確の場合は臨床検査値などの客観的情報と合わせて、現在の食生活における血清脂質上昇の要因を

  説明します。その中で日常生活の中で実践可能な行動目標を決め、6ヶ月に1回の継続指導とする。→1回目の食事指導後3ヶ月間は

  行動目標の実践度が低く、変化ステージは「準備期」から「熟考期」に変化→環境の変化→行動期(望ましい行動が始まって6ヶ月以内)

  →望ましい行動の実行への賞賛で、行動の強化へつなげる→この時期は再発が最も多く、その予防対策として起りうる問題を挙げ、

  望ましい行動の継続を逸脱する誘因を避け→より望ましい行動が6ヶ月を超えた維持期に入る、よい結果をもたらす望ましい行動を

  再度賞賛し→QOL(生活の質)の評価から食事療法に対する負担感情を尋ねる。引き続き食事指導を通してセルフケア行動を援助し、

  以降は、食事面において不適切な行動が起った場合(逸脱)の対処や再発(不適切な行動が習慣化する)防止に向けた援助を行います。

  

  食事療法はセルフケア行動の代表であり、食事指導においてもセルフケア行動に影響する環境・心理的要因に配慮し、行動変容を

  促進する為の援助が不可欠です。高脂血症は自覚症状がない為に食生活の改善が必要であることは理解していても実行できずに

  放置されているケースが多く、このことは有病率の増加に歯止めが利かない一因であると思われます。「食事指導」というと、

  指導者が患者に教え込むという姿勢になりがちですが、高脂血症の食事指導においても患者の言葉に耳を傾け、尋ねることで

  食事に対する考え方や希望を明らかにし、セルフケア行動を高めるような介入や援助が重要と考えます。