知りたかった食品成分の機能とエビデンス

                                                                γ-アミノ酪酸(GABA)

  近年、お茶をはじめとする飲料、お菓子などの加工食品や、発芽玄米などの食品にも含有される成分として、よく耳にします。

  γ-アミノ酪酸は動物性、植物性食品のいずれの食品にも広く分布しており、植物性食品、特に米、麦などの穀類、トマト、なす、かぼちゃ、

  メロンなどのウリ科の野菜や果物、その他アスパラガスやみかんなどに多く含まれています。発酵食品にも比較的多く含まれており

  ある種の乳酸菌や紅麹菌の関与する発酵食品(漬物、キムチ、ヨーグルト、豆腐ようなど)に多く含まれることが確認されています。

  通常の食品に含まれるγ-アミノ酪酸は100g中数mgを超えない程度のものが殆どだが、最近では特殊な製造方法で含量が多く含まれる

  食品があります。発芽玄米(玄米を水に浸けてわずかに発芽させ、それによりγ-アミノ酪酸含量を増やす(約10〜数十mg/100g)、

    お茶については、収穫後、茶葉を嫌気的な条件化に保存することにより、茶葉中のグルタミン酸がγ-アミノ酪酸に代謝されることを

    利用したもので通常の茶葉よりも多く含みます(約170mg/100g乾物)

  γ-アミノ酪酸は、生体内ではグルタミン酸の酵素的脱炭酸反応によって生合性されています。人の神経系では30種類以上の

  神経伝達物資が働いており、グルシン、グルタミン酸などのアミノ酸の他、様々なアミノ酸の脱炭酸生成物やその誘導体が存在します。

  γ-アミノ酪酸もグルタミン酸から生成される神経伝達物資の一つです。神経伝達物資には、興奮性神経伝達にかかるものと

  抑制性神経伝達にかかるものとが存在し、前者にはドーパミンやグルタミン酸などが、後者の代表的な物質としてγ-アミノ酪酸が

  挙げられます。脳内においてγ-アミノ酪酸はあまねく存在し、主要な抑制性神経伝達物資として機能していると考えられています。

  γ-アミノ酪酸が、神経や脳において抑制性神経伝達に関与していることから、ストレス状態を軽減したり、緩和する成分として

  摂取することがすすめられています。γ-アミノ酪酸を含有する食品がストレス軽減食品として人気を集めており販売も伸びています。

  とはいえ、循環血流中に存在するγ-アミノ酪酸は血液脳関門を通過することができないため、経口摂取されたγ-アミノ酪酸が

  直接抑制性神経伝達物資として働くことはないものと考えられています。しかしながら、いくつかの臨床試験で、摂取によって、

  脳波のリラックスしている時に出されるされるα波の出現頻度が増加することや、心拍数や瞳孔の状態などを指標としたリラクゼーション

  効果やストレス時に放出される蛋白質(クロモグランA)量の減少を確認したというデータも示されています。

  一方、現在、γ-アミノ酪酸を関与成分として含有する乳酸菌飲料やタブレットが特定保健用食品として市販されています。

  これらは「血圧の高めの方に適する食品」として許可されています。これらの作用機序については、血圧上昇に関与する交感神経の

  働きを抹消においてγ-アミノ酪酸が亢進抑制し、血管の収縮に働くノルアドレナリンの分泌を抑えることによるものとされています。

  がこの効果は学術的に詳細に解明されているわけではありませんが、許可の背景には1980年よりγ-アミノ酪酸を多く含むお茶(ぎゃバロン茶)

 の開発と、これに関連する血圧上昇抑制効果が試験データの蓄積があったためと考えられます。

  そのほかの経口摂取による健康増進や疾病予防に関する効果について、記憶や行動の改善、血中脂質低下作用、アルコール代謝促進作用、

  肥満防止作用などが標榜される場合があるが、これらの根拠は明確なものではありません。

  γ-アミノ酪酸は、食品に広く分布している成分なので、日常的に効果的に摂取を促進するという一般食品はありません。

  むしろ、発芽玄米やギャバロン茶などの飲料、γ-アミノ酪酸を添加して高含有量とした菓子類、特定保健用食品を選択する場合が

  多いと思います。これらの食品の摂取上の注意点としては、目安摂取量を遵守すべきで、多く摂取すれば効果も大きいというわけでは

  ありません。医薬品としての適用は1日3g、3分割服用となっているので、食品から摂取される場合の量は、到底これを上回るものでなく

  過剰摂取の害は殆どないものと考えられます。標榜する機能を期待するあまり、それを含有する食品を過剰に摂取してしまい、

  エネルギー摂取量の増加や食事バランスを崩す問題などを招くことに注意する必要があると思います。