知りたかった食品成分の機能とエビデンス

                                                                 クレアチン

  クレアチンは、スポーツ選手のサプリメントとして海外では広く知られているが。日本ではまだあまり耳にする機会が少ないようです。

  血液検査で腎機能の評価指標となっているクレアチニンと混同されることもしばしばです。1992年のバルセロナオリンピックで

  金メダリストの中にクレアチンを飲用していた選手が多いことから一気に注目度が上がりました。

  体内でエネルギー代謝に関与していることまでは知っていても、詳しい機能については知られていません。

  クレアチンは牛肉汁の中に含まれる1成分として発見されギリシャ語の「新鮮な」を意味する言葉から生まれました。

  日本では食薬区分の変更(2001年)によって食品素材としての使用が認められ、主に運動選手のサプリメントへの利用が進んでいます。

  クレアチンはタウリン、オルニチン、γ−アミノ酪酸などと同じく、蛋白質の構成成分とならない非タンパク質性アミノ酸の一種です。

  食品中のクレアチン含量は、魚類、肉類に多く、マグロ、タイ、ヒラメには約0.6g/100g含まれ、牛、豚、鶏に約0.4g/100g含まれています。

  体内にあるクレアチンの95%以上は骨格筋に存在しており、体重60kgの人には、約100gを体内に保有していることになります。

  クレアチンの給源としては、食品として摂取されるだけでなく、体内でもグリシン、アルギニン、メチオニンを材料として、肝臓や腎臓で

  生合成されます。生体内でのクレアチンは約60%がクレアチリン酸、残りの約40%がクレアチンとして存在しています。

  クレアチンの重要な役割は、生体内でATP(アデノシン3リン酸)供給に関わっていることです。ATPは運動時における筋肉収縮の

  エネルギー源をはじめ、生体におけるエネルギー燃料の基本単位となっています。高エネルギー化合物であるATPは、高エネルギー結合

  したリン酸を放出し、自身がADP(アデノシン2リン酸)となる際に放出されるエネルギーを種々の生命活動に利用しています。

  しかし、このATPの量が限られており、特に、激しい運動で数秒間でなくなってしまいます。限られた生体内の環境でエネルギー産生活動を

  続けるには、ADPをATPに戻してリサイクルすることが最も効率的です。このリサイクル活動を行うのがクレアチンリン酸です。

  クレアチンリン酸は、結合しているリン酸をADPに渡してATPに戻すと共に、自身はクレアチンになります。

  クレアチンリン酸とクレアチン、ADPとATPの反応は、クレアチンキナーゼによる可逆的反応であり、ATPが十分あるときは、クレアチンから

  クレアチンリン酸が生成され、安定したエネルギー源として蓄積されます。クレアチンリン酸は筋肉内で1日約1〜2gが非酵素的反応により

  尿中排泄体のクレアチ二ンに変化していきます(不可逆的)。そのため、クレアチニン生成量は個人ごとに全身の筋肉量に比例しています。

  クレアチニンは腎糸球体から濾過され、殆どが再吸収されることなく尿中に排泄されます。健康診断などで血中のクレアチニンを

  測定するのは、腎臓の濾過機能の良い指標となる為です。運動時におけるATPやクレアチニンリン酸は、すばやくエネルギー源となって

  くれますが、ごく短時間で消耗されてしまいます。これらがなくなると、筋肉はグリコーゲンやグルコースを消費してエネルギーを発生させます。

  クレアチンは上述のごとくエネルギー代謝に関わる成分であることから、「筋肉疲労を回復する」、「運動持久力を高める」などといわれ、

  スポーツ選手のサプリメントしてプロテインやパリン、ロイシン、イソロイシンなどの分岐鎖アミノ酸などと並び、人気の高い成分となりつつある。

  運動選手におけるクレアチンサプリメントの効果的な摂取方法としては、ローデイング(増強)期間として1日に20gを4回に分けて摂り、

  その後のメンテナンス期間には1日に5gを摂取する方法が推奨されています。米国の科学的データベースに収載されている成分です。

  短距離競争のように短時間に激しい運動を何度も繰り返す運動期間中、筋肉機能を増強する為に経口投与された時に有効とされている。

  この効果は有効性レベル3、すなわち、「効くと断言できないが、効能の可能性が科学的に示唆されているレベル」と判断されています。

  しかし、クレアチンの投与効果は、運動する人の状態(年齢、食事、投与方法)、運動の種類、訓練状況などによって、評価が大きく異なる。

  例えば、高度なトレーニングを受けた運動選手や高齢者の運動能力向上には、効果が認められていません。

  クレアチニンをサプリメントなどで摂取する場合は、十分な水分と共に適量を用いれば、経口摂取では殆どの人に安全と考えられている。

  しかし、大量に摂取すると、分解産物であるクレアチニンの血中濃度が上昇する為、尿中への排泄が亢進し、尿量が増加して腎臓や

  心臓に負担をかける恐れがあります。腎機能に障害またはそのリスクのある人にはクレアチンの摂取が腎機能に影響を与える

  可能性が示されています。腎疾患の既往歴がある人、糖尿病、高尿酸血症のなどで腎疾患のリスクが高い人は、摂取を避けるべきでしょう。

  クレアチン摂取中における薬物の服用は、両者の相互作用によってさらに腎臓に負担をかける可能性も考えられ、十分な注意が必要です。

  妊娠中、授乳中における摂取についての安全性データは十分にないので摂取を避けるきです。

  いずれにせよ、クレアチンの摂取効果が期待できるのは一部のスポーツ競技に関わる人だけのようです。一般の人において、

  疲労回復効果や体格の改善効果を裏付ける十分なデータは今のところないのが現状です。