知りたかった食品成分の機能とエビデンス

                                                                 カル二チン

  アミノ酸にも、ビタミン様物質にも分類されているカルニチン。肉類など、動物性食品に多く含まれており、食事からとる機会が

  多い食品成分といえます。最近ではダイエット効果や運動能力の向上にも関わる成分といわれています。

食品名        カルニチン       (mg/100g) 食品名        カルニチン       (mg/100g)
羊肉 19 0.05
牛肉 14 きのこ 0.3
豚肉 3 ナッツ 0.03〜0.06
鶏肉 1 にんじん 0.04
0.3〜1 0.03
牛乳 0.3 バナナ 0.01

          カルニチンは肉類など動物性食品に多く含まれていますが植物性食品には少ない傾向です。

  生体での働き

  正常な人では、腎臓でたんぱく質分子中のリシンがトリメチルリシンヒドロキシラーゼの作用によりトリメチルリシンとなり、これが

  トリメチルリシンジオキシゲナーゼ、グリシンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼの作用を順に受けて

  遊離の4-ブチロベタインとなり、最終的に肝臓でγ−ブチロベタインオキシゲナーゼの作用によりカルニチンが生成します。

  この生合成過程(トリメチルリシンジオキシゲナーゼとγ−ブチロベタインオキシゲナーゼの作用)にはビタミンCが必要です。

  カルニチンの生体での働きは、長鎖脂肪酸のミトコンドリアマトリックスへの取り込みです。生体内で脂肪酸は分解されてアセチルCoAになり、

  クエン酸回路に入ります。この脂肪酸の分解は、ミトコンドリアマトリックスでのβ酸化によって引き起こされます。このとき、

  短鎖および中鎖の脂肪酸は容易にミトコンドリアマトリックスに入りますが、長鎖脂肪酸(アシル基)がミトコンドリアを内膜を通過するには、

  長鎖脂肪酸はカルニチンとエステル結合しなければなりません。ミトコンドリアマトリックスに取り込まれた脂肪酸カルニチンエステルの

  脂肪酸はアシルCoAとなり、β酸化により分解されたアセチルCoAはクエン酸回路によりATPを産生します。このように、生体内での

  働きを考えると、カルニチンは、脂肪酸の分解やエネルギー産生に深く関わる分子といえます。

  また、カルニチンは医薬品としても使用されます、塩化カルニチンが消化管機能低下の見られる慢性胃炎に1回200mg皮下注・筋注・静注で、

  消化管運動亢進薬として用いられます。副作用としては、胸焼けや嘔気があります。医薬品としてカルニチンは経口投与ではなく

  注射投与されていることに注意してください。カルニチンは脂肪酸の分解やエネルギー産生に深く関わるが、果たして本当にダイエット効果や

  運動能力向上の機能は、期待してよいのでしょうか?

  経口摂取の効果と意義について

  生成したカルニチンは各組織に分布する為、正常な人は栄養学的な欠乏症はありません。しかし、ある種の筋萎縮症の場合は

  カルニチンの欠乏が知られています。また、天然型のカルニチンはL体ですから、サプリメントとして化学合成品のD体を含む

  カルニチンを摂取した場合、L-カルニチンの欠乏を引き起こすことがあります。また、加齢による筋肉中のカルニチン減少が報告されています。

  現時点での論文レベルでの人での評価を整理すると

 慢性安定狭心症、うっ血性心不全などの循環器系の疾病の症状改善について有効性が示唆されています。

 心筋梗塞発作後の合併症や死亡率の低減に有効性が示唆されており、バルプロ酸ナトリウムVPA(抗てんかん薬)の副作用による

  2次性カルニチン欠乏に有効性が示されています。

 甲状腺機能亢進症に2〜4g/日のカルニチン摂取は有効性が示されています。 

  これらいずれの評価も論文レベルですので、科学的データは不十分といえます。

  栄養指導の際のアドバイス

  カルニチンを錠剤・カプセル等の形態でサプリメントとして摂取する場合、適切に用いれば経口摂取ではほぼ安全といわれていますが、

  副作用として吐き気、胸焼け、腹痛などが知られています。また、DL体混合のカルニチン摂取は注意が必要です。

  妊娠中の安全性について信頼できるデータがないので使用は避けるべきでしょう。また、血液透析、無尿症、尿毒症、慢性肝疾患の場合も

  使用を避けましょう。現在、L-カルニチンは食品添加物として扱われているが過剰摂取にならぬよう適切な情報提供が求められています。

  いずれにせよ、消費者が最も期待する抗肥満効果や運動能力向上に関する信頼できる人での十分なデータはないのが現状です。