知りたかった食品成分の機能とエビデンス

                                                             タウリン

    タウリンはアミノ酸と同一の構造を持っているので含流アミノ酸の一つとして取り扱われてきました。タウリンは動物性食品を中心に

  特に魚介類(貝類、さざえ、かき、帆立などに1g以上/100g中含む)に高含量で分布しています。たこ、いか、えび、かににも比較的

  高含量(300〜900mg/100g中)で含まれており、魚肉には血合肉に多く存在します。

  タウリンはたんぱく質を構成する成分ではなく、生体内では殆どが遊離型で存在しています。実際にタウリンは多くの組織で最も濃度の高い

  遊離アミノ酸で、特に筋肉や心臓など筋組織で構成される臓器に高濃度で含まれています。その他、肝臓、網膜などや人の母乳にも  

  多く含まれています。タウリンの生体内での働きは、多くの組織で濃度の高い遊離アミノ酸であることから、細胞内の浸透圧の調節に

  関わっているものと考えられています。細胞の浸透圧調節には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンなど、多くの電解質や

  遊離アミノ酸が関わっていますが、その中でもタウリンは筋肉内に多く分布することから、カルシウムイオン、マグネシウムイオンなどに

  対する対イオンとして、これらの移動に関与しているのではと考えられています。また肝臓では胆汁酸合成に関与しています。

  胆汁酸はコレステロールの最終代謝産物ですが、そのままの遊離の形では排泄されずアミノ酸であるグリシンやタウリンと抱合した

  形で排泄されます。人の胆汁に存在する胆汁酸の約2/3はグリシンと結合したグリココール酸として、約1/3はタウリンと結合した

  タウロコール酸として存在します。タウリンと胆汁酸との反応は解毒代謝反応とも考えられるが、人でのアミノ酸抱合(解毒される

  化合物のカルボキシル基にアミノ酸のアミノ基が反応し、水溶性を高めた形で尿中や胆汁中に排泄する解毒代謝反応の1つ)については

  グリシンやグルタミンが主に芳香族化合物の解毒に関わっています。タウリンについては、主に胆汁酸の抱合に特異的に用いられる

  ことが特徴です。タウリンは人の体内で含流アミノ酸代謝の過程で少量生成されるが猫には合成過程がないので必須摂取成分である。

 タウリンの経口摂取による健康増進や疾病予防に関する効果については

  血中コレステロール低下効果、心不全予防、血圧上昇抑制、高脂血症予防、インスリン分泌促進等々挙げられているが

  コレステロールに対する作用や心不全や筋収縮に関する以外は十分な科学的データがない。特に最近、喧伝されている高血圧に対する

  摂取効果やてんかん、自閉症、神経機能への影響、インスリン分泌促進などに関する事項については臨床試験がないので、栄養指導上

  の注意が必要です。

  タウリンは食品から見ると魚介類を中心に含まれる天然成分であり調味料として、また食品に添加することも食品衛生上認められているが、

  一方で医薬品成分として使用に規制のある成分でもあります。事実、医薬品として合成されたタウリンを1g以上含むドリンク剤は医薬品です。

  実際には1g含有ドリンク剤は医薬部外品指定を受けており、なお、天然物であるサザエやかきなどの貝類には1g以上/100g中の

    タウリンが含まれています。

  医薬品としてのタウリンの適用は閉塞性黄疸を除く高ビリルビン血症およびうっ血性心不全であり、胆汁酸排泄促進作用による肝機能改善と

  心筋機能亢進によるうっ血性心不全改善作用であるといえます。

  食品の三次機能的にも、胆汁酸のタウリン抱合と排泄を促進する点から、摂取時には血中コレステロール上昇抑制効果があると考えられる。

  多価不飽和脂肪酸摂取と共に血中コレステロール上昇抑制や循環器系機能の健康維持に効果の期待できる成分です。

  食事設計を行ううえでは、食物繊維や多価不飽和脂肪酸を含む食材の利用と共に、他の栄養素摂取と合わせて総合判断して

  摂取を考えるべき成分です。一方、ドリンク剤などに高含量で含まれる成分であり、食品としても多く含む食材の単独摂取に走りやすい

  成分であることには十分注意を払うべきでしょう。