もっと知りたい! 食事と疾患の関係

                                                                肥満症の食事療法

  もはや「医食同源」ではなく「病食同源」とでも言い換えたほうがよいような、病気になるための「食」となってしまった現在

  「痩せることが難しい」というのは、方法よりも意識の変革が難しいのです。肥満症の食事療法を考える時に欠かせないのが

  性格・人生観・環境を背景とした日常行動への対応が基本にあるからです。

  個々人の行動特性として食行動の「ずれ」と「くせ」があり、その把握方法として食行動質問表で評価し、これを患者に気ずかせる。

                      食行動質問表の例

   早食いである        冷蔵庫に食べ物が少ないと落ち着かない        空腹になるとイライラする

   料理が余るともったいないので食べてしまう             お腹一杯に食べないと満腹感を感じない

   イライラしたり心配事があるとつい食べてしまう           連休や盆、正月にいつも太ってしまう

   身の周りにいつも食べ物を置いている                他人が食べているとつい食べてしまう

   よく噛まない                      食料品を買う時は、必要量より多めに買っておかないと気がすまない 

   たくさん食べてしまった後で後悔する                 果物やお菓子が目の前にあるとつい手が出てしまう

   太るのは運動不足のせいだ            料理を作る時には、多めに作らないときがすまない 

   それほど食べていないのにやせない      食事の時には食べ物を次から次へと口に入れて食べてしまう

  肥満の栄養指導のスタートは、このような行動を把握することから始めます。

  次に幼少時代の食環境→成長過程での食・健康への意識→患者自身が一番大切にしていること、また、楽しく幸せと感じるのは

  何か?今日からできそうなことは何か?などを把握して継続指導の中で何度も変更を繰り返しながら認識を深めます。

  次に栄養素の基礎、病態と栄養の関係をきちんと患者に説明し充分に理解させることが動機ずけの第一歩です。

                       肥満症治療ガイドライン2006

     肥満症治療食の分類                           

分類 名称 摂取エネルギー(kcal/日)
1 肥満治療食 18 1,800
16 1,600
14 1,400
12 1.299
10 1,000
2 超低エネルギー食 VLCD ≦600
                          

 脂肪細胞の質的異常による肥満度:25≦BMI<30では25kcal/kg標準体重を

 脂肪組織の量的異常による肥満症:BMI≧30では20kcal/kg標準体重を

  それぞれ摂取エネルギーの目安にする。                                                                                                       

       

      肥満症治療食の栄養設定             
1 たんぱく質:標準体重X1.0〜1.2g/日
2 脂質:20g/日以上 必須脂肪酸確保
3 糖質:100g/日以上
4 ビタミン、ミネラルの必要量確保

 

                                               具体的な食事指導のポイント

    1.ゆっくりよく噛んで味わって食べる               2.一口サイズを小さくする

  3.薄味に優れ、薄味の味覚をつくる               4.脂質の多い食品を使用する時は高カロリーにならない料理をする       

  5.小麦粉料理や芋料理の時は主食のとり方に気をつける         6.食事時間に空腹になるよう、1回の食事量を調整する 

  7.野菜は副菜だけでなく、主食にも主菜にも美味しく混ぜる工夫をする     

  8.遅い夕食には油料理をしない                9.夕食後にデザートや菓子類をとる習慣をつけない

  10.低甘味料を上手に使用する                11.牛乳を水代わりに飲まない

  12.果物とり過ぎに気をつける                 13.腹八分目が心地よくなる習慣をつける

  14.食後ただちに歯を磨く習慣をつける           15.食に感謝をして食べる 

                    自己管理

  体重記録や食事記録を継続的に記録することは自己管理確立の第1歩であり、リバウンド防止に重要です。これに1日の歩数や

  日常生活における活動評価、スポーツの程度なども含めて生活設計の検討へとつないでいきます。

                    経過観察

  食事内容の変化、体重の変化、生活内容の変化などを詳細に観察し、試行錯誤を繰り返しながら動機付けと方法の確立へと導きます。

  何処でどのような動機ずけができるのか、必ず食事からとは限りません。そのことを上手に引き出すためには行動や性格を含めた

  あらゆる情報収集が必要になるわけです。

                    栄養指導の本質

  以上を患者に合わせて巧みに変化させ、深め、お互いの信頼関係をしっかり築き上げていけば、患者の小さなストレスでも理解でき、

  めるとか叱るなどという直接的な指導範囲を超えた、深い心の交流が強い説得力になっていることに気がつきます。

  このようなこともせずに方法のみを指導しても、殆どの患者は実行しません。形式的な動機ずけができても、個人に着目した

  動機ずけができていないからです。栄養指導は教えるのではなく分からせることです。