運動を処方して丈夫な骨をつくる

  加齢現象として筋肉、脂肪、骨に影響を及ぼします。まず筋肉は質・量ともに減少し、このことは、インスリン抵抗性を惹起して

  動脈硬化のリスクになります。。一方、転倒のリスから骨折さえ起こすことになります。脂肪は加齢とともに基礎代謝の低下から

  増加傾向を示します。遺伝的背景の差から表肥満か隠れ肥満になる場合はあるでしょうが、必ずといってよいほど肥満を惹起します。

  そして骨量の減少も必ず起こります。これらは疾病発症の大きなリスクになっていることもまた共通性があります。

  しかし、骨粗しょう症だけが強く疾病のカテゴリーに入れられ、薬物治療の対象になっている印象があります。

  スポーツ医学の観点からはこの3つのに対して、ライフスタイルから考えます。

               ▲ 骨代謝における運動の臨床的役割

  1.思春期の運動習慣が最大骨量を増加させる。この時期における運動こそが骨粗鬆症予防に最も大切な役割といえます。

  2.それ以後、とくに閉経後に骨量の減少を迎える人々への骨量減少を抑える運動は個人差がありまちまちです。

  3.運動の3つ目の役割は転倒予防です。高齢になるほど転倒が骨密度減少よりも骨折の危険因子となりますが、実のところ

    転倒予防の運動は難しいのです。閉経後の運動の大きな役割は転倒予防につながる運動習慣を保つための準備と考えられます。

    50才台で運動の習慣がなければ60才には始めにくいでしょう。70才や80才に運動できるだけの体力がないなんてことになるのです。

               ▲ 個人の状態に応じて運動を「処方」する

  一般に運動の内容は種類、強度、時間、頻度、期間などから構築されます。この内容を個人の生活や体力や年齢や性格に合わせて

  作成していくことを運動処方といいます。運動の至適強度や時間や頻度には個人差があり、個人に合った処方が効果を生むのです。

  閉経後女性の至適運動頻度は1週間毎日はむしろ骨量減少抑制効果はなく、1週間に3回前後が最適です。やり過ぎは厳禁です。

               ▲  日常生活での活動量を維持する

  処方に挙げられない日常の生活活動量が実は骨量の減少にも抑制的に働きます。すなわち、作成された運動プログラムだけでなく

  日常の生活でどのくらい身体活動量を保つのかということが、循環機能維持と同じように骨量維持にも影響するのです。

  スポーツクラブやスイミングに通わなくても日常の中にヒントがあるのです。車よりも自転車、自転車よりも歩き、エスカレーターよりも階段など改善点はたくさんあります。

               ▲ 柔軟性、筋力、バランス力の維持が転倒を防止する

  運動不足の生活はこれらの身体能力の加齢による減少を助長します。 

  無理なく10秒間くらいの股間接ストレッチを3セット毎日

   座って足首を上下させる左右10回ずつを3セット毎日

   はだしで片足立ちを左右それぞれ計2分ずつ毎日

  手軽にできるので、自分の体力や生活に合わせて、長く続けてできる点を重要視しています。

                * 行動変容に導くには、体を動かすことに”快”を見出すこと

  人間は”快”を基盤に行動しているので、永年の習慣を変えるには”快”を見出さねば、行動変容はありません。

  中高年者が運動の効果よりも、まず体を動かすこと、何かに参加することそのものを好きになって楽しいと感じてもらうような環境と

  声かけが何よりも大切なのです。そしてそう行動している人たちを受容してあげること(認めてあげる)を大切にすることです。

  これらを医療従事者は何よりも大切にし、こうした中高齢者の方々の考え方をよく熟知しておくということです。

                                     ▲活動的に動ける体作りの為のストレッチ

  ストレッチの運動強度はかなり低く安静時の2倍のエネルギー消費で普通歩行程度にも及ばないので生活習慣病を予防する運動としての効果はありません。

  ストレッチで柔軟性が増し体を大きくスムーズに動かせるようになります。また、筋肉のこわばりをほぐして快適な状態にすることで、体も自然とよく動くようになる。

  ストレッチとは”伸ばす”という行為です。関節を曲げたり伸ばしたりして筋肉をその両端の腱から「引っ張って伸ばす」行為がストレッチです。これにより体に2つの変化が起こります。  

  ✧1つは筋肉が伸びやすくなることで関節の可動域が大きくなる、いわゆる柔軟性が増すという変化→筋肉の縦断的柔軟性の向上

  ✧もう1つは筋肉のこわばりをほぐし、血液循環を良くしてコンデイションの良い状態にするという変化→筋肉の横断的柔軟性の向上

  日常から活動的に動ける体ずくりの為にストレッチをぜひ取り入れるべきです。特に、太もも裏側のハムストリングという筋肉の柔軟性を保つ、背中の筋肉群など背面全体を

  ストレッチできる座位体前屈がお勧めです。お風呂上がりなどの筋肉がほぐれている状態の時に15〜20秒程度ゆっくりとストレッチする習慣をつけると良いでしょう。

                * 高齢者指導において必要なコミュニケーションスキル

  1.クライアントの質問は、最後までよく聞く。自分のインストラクターとしての能力を過信せず、質問をよく理解してから答える。

  2.クライアントとのコミュニケーションの妨げになるものを取り除く。周りがうるさくて、クライアントの声が聞こえない場合は、場所を

    変えるなどして、クライアントの質問に集中できるようにする。

  3.クライアントの質問は黙って聞く。クライアントが話している最中に、「あー」「なるほど」「そうですね」などの相ずちを多く使いすぎると、

    軽率に聞こえることもある。

  4.言葉遣いに気をつける。クライアントによっては気軽に話してもらうことを好む者もいれば、常に、若者からは、敬語を使って話して

    もらいたいと思う者もいる。それぞれのクライアントの考え方を理解しておく。

  5.流行語は控える。

  6.クライアントの目を見て話しを聞く。クライアントの話を聞くときは、話に集中していることを態度で示す。また、グループの中で、

    自分が話をするときは、1人ひとりの目を見ながら話す。

  7.声の大きさ、話すペースに気をつける。緊張したり、興奮したりすると、話すペースが速くなることがある。クライアントにわかりやすいように、

    落ち着いて話すことを心がける。また、声の大きさを調節するだけでなく、バックミュージックの音を小さくしたりすることも必要。

  8.新しいスキルは、個人の能力やペースに合わせて指導していく。高齢者の場合、新しいことを学ぶ「能力」は衰えなくても、学ぶ「速さ」は、

    少しずつ年をとるにつれて遅くなる。また、スキル習得には当然、個人差もあるので、必ず、それぞれのクライアントのペースに沿って

    指導を進める。

  9.白い板などに書く字は、大きく鮮明に。視力には個人差があるので、とくにクライアントが高齢者の場合は、読みやすい文字や図式

    を使う。