血圧に与える影響、ご存知ですか?

                          高血圧発症の6つの生活習慣

  ◆ 飲酒 → 飲酒量と血圧の関係の間にはJ字型の関係が見られます。すなわち全然アルコールを飲まない人よりも適度に

           飲酒する人の血圧が最も低く、飲酒量が増えると(平均日本酒/日で3合以上)血圧も上昇します。

           アルコール飲料の種類によって、血圧の上がり方には差はありません。要点はアルコール飲料に含まれるエチルアルコール

           の濃度によります。適量のエチルアルコール量は国際的に30㎖といわれています。具体的にはビール大瓶1本、

       日本酒1合、ワイングラス2杯、50%のウイスキーダブル1杯、ただし女性は吸収がよいので男性の半分が適量です。

       アルコールを適量以下にすることにより、降圧薬の量を減らすことが出来るし、場合によっては中止も可能です。

 ◆ 喫煙 → 喫煙は本人だけの問題に留まらず、周囲の人たちにも明らかな影響を与えます。喫煙によって一時的に血圧は

       上昇しますが、長期喫煙による血圧上昇効果は少ないようです。むしろ喫煙は血圧そのものに対する影響よりも

       その病態が継続した結果引き起こされる、動脈硬化性の疾患に対する危険因子です。

       高血圧の患者で喫煙している人は、非喫煙者に比べ脳卒中、心筋梗塞の発症は2〜3倍高いと報告されています。

       高血圧の患者が降圧薬を内服して拡張期血圧を1mmHg下げても心筋梗塞の発症は2〜3%しか減少しませんが、

       禁煙すると心筋梗塞発症の危険性は50〜70%も減少します。禁煙はどのような治療よりも強力な治療です。

 ◆ 塩分 → 食塩の摂取量と血圧の上昇の関連性が示されています。そして加齢に伴って血圧が上昇しますが、食塩の

       摂取量が多いほど加齢に伴う血圧の上昇が大きくなり、少ない地域では年をとっても血圧の上昇は認められません。

       食塩の摂取量を1g/日少なくしますと、収縮期血圧で1〜2mmHg下降します。しかし、個人差があり肥満者、高齢者、

       食塩制限前の血圧が高い高血圧患者でより大きな降圧効果が認められます。

           高血圧と食塩の作用

          正常血圧→食塩の過剰摂取で体液バランスの崩れ、ストレス過剰など神経バランスの崩れ→血液量の

          増加、血管壁のむくみ、血管が狭くなるなどで血流が悪くなる→血圧上昇→高血圧→血管の

          老朽化で動脈硬化の進行→生活習慣病の原因となる。高血圧は1つの要因でなく複数の

          要因が絡み合っておきる、遺伝的要素も強く、同じ食習慣、ストレスなどが原因。

 

 ◆ 運動 → 運動不足の場合、血圧が上昇することは明らかです。運動していない人はしている人に比べ高血圧である率が

       2.6倍高いという報告があります。高血圧の患者が運動することにより血圧が下がることは明らかです。しかし、

       運動の種類、強さ、時間を誤りますと血圧を急上昇させたり、致命的な合併症を引き起こす可能性があります。

       運動療法に適した患者は冠動脈疾患、心不全、脳卒中や腎臓病などの重篤な合併症を持たない軽症から中等の

       高血圧患者です。

                                          運動の種類とその特性

運動療法に適したもの 強度に注意すれば適したもの 運動療法に適さないもの
歩行(平地・早足) 歩くスキー ジョギング ゴルフ(ラウンド)1 坂道の急ぎ歩き バスケットボール
水中歩行 太極拳 遠泳 ハイキング テニス 2,3 登山 3
社交ダンス サイクリング ジャズダンス 乗馬 バレーボール 武道
ラジオ体操   エアロビックス スケート ゲートボール 1 ダンベル体操
    卓球 スキューバダイビング サッカー 筋力トレーニング
    キャッチボール 階段昇降 ボーリング 縄跳び
        バドミントン 2,3  

     1 歩行することはよいが、競技性が強くストレスになる。しかもスイングは無酸素運動である。

  注: 2 軽いラリーならよいが、試合の場合は瞬発力が要求され、かつ競技性が高い。

     3 急激なストップや方向転換は大腿四頭筋や腓腹ひふく筋伸張性筋収縮になっており、筋損傷を起こしやすい。

    高血圧の治療に適した運動は表からもうかがえるように、筋肉の収縮と弛緩を繰り返す動的な運動です。

  運動の程度は最大酸素摂取量の50%くらいの軽い運動です。 運動量としては30分/日以上、毎日定期的に行うことです。

  このような運動を続けますと、10週間で半分の人たちは収縮期血圧20mmHg以上、拡張期血圧10mmHg以上の降圧を認めました。

 ◆ ストレス → 現代社会はストレスに満ち満ちた状況にあります。様々なストレスによって血圧は上昇します。     

ストレス 血圧の変化(mmHg) ストレス 血圧の変化(mmHg) ストレス 血圧の変化(mmHg)
収縮期 拡張期 収縮期 拡張期 収縮期 拡張期
睡眠 -10 -7.6 会話 +6.7 +6.7 通勤 +14.0 +9.2
安静 0 0 食事 +8.8 +9.6 職場で仕事 +16.0 +13.0
テレビ +0.3 +1.1 電話 +9.5 +7.2 会議で発表 +20.2 +15.0
自宅で仕事 +1.6 +3.2 歌唱 +10.7 +6.7 性交 +40.0 +15.0
読書 +1.9 +2.2 着替え +11.5 +9.7 最大強度の運動 +51 +16.0
机仕事 +5.9 +5.3 歩行 +12.0 +5.5      

    安静状態で0とすると日常生活の様々な場面で血圧は大きく上下します。いわゆるストレスで睡眠不足になると、24時間にわたり血圧は

  上昇し、本来睡眠中の血圧は下降するのですが、これが十分に下がらない。しかし、ストレスの持続が長期間の血圧レベルに直接

  影響するか否かは検討課題です。ストレスは多様であり、ストレスを受ける側の反応も一様ではありません。

  攻撃的な性格と非攻撃的性格ではストレスに対する反応が異なります。前者は自分の意見が通らないとストレスに感じ、後者は

  叱られたり大きな責任を負わされると大きなストレスになります。精神的緊張の緩和を図る治療法にバイオフィードバック、リラクゼーション、

  ヨガなどがありますが、降圧効果については明らかでありません。

  ◆ 季節 →  個々人の血圧の変動の中で、日内変動があるのは知られているが正常血圧者や臓器傷害のない高血圧患者では

          日中の活動時の血圧は高く、夜間睡眠中の血圧は下降します。また季節変動があります。

          寒い時期は暑い時期に比べ血圧は高くなる、すなわち、血圧の変動と外気温の変化の間に相関が認められています。

          高血圧の患者は寒冷前線が接近する初秋から冬の寒冷時に血圧が上昇することを理解しその対応に心がけてください。

          一方、夏の暑い時期には内服薬の量や種類を減らすことが可能な人もいます。生活習慣の改善は言うは易く行うのが

          難しい事柄が多いのですが、健康で元気な生活のためにはすべての高血圧の患者さんが怠ってはいけないことです。

          自分の健康ですから、自分で管理するという前向きの姿勢が大切です。