メタボリックシンドロームへの健康行政

                                      メタボリックシンドロームを取り巻く現状

  世界にも例を見ないスピードで超高齢社会に向かっているわが国で、厚生労働省は健康寿命の延伸をテーマに、2000年より

  「21世紀における国民健康運動(健康日本21)」を展開しています。しかし、中間評価では達成された目標は少なく、高血圧、

  高脂血症など生活習慣病と呼ばれる疾患は増加し、医療費の増大にも歯止めがかかっていません。

  これらの疾患の発症や悪化には、「内臓脂肪型肥満」が大きな関わりを持っており、これに加え血糖値、血圧、血清脂質のうち

  2つ以上に異常がある場合、将来循環器疾患になるリスクが高く2005年メタボリックシンドローム(MS:内臓脂肪症候群)と命名。

  MSになると動脈硬化が年齢相応より早く進行し、狭心症や心筋梗塞、脳血栓のリスクが大きくなります。

  厚労省は2007年度の国民健康・栄養調査の中で、都道府県に対しMSの実態の把握を指示しました。

  国民運動として生活習慣病予防を進め、2015年までに患者を25%減らす目標を掲げています。

  2008年よりMSの発見を重視して40才以上の健診を大幅に見直し、予備軍の段階での保健指導を強化し、薬治療が必要になる前に

  受診者の生活習慣を変えるよう促す考えです。

  これまで展開してきた「健康日本21」に加え、2005年度より2015年度をめどとする「健康フロンティア戦略」を推進しており、さらに、

  2008年度より「生活習慣病予防のための健診・保健指導」を医療保険者の責務として実施するようにしました。

  扶養家族を含む40才以上約5800万人の健康診断を義務付けることになります。腹囲、コレステロール、血糖値などを検査し「要治療」

  と診断されれば受診を、予備群には食事教室への参加で生活習慣の改善を促すことで予防しようというものです。肥満者に対し

    「少し体重を減らしたほうがいいですよ」「栄養バランスを考えて食べましょう」「腹八分目にしましょう」など一般的であいまいな或いは

  専門用語で一方的に栄養指導しても効果が少ないことが知られています。不安などのネガティブな感情は血糖を上昇させ、笑いのような

  ポジティブな感情は食後血糖の上昇を低下さえるといわれます。長期の笑い療法が2型糖尿病に効果的とされます。肥満者に対しては、

  つらくて長続きしない減量ではなく、楽しい減量プログラムが求められています。個別指導で限界を感じたら、グループ指導を組み合わせた

  栄養指導が効果的です。患者同士で励ましあったり、ときには数値目標を設定して競争したりして減量に挑戦します。

  他の患者の話を聞いて不安が解消する場合もある。あの人にできるなら私にもできるかもしれないと自信が高まることもあります。

  患者の心をひきつける楽しい健康教育を企画すると参加者も増え、波及効果も期待でき、何より患者の満足した顔を見ると栄養指導に

  自信がつきます。

  保健指導で本当に脳卒中や心筋梗塞が予防できるかどうかのデータも未だ不十分なので、検証が求めれられるところです。

  糖尿病に関しては早くから健診がよく行われているので糖尿病の発症時期、インスリン抵抗性を改善する薬など合併症抑制への

  研究もされ、健診で糖尿病と指摘され減量・運動で正常に戻るケースが随分あります。

  MSの該当者はウエストが男性85cm以上、女性90cm以上で、さらに血圧、血中脂質、血糖の3項目のうち2項目の数値が高い人。

  1項目だけの場合は予備軍となります。

  2004年実施した国民健康・栄養調査からの推計で40〜74才の中高年約5700万人のうち、940万人がMSに、1020万人が予備軍。

  男女別では男性が2人に1人、女性では5人に1人がMS予備軍に該当し、男性の割合が極めて高いことが浮き彫りになりました。

  政府はMSの予備軍、患者を把握し、早期に対応することで、将来の医療費削減に結びつける方針を打ち出しています。

  医療費改革で高齢者の自己負担の増額、生活習慣病予防は個人の意識改革が必要ですし、医療関係者のサポート体制も必要です。

  在宅シフトも重要で目標で

  @不要な入院を減らし、入院日数を短縮

  A地域の「かかりつけ医」や看護師、ケアマネジャーらが中心となり治療計画を共有し、退院後も切れ目のない医療を受けられるようにする。

  B容態が急変した時、病院にただちに戻れるようにする、など医療機関の連携強化が目的となっています。(NST)

  患者のQOL(生活の質)を高めるため、終末期患者を含め退院しやすい環境の整備も重要です。

  2011年までに介護型長期療養ベッドを全廃し、医療型も15万床に絞り込む予定です。

  都道府県ごとに在宅看取り率などの数値目標を盛り込んだ医療計画を策定する中長期計画を立てることになっています。