もっと知りたい! 食事と疾患の関係

        本態性高血圧の栄養指導の実際とそのポイント

  生活習慣の欧米化で国民の4人に1人、3500万人が高血圧に羅患しているといわれています。

  高血圧の食事指導は患者の高血圧のタイプを見極めて行う事が必要です。

     本態性高血圧                    二次性高血圧

  高血圧の多くはがこのタイプです。        腎臓疾患や内分泌疾患(甲状腺機能亢進症・

  原因は不明で、遺伝(体質)や生活習慣・    褐色細胞腫等)が原因で起こるもの。

  環境がかかわっていると考えられます。     原因となる病気を治療すれば、血圧も下がります。

  血圧が高くなる生活習慣・環境要因として次のもが挙げられます。

  塩分のとりすぎ   アルコールの飲みすぎ   肥満   運動不足   ストレス   喫煙

  高血圧は降圧剤などの薬剤を使わなくても生活習慣を修正すれば降圧効果をが認められる

  ことから、下記の6項目について改善することを推奨しています。(但し、重篤な腎障害などの患者を除く)

  @食塩摂取量は1日当たり6g未満とする。

  A果物・野菜の積極的摂取及びコレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える。

  B適正体重の維持(BMIで25を超えない)

  C有酸素運動を毎日30分以上定期的に行う。

  Dアルコール摂取量の制限(1日当たり男性では20〜30以下、女性では10〜20以下 

  E禁煙

       世界保健機関(WHO)の発表したガイドライン

         高血圧のレベルチェック(単位:mmHg)

収縮期(最大)

血圧

      

 

180            A:高血圧(重症)

160     B:高血圧(中等症)

140     C:高血圧(軽症)

130     D:正常高値

120     E:正常

        F:至適血圧

  

            F          E     D      C      B     A               

              拡張期(最小)血圧                  注:収縮期血圧と拡張期血圧が異なった

         80    85    90    100    110                領域にある場合、より高い方の

                                      領域とします  

             

DASH食と日本人の現状比較

 

DASH食

日本人の現状

男性

女性

食物繊維(g/日)

31

15.5

16.1

カリウム(mg/日)

4,700

1,920

1,891

マグネシューム(mg/日)

500

288

250

カルシウム(mg/日)

1,240

605

607

ナトリウム(mg/日)

3,000

4,843

4,278

注:DASH食事プラン:高血圧を予防する為に、カルシウムが多く、飽和脂肪酸とコレステロールの

  少ない低脂肪乳製品と、カリウム、マグネシウム、食物繊維が多い果物・野菜の積極的な

  摂取を推奨する食事接種法。 

☆栄養指導のポイント

 塩分制限→減塩で有意に降圧が認められるが、収縮期血圧5mmHgの低下に過ぎないという

    データがあり、塩分制限だけで血圧を下げるというのは難しいというのが現実です。

 野菜・果物の積極的摂取とコレステロール・飽和脂肪酸の摂取制限→野菜や果物にはカリウム、

    食物繊維、マグネシゥム、カルシゥムが豊富に含まれています。これらの成分はそれぞれ

    弱いながらも降圧効果があるので摂取を推奨されますが腎機能障害がある場合には

    カリウム排泄が低下するので高カリウム血症になる恐れがあり注意が必要です。また、

    糖尿病や肥満の場合は糖分の摂取を控えめにする必要があるので、果物は控えた方が

    いいとされています。

    飽和脂肪酸とコレステロールが少なくカルシウムが多い食事、並びに野菜・果物の多い食事摂取で

    中等度の高血圧患者の血圧を11.4/5.5mmHg有意に下げるというデータが得られた。

    現代の日本人はアメリカ人よりも多くコレステロールを摂取している傾向があるので、

    これを控えることで血圧を下げることが期待できます。動物性脂肪&蛋白質、卵は控えめにしましょう。

 アルコール制限→血圧に限らず、肝機能や膵臓、高尿酸血症など、他の項目に影響を及ぼして

    いる場合は、摂取もしくは禁酒が必要ですが、HDLコレステロール上昇作用がプラスに働く場合も

    あり、アルコールは個々人のアセスメントが必要です。

 肥満の改善→減量が血圧を始め種々の生活習慣病の改善に有効であることは確かなので

    体重を減らすにはエネルギー摂取量を減らすか、消費量を増やす必要がありますが、

    食事療法でエネルギーの少ない食事とは、一言でいえば、野菜、きのこ、海藻などが中心で、

    肉、油ものの少ない食事です。米やパンなどの炭水化物も控えめにしたほうが効果があります。

  上記の内容は、食事指導をする際に最低限知っているべき事項ですが、この全てを同じ調子で

   話すのではなく、実際に相手の患者がどのリスクが最も高いのか、きちんとアセスメントをして

   適切なアドバイスをすることが大事です。

  栄養指導の為に必要な情報としては、家族暦・喫煙・肥満・疾患の種類・運動不足・飲酒習慣・

   食事内容(塩分過剰、カリウム不足、脂肪魚の不足、適正な水分補給)・薬物・ストレス等が挙げられます。

  具体的な食事改善の内容を併せて指導を進めていきます。

   塩分過剰・・・味付けの主食を減らすとか、漬け物・汁物は1日1回までとか。

   カリウム不足・・・1食に150g以上(生なら両手一杯、お浸しなら片手一杯以上)など。

   アルコールの過剰摂取・・・男性で20〜30㎖,女性で10〜20を目安にします。

高血圧の人が飲んでも良いとされるアルコール量

種類

アルコール度数(度)

飲める量(㎖)

男性

女性

ビール

4.5

444〜666

222〜444

ワイン

12

167〜250

83〜167

日本酒

25

80〜120

40〜80

焼酎

35

57〜85

28〜57

ウイスキー

40

63〜75

25〜63

ウオッカ

50

40〜60

20〜40

アルコールは処理能力に個人差があるので、数字に振り回されないように。