スポーツ医学からメタボリックシンドローム対策を考える

   飽食と運動不足の生活習慣が定着しやすい現代社会において、MSの撲滅は困難な課題です。

   MSに関する様々な有益情報を発信しても、それだけでMSは減りません。頭で理解しつつも、

   行動を変容できないのが普通の人間だからです。MS予防、改善の為には、まず基本メッセージを

   国民に周知徹底させたうえで、実際の行動変容に導く確かな活動(教育)を広めるしか

   抜本的解決策はないと思います。この単純な図式がしっかり認識されないまま、食事改善策や

   運動習慣化を推奨しても、期待するだけの効果は出ないのです。

   管理栄養士、保健士ら専門職員の適切な支援と熱意があれば、MSは確実に減少するのです。

   一方で、その効果を持続させることは困難といえます、リバウンド防止策の習得が重要です。

   そのためには食育の徹底以外に道はありません。実際に、食事栄養指導が不十分であるのに、

   多くの栄養士が苦手な運動指導にまで守備範囲を拡げて、結果的に満足な成果を得ずに終えます。

  職場や自宅でのストレス、ゆとりのない時間内で3食しっかりとる→しっかり運動する→筋肉をつける→

   基礎代謝を上げる→食べても太らないという方法論は、大半の現代人には無理のようです。

   運動による消費エネルギーの増大は有効ですが、食事改善による摂取エネルギー制限の方が

   短期間の体重減少には顕著な効果を出しやすく、運動だけで脂肪減少を目指すアプローチは、

   挫折や障害を招きやすくて危険であるともいえます。

   運動は減量プログラムの参加者同士のコミュニケーションの場を与え、運動自体が内包する

   楽しさや爽快感を体感させる機会として位置ずけるべきでしょう。

   運動実践による効果を期待するのは、食事制限を中心とした減量達成の後でよいと考えます。

   食事制限のみで減量するよりも、運動を加えたほうが、その後の体重維持(リバウンド予防)に効果的です。

   運動によりエネルギー消費器官としての筋肉を活性化させることで、脂肪の燃焼が効率よく持続します。

      厳しい食事制限を続けると

  @栄養不足による体調悪化(貧血、動く気力の減退、集中力低下、不安定感情、倦怠感・疲労感)

  A基礎代謝水準の低下(エネルギーを消費しにくい体質への移行)

  B体脂肪のみでなく筋肉・骨の減少といったことが起こります。

   これらの欠点を補ううえでも、自由に楽しませる運動の導きを食事指導と併用して行う事が有効です。

      運動の効果                  

  @内臓脂肪量の減少                 A脂肪合成の抑制

  Bインスリン感受性の向上(糖尿病の予防・改善)

  C動脈硬化の予防・改善(HDLコレステロールの上昇、中性脂肪の低下、血圧の低下)

  D基礎代謝の増加(太りにくい体質)

  E最大酸素摂取量の増加(持久力・運動能力の向上)

  Fストレス解消                    G様々な精神心理的効果

      運動の習慣化が内臓脂肪を減らすのは明白な事実です。運動やスポーツを継続するには、

   何よりも楽しむことが有効です。楽しさを満喫できればどんなスポーツであれ自然と体を動かしたく 

   なるものです。減量に取り組む場合でも、運動は手段ではなく、大いに楽しむ事が目的であって

   食事療法の併用による累積結果として減量がスムーズに進む事が理想です。

  食文化が充実している日本から、節度ある食育が古来より重視されてきているアジアから、

   世界に向けて生活習慣病予防、介護予防、認知低下症予防、寝たきり予防の対策を発信していくべきです。

   最も肝心なことは、個人が健康の重要性をしっかり認識し、活力を伴った健康長寿の実現に向けて

   確かな行動をしていくよう、食の大切さを切り口に栄養士の活躍を期待します。