もっと知りたい! 食事と疾患の関係

 

高血圧と食事

高脂血症治療における食事指導の進め方

本態性高血圧の栄養指導の実際とそのポイント

糖尿病の食事

肥満遺伝子から見るテーラーメイド型食事指導

慢性腎不全

肥満症の食事療法

慢性腎不全治療における栄養指導の考え方

高脂血症と食事

治療用特殊食品

      

                                                高血圧と食事高血圧治療のエビデンスはあるのか?)

  血圧との関連した食事因子:ナトリウム、カリウム、食物繊維、アルコール、肥満が挙げられる。

  減塩の場合の例

  軽度高血圧者に対し:2g/日の減塩で2.1mmHgほどの収縮期血圧降下の報告がある。

  一般の日本人:0.8g/日の減塩を1年間で収縮期→正常者2.7mmHg、高血圧者5.6mmHg低下

  加齢による血圧上昇(収縮期)と尿中ナトリウム排泄量のあいだには強い相関が認められる。

  この結果から、食塩1g/日摂取による年間収縮期血圧上昇量0.05812mmHgと計算される。

  20才の人が現在食塩を15g/日の摂取を→8g/日に減塩した時、40年間の高血圧予防効果は

  7 x 0.05812 x 40 = 16.3mmHgと計算される。減塩しなかったら60才で160mmHgになってしまう人の

  血圧を144mmHgに抑える事が出来ることを示している。

  カリウムの場合(野菜や果物に多く含まれる)

  カリウムが血圧に与える影響は、塩化カリウムを食事に付加する試験で検証可能である。

  1日当たり75mm0l(2933mg)付加で収縮期血圧が3.1mmHg程下がるという報告がある。

  日本人の平均摂取量が2700mg/日程から倍増して同程度の効果が得られるが実行は無理?

  米国で野菜・果物摂取頻度を3.6回/日→8.5回/日に上げカリウム摂取量は3000mg増加し、

  収縮期/拡張期血圧ともに2mmHg下がったという報告がある。

  食物繊維の場合

  食物繊維付加量は平均で11.5g/日、9週間で→収縮期が1.1mmHg、拡張期が2.5mmHg下がった。

  収縮期の血圧低下は有意ではなかった。日本人の平均摂取量が15g/日から考え、さらに食事で

  付加することは困難であり、血圧の降下はわずかである。むしろ治療より予防に有効な栄養素である。

  野菜や果物にはカリウムと食物繊維の両方が豊富なことから、高血圧予防効果には大きい。

  飲酒の場合

  2.4合/日(日本酒換算)の人が0.7合/日まで節酒(7割の節酒)で→収縮期/拡張期は3.2/2.0mmHg低下。

  血圧の改善は2週間程度の節酒でも観察されている。大量の飲酒癖のある高血圧者は節酒、禁酒がお勧め。

  飲酒が血圧を上げることは明らかだがアルコールがもつ血液抗凝固作用やHDLコレステロール

  上昇作用のために、飲酒は心筋梗塞や脳血栓に対して予防的に働く事が知られている。

  このように、飲酒と循環器疾患との関連はかなり複雑である。

  肥満の場合(減量が血圧に与える効果)

  減量1kgごとに期待できる血圧の降下は収縮期/拡張期でそれぞれ1.05/0.92mmHgとの報告がある。

  しかし、これはBMIが30kg/m2以上という肥満症を対象にしたものである。それを考えると、

  日本人に多い、いわゆる太り気味の者における減量の効果はこれより小さいかもしれない。

  

  ★効果的な高血圧治療のための代表的食事因子だが降圧効果は小さいと感じるかもしれないが

  組み合わせて改善することで目に見える大きな効果を期待できるであろう。

  肥満で、飲酒癖があり、塩辛いものが好きで野菜・果物嫌いであれば、10mmHg以上の改善も可能であろう。

  その反面、食事改善だけで薬物療法に匹敵するほど大きな降圧効果を期待するのは無理なようである。

  高血圧症者に対してはこのような事実を十分に理解させ、個々人の食習慣を定量的に把握した上で、

  最も効果的に降圧効果が得られるように食事指導、栄養管理を行う事が勧められる。

  そして、血圧が数十年もかかって徐々に上昇し、そして高血圧に至る疾患であること、長期間に

  わたる食事の影響はとても大きいこと、本態性高血圧症は薬物療法では治療し得ない疾患であること

  を考え合わせると一次予防の重要性が繰り返して強調されるべきで、1人でも多くの人が

  自発的な食事改善を図るように促したいものである。